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119.噂※
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「いったい何があったのですか?」
俺は、極力ジュリアを見ないように運びながら先程何があったのか探りをいれる。
ジュリアは小さな声でボソボソと話し出した。
「私達があそこを通っていたらローズさんが急に声をかけてきて私達に難癖を言ってきたんです。きっと私が他の方より少し恵まれているから気に食わなかったんだと思います」
「そうですか……」
俺は真っ直ぐ前を見たまま感情を出さずに答えた。
「あと、本当かわかりませんが……」
チラチラっとうかがうように視線を向ける。
話を聞いてほしそうな態度に心の中でため息をついた。
「何か?」
「最近ローズさんには良くない噂があるのを知っていますか?」
ジュリアが待ってましたとばかりに前のめりに話し出した。
「噂?」
ジュリアは興味を持った事にクスッと口の端を持ち上げる。
「ええ、何やらローズさんの周りにはいつも決まった男の人がいるそうです」
「男……」
そう聞いて速度が少し遅くなる。
ローズに限ってそんな事はと思うが彼女を知れば知るほどに好きになる人も多いのではと不安になった。
そんな俺の顔にジュリアは楽しそうに話し出す。
「ロイ王子の婚約者候補としては有るまじき事ですよね」
「その……男っていうのは?」
気になってジュリアをみて先を促す。
「私のお友達が見たらしいのです。ローズさんの部屋から出てくる細身の男性の姿を!」
「細身……」
俺は自分の周りにいる男達を思い出す。
ロイはさすがに違うだろうし、スチュアートさんも執事としていても不思議はない。あとローズの部屋に近づく男……
門番と城下で会ったロドムを思い出した。
「あいつか?」
いや、あいつは細身と言うよりはチビだ、特徴的に合わない。
ロドムも細身だが来るなら従者の姿をするだろう。
他にもいるのかとモヤモヤしながら考える。
「かなり見目麗しい方だと言っておりました」
「そうか……」
自分の知らないローズの交流関係に胸がザワつく。
するとそんな浮かない顔の俺にジュリアはそっと頭を寄りかけた。
「ですからカイル様もロイ王子にも気をつけるように言おうかと迷っておりました。本当はこんな事言いたくないのに……」
突然の事に黙ってしまった。
いつもならこんな事をされれば卒倒するか気持ち悪くなりそうだが平気だった。
ローズとの出会いでこんなにも自分が変わった事にも内心驚いていた。
そんなローズに近づきたい男はそりゃいるだろう。
クスッと笑ってしまった。
「すみません、余計な事を」
ジュリアは俺の気持ちには気が付かずにまだ話をしていた。
「言う事はそれだけか?」
これ以上不快な会話を続けたくなくて俺は話を終了した。
「えっ……ええ」
拍子抜けしたようなジュリアを無視して先を急いだ。
「では、ちょうど着いたようだ後は頼むぞ」
医務室の前でジュリアを下ろすと従者に引き渡す。
早くこの場を去りたかったので、下ろすなり声もかけずに後ろを向く。
「カ、カイル様! お礼をしたいのでよかったら後で部屋に寄って下さい!」
ジュリアが引き止めようと声をかけてきた。
「結構だ、足が痛いんだろ? ゆっくり休んでくれ」
「ま、待って!」
ジュリアの引き止める声を無視して急いで走り走り出した。
俺は、極力ジュリアを見ないように運びながら先程何があったのか探りをいれる。
ジュリアは小さな声でボソボソと話し出した。
「私達があそこを通っていたらローズさんが急に声をかけてきて私達に難癖を言ってきたんです。きっと私が他の方より少し恵まれているから気に食わなかったんだと思います」
「そうですか……」
俺は真っ直ぐ前を見たまま感情を出さずに答えた。
「あと、本当かわかりませんが……」
チラチラっとうかがうように視線を向ける。
話を聞いてほしそうな態度に心の中でため息をついた。
「何か?」
「最近ローズさんには良くない噂があるのを知っていますか?」
ジュリアが待ってましたとばかりに前のめりに話し出した。
「噂?」
ジュリアは興味を持った事にクスッと口の端を持ち上げる。
「ええ、何やらローズさんの周りにはいつも決まった男の人がいるそうです」
「男……」
そう聞いて速度が少し遅くなる。
ローズに限ってそんな事はと思うが彼女を知れば知るほどに好きになる人も多いのではと不安になった。
そんな俺の顔にジュリアは楽しそうに話し出す。
「ロイ王子の婚約者候補としては有るまじき事ですよね」
「その……男っていうのは?」
気になってジュリアをみて先を促す。
「私のお友達が見たらしいのです。ローズさんの部屋から出てくる細身の男性の姿を!」
「細身……」
俺は自分の周りにいる男達を思い出す。
ロイはさすがに違うだろうし、スチュアートさんも執事としていても不思議はない。あとローズの部屋に近づく男……
門番と城下で会ったロドムを思い出した。
「あいつか?」
いや、あいつは細身と言うよりはチビだ、特徴的に合わない。
ロドムも細身だが来るなら従者の姿をするだろう。
他にもいるのかとモヤモヤしながら考える。
「かなり見目麗しい方だと言っておりました」
「そうか……」
自分の知らないローズの交流関係に胸がザワつく。
するとそんな浮かない顔の俺にジュリアはそっと頭を寄りかけた。
「ですからカイル様もロイ王子にも気をつけるように言おうかと迷っておりました。本当はこんな事言いたくないのに……」
突然の事に黙ってしまった。
いつもならこんな事をされれば卒倒するか気持ち悪くなりそうだが平気だった。
ローズとの出会いでこんなにも自分が変わった事にも内心驚いていた。
そんなローズに近づきたい男はそりゃいるだろう。
クスッと笑ってしまった。
「すみません、余計な事を」
ジュリアは俺の気持ちには気が付かずにまだ話をしていた。
「言う事はそれだけか?」
これ以上不快な会話を続けたくなくて俺は話を終了した。
「えっ……ええ」
拍子抜けしたようなジュリアを無視して先を急いだ。
「では、ちょうど着いたようだ後は頼むぞ」
医務室の前でジュリアを下ろすと従者に引き渡す。
早くこの場を去りたかったので、下ろすなり声もかけずに後ろを向く。
「カ、カイル様! お礼をしたいのでよかったら後で部屋に寄って下さい!」
ジュリアが引き止めようと声をかけてきた。
「結構だ、足が痛いんだろ? ゆっくり休んでくれ」
「ま、待って!」
ジュリアの引き止める声を無視して急いで走り走り出した。
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