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114.変化
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私はあの後も違うお菓子をいくつか作り、その都度味見をしてもらいお茶会に出すお菓子の目処がついた。
借りた厨房をしっかりと片付けて部屋へと戻ることにした。
「たくさん出来ましたね」
余ったらお菓子を大量に持ちながらクレアさんとホクホクで廊下を歩いていた。
「ローズ!」
すると歩いている後ろから名前を呼ばれて振り返るとそこにはキャシーがロンさんと歩いていた。
「キャシー!」
名前を呼ぶとロンさんを押しのけキャシーが私の元 方へと早足で歩いて来た。
「キャシー! 久しぶり!」
数日ぶりの再会に私は笑顔でキャシーに近づくと目元が私のお菓子を捉えている。
「今日のローズはなんか甘い匂いがしますね」
いい匂いとキャシーは私の顔に触れるほど近づくと鼻が頬に当たった。
「キャシー様! 急ぎませんと明日のお茶会の準備に間に合いませんよ」
ロンさんが慌てた様子で後ろから声をかける。
「えっ! キャシーは明日がお茶会なの?」
「そうなの。私は初日に決まって、ローズは最終日なのよね?」
「ええ、そうなの。キャシー頑張ってね! キャシーのお茶会なら間違いないだろうけど」
「まぁ不本意だけど頑張ってみるわ、ローズと最後までいたいから」
キャシーが可愛い顔でにっこりと笑う。
動機が不純だが嬉しくなってしまう。
もっとおしゃべりをしたかったがロンさんが早くとキャシーを急かしている。
「もう! やっとローズと会えたのにちっともおしゃべり出来ない!」
キャシーも同じ気持ちのようだで名残惜しそうに手を振ってロイさんに引きずられるように連れていかれた。
「いよいよ明日から始まるんですね」
「ローズ様の本番はもう少し先ですがあっという間に来ますよ」
「そうですね……じゃあジェシカさん達ともそろそろ話をしないとかな」
私がクレアさんに確認する。
「あっ、その二人なら大丈夫です。スチュアートさんがきっちりと教育しておりましたから」
「きょ、教育?」
スチュアートさんと接触していたのも初耳で驚いた。
しかしクレアさんは気にした様子もない。
「ええ、二人とも素質があったようで立派なメイドと執事になっているそうですよ」
「そ、そうなんですか?」
二人とも大丈夫かなぁ……
無理をさせてないかと心配になる。
「でも近いうちに一度会っておくのはいいですね。本番は私とスチュアートさんは何もできませんから……手を出せるのはジェシカさんとロドムさんだけです」
「そうですね……」
頼りになる二人がそばにいないと思うと急に不安になってきた。
そんな私を安心させるようにクレアさんは手をそっと握りしめる。
「大丈夫です。あの二人ならきっとローズ様にお力になります」
「はい」
「私からスチュアートさんに言っておきますから、一度どこかで顔合わせと配膳方法などは話し合っておいた方がいいかもしれませんね」
なんだか私が知らないところでクレアさんとスチュアートさんが色々と私の為に用意を進めてくれていたようだ。
「クレアさん…本当に私の為にありがとうございます。スチュアートさんにも後で会ったら言いますがおふたりには本当に感謝しています。お二人がいなかったら私はまともにお茶会なんて開けなかったと思います」
感謝を込めてクレアさんを見つめた。
「お礼は全然終わってからですよ。それに我々に出来ることはここまでですから……本当はおそばでお助けしたかったです」
クレアさんの方が申し訳なさそうに私に謝ってくる。
「よし! ここまで来たらクレアさん達の苦労に報いるためにも頑張ります!」
私はぐっと腕を振り上げて気合いを入れた!
「我々の前に王子の為にも頑張ってあげて下さいね」
「ああそうですね! ロイ王子やカイル様にもたくさんお世話になりましたから、お二人の為にも頑張ってみます!」
いつもならあの二人の事など忘れそうだったが……ちょっとした変化にクレアさんは驚きながらも嬉しそうに笑っていた。
借りた厨房をしっかりと片付けて部屋へと戻ることにした。
「たくさん出来ましたね」
余ったらお菓子を大量に持ちながらクレアさんとホクホクで廊下を歩いていた。
「ローズ!」
すると歩いている後ろから名前を呼ばれて振り返るとそこにはキャシーがロンさんと歩いていた。
「キャシー!」
名前を呼ぶとロンさんを押しのけキャシーが私の元 方へと早足で歩いて来た。
「キャシー! 久しぶり!」
数日ぶりの再会に私は笑顔でキャシーに近づくと目元が私のお菓子を捉えている。
「今日のローズはなんか甘い匂いがしますね」
いい匂いとキャシーは私の顔に触れるほど近づくと鼻が頬に当たった。
「キャシー様! 急ぎませんと明日のお茶会の準備に間に合いませんよ」
ロンさんが慌てた様子で後ろから声をかける。
「えっ! キャシーは明日がお茶会なの?」
「そうなの。私は初日に決まって、ローズは最終日なのよね?」
「ええ、そうなの。キャシー頑張ってね! キャシーのお茶会なら間違いないだろうけど」
「まぁ不本意だけど頑張ってみるわ、ローズと最後までいたいから」
キャシーが可愛い顔でにっこりと笑う。
動機が不純だが嬉しくなってしまう。
もっとおしゃべりをしたかったがロンさんが早くとキャシーを急かしている。
「もう! やっとローズと会えたのにちっともおしゃべり出来ない!」
キャシーも同じ気持ちのようだで名残惜しそうに手を振ってロイさんに引きずられるように連れていかれた。
「いよいよ明日から始まるんですね」
「ローズ様の本番はもう少し先ですがあっという間に来ますよ」
「そうですね……じゃあジェシカさん達ともそろそろ話をしないとかな」
私がクレアさんに確認する。
「あっ、その二人なら大丈夫です。スチュアートさんがきっちりと教育しておりましたから」
「きょ、教育?」
スチュアートさんと接触していたのも初耳で驚いた。
しかしクレアさんは気にした様子もない。
「ええ、二人とも素質があったようで立派なメイドと執事になっているそうですよ」
「そ、そうなんですか?」
二人とも大丈夫かなぁ……
無理をさせてないかと心配になる。
「でも近いうちに一度会っておくのはいいですね。本番は私とスチュアートさんは何もできませんから……手を出せるのはジェシカさんとロドムさんだけです」
「そうですね……」
頼りになる二人がそばにいないと思うと急に不安になってきた。
そんな私を安心させるようにクレアさんは手をそっと握りしめる。
「大丈夫です。あの二人ならきっとローズ様にお力になります」
「はい」
「私からスチュアートさんに言っておきますから、一度どこかで顔合わせと配膳方法などは話し合っておいた方がいいかもしれませんね」
なんだか私が知らないところでクレアさんとスチュアートさんが色々と私の為に用意を進めてくれていたようだ。
「クレアさん…本当に私の為にありがとうございます。スチュアートさんにも後で会ったら言いますがおふたりには本当に感謝しています。お二人がいなかったら私はまともにお茶会なんて開けなかったと思います」
感謝を込めてクレアさんを見つめた。
「お礼は全然終わってからですよ。それに我々に出来ることはここまでですから……本当はおそばでお助けしたかったです」
クレアさんの方が申し訳なさそうに私に謝ってくる。
「よし! ここまで来たらクレアさん達の苦労に報いるためにも頑張ります!」
私はぐっと腕を振り上げて気合いを入れた!
「我々の前に王子の為にも頑張ってあげて下さいね」
「ああそうですね! ロイ王子やカイル様にもたくさんお世話になりましたから、お二人の為にも頑張ってみます!」
いつもならあの二人の事など忘れそうだったが……ちょっとした変化にクレアさんは驚きながらも嬉しそうに笑っていた。
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