貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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136.お茶会終了🔺

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これは…口にした事の無い味だ…

レイン様はその余韻を楽しんでいたが食べ終わるとローズを見る。

「それで?この果実の事は何処で知ったんだ」

「これは…私の…猫が…見つけてくれました…庭園の中を何かいい食材は無いかと探していたら…」

チラッとロイとカイルを見つめると…

「私もその場にいました…」

カイルが声をあげる。

「カイルが?何故だ?」

「ローズ嬢が庭園を歩きたいと言うので護衛も兼ねてお供しました…その際にこの果実を見つけました」

「それは…カイル様に手伝ってもらったと言うことですか?」

大臣達が顔を曇らせる…

「まさかカイル様を使って実をとらせたと?」

話を聞いていた夫人が顔を曇らせるとカイルは慌てて否定する!

「いえ!ローズ嬢自ら…とりに行かれました…」

言いにくそうに顔を逸らした

「どういう事かな?果実はそんな低い所に生えていたのか?なら庭園を警備している者が気が付いてもよさそうだが」

レイン様が聞くと…

「いえ…実がなっていたのは木のてっぺんです…」

「それならなおのこと彼女には無理じゃないかい?あの木はこの国で一番大きい大木だ。登るだけでも何時間かかるか…」

さすがのフリード様も嘘はよくないと顔を曇らせると…

「彼女は…ローズ嬢は自らあの木に登り、そしててっぺんまで行ってこの果実を採っておりました…本当は私も一緒について登ろうと思っておりましたが木の上は枝も細く私では登りきれなかったのです」

「君はあの木を登りきったのかい?」

さすがに驚いてローズに確認すると

「はい、木登りは得意なんです」

ローズは恥ずかしがる事なくむしろ誇らしげに頷いた。

「令嬢が木登り…」

ご夫人はもちろん大臣達も呆れる中…

「ふふふ…」

小さな笑い声が静寂な空気を破った。

声の主を見ると耐えられないと王妃様がクスクスと笑っている。

「お前…」

レイン様が驚いて王妃様を見つめると

「別に令嬢が木を登ってはいけないわけじゃ無いわよ。それにそのおかげでこうして美味しいタルトが食べられているんですもの…しかもお義父さまも食べた事の無い貴重な物よ」

王妃様はにっこりと笑うとタルトをパクッと口にする。

「まぁ…そうだが…」

レイン様はため息をつくと

「ローズ嬢…後でこの果実について少しお話をお聞きしたいのだが…」

レインがローズに言うと

「は、はい!…でも知っている事などあまりありませんが…」

「それでも唯一見つけたのが君だ」

「わかりました…私の知っている事なら全てお話します」

ローズは頭を下げて了承すると

「うむ…ではとりあえず今はこのタルトを堪能しようかな」

レインはそう言うとタルトを平らげておかわりを頼む。

「まぁあなたずるいわ…すみません私にもお願い出来ますか?」

王妃様がそれに続くとロイやカイルもおかわりを要求する。

「多分もうここでしか食べる機会がないだろうからね」

フリード様もおかわりを頼むと…

「まだ私の分もあるかな…」

手作りだと文句を言っていた大臣達もおかわりがあるか聞いてくる。

「皆様の分を御用してありますから大丈夫です」

ローズは微笑んで答えると

「ならこれに合うお茶と一緒におかわりを貰えるかしら…」

ご夫人達の綺麗に無くなったタルトのお皿を見てローズは嬉しそうに頷いてお茶を入れに向かった。
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