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101.畏怖※
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私が最後の相手に剣を構えると相手が打ち込んできた。
それを軽くいなしていると相手がどんどん本気になっていく。
クッ……腕が重い。
一打一打が重く腕にズシンと衝撃が蓄積されていく。
「あっ……」
一瞬隙が出来ると「今だ!」と兵士が私のお腹を目掛けて一撃を繰り出した。
私はいなす事が出来なくて剣でガードするが衝撃に耐えきれず後ろに吹っ飛ばされてしまった。
「あっ! やべぇ!」
つい力が入ってしまった兵士はまずいと思い近づいて行く。
先程まで打ち合いをしていた小柄な男は地面に倒れ込み意識を失っていた。
「やっちまった……」
しまったと頭をかいていると他の兵士達も集まってくる。
「何してるんだよ!」
「お前手加減するって言いながら、最後本気になってただろ!」
「いや、打ってるとやっぱり強くてなぁ。つい力が入っちゃって」
「気持ちはわかるがどうするんだよ気を失しなってるじゃねぇか」
兵士達は新人に声をかける。
「おい、新人大丈夫か?」
顔にかかった髪をどかして頬を軽く叩くが気がつく様子がない。
心配して顔を見ているとある事に気がついた。
「お、おい。こいつ男の癖にいやに可愛くないか?」
気を失って目をつぶっている新人の顔をみんなで囲みじっと見つめる。
「本当だ、女みたいな綺麗な顔してるな」
「な、何言ってるんだよこいつは男だろ? 女があんなに強いもんかよ。馬鹿なこと言ってないでとりあえずベンチに運ぶぞ」
そう言って抱きあげると「か、軽っ!」思った以上に軽くて驚いた。
抱き上げた兵士は頬を赤くしてモゾモゾとしだす。
「な、なんかいい匂いがするんだけど……」
とりあえず端のベンチに寝かせるとみんなで心配しながら囲み声をかけた。しかし起きる気配のない新人の肩を揺らす。
「お、おい……大丈夫か?」
「これ、医務室に運んだ方がいいかな?」
誰かが言うとみんなで顔を見合わせて同時に叫んだ。
「「「「「「なら俺が!」」」」」」
声を出した兵士達が睨み合う。
「俺が気を失わせたから俺が運ぶよ」
最後に手合わせをした兵士が真っ先に言うと新人の肩に手を乗せる。
「倒された奴になんか運ばれたくないだろ! ここは最初に手合わせした俺が運ぶ」
そう言って手を払い除けた。
「いや、お前らはもう手合わせしたんだからまだやってない俺が行くよ」
誰が新人を運ぶか揉めていると騒ぎにスチュアートさんが慌てた様子で駆けつけてきた。
「なんの騒ぎだ!」
衝立の向こうからロイ王子とカイル様まで慌てた様子でやってくる。
「あっ王子にスチュアートさんとカイル様まで」
みんなが場所を開けると寝ている新人の事を説明する。
「いや、新人と剣を交えていたらやりすぎて気を失ってしまって」
「新人?」
ロイ王子とカイル様が近づくと気を失って寝ている新人をみて絶句した。
◆
王子達と剣を交えていると真剣になりすぎて人が集まってきたとこに気が付かなかった。
嫌な予感にローズ様の元に向かうと兵士達の人集りが出来ていた。
その中心に駆けつけるとベンチの上で真っ青な顔で横たわるローズ様を目にした……
「ロッ……!」
ローズと言いそうになりどうにかロイ王子が口を噤む。
「大丈夫か?」
カイル様が寄り添うようにローズ様の体を揺すった。
「大丈夫ですよ、気を失っているだけですから」
兵士達が何をそんなに心配しているんだと笑っている。
その様子にプチンと頭の中で音がした。
「貴様らぁ……」
体の奥から感情と共に這い上がる様な声が漏れる……自分への怒りと兵士達への怒りが合わさって殺気と共に兵士達を睨みつけていた。
それを軽くいなしていると相手がどんどん本気になっていく。
クッ……腕が重い。
一打一打が重く腕にズシンと衝撃が蓄積されていく。
「あっ……」
一瞬隙が出来ると「今だ!」と兵士が私のお腹を目掛けて一撃を繰り出した。
私はいなす事が出来なくて剣でガードするが衝撃に耐えきれず後ろに吹っ飛ばされてしまった。
「あっ! やべぇ!」
つい力が入ってしまった兵士はまずいと思い近づいて行く。
先程まで打ち合いをしていた小柄な男は地面に倒れ込み意識を失っていた。
「やっちまった……」
しまったと頭をかいていると他の兵士達も集まってくる。
「何してるんだよ!」
「お前手加減するって言いながら、最後本気になってただろ!」
「いや、打ってるとやっぱり強くてなぁ。つい力が入っちゃって」
「気持ちはわかるがどうするんだよ気を失しなってるじゃねぇか」
兵士達は新人に声をかける。
「おい、新人大丈夫か?」
顔にかかった髪をどかして頬を軽く叩くが気がつく様子がない。
心配して顔を見ているとある事に気がついた。
「お、おい。こいつ男の癖にいやに可愛くないか?」
気を失って目をつぶっている新人の顔をみんなで囲みじっと見つめる。
「本当だ、女みたいな綺麗な顔してるな」
「な、何言ってるんだよこいつは男だろ? 女があんなに強いもんかよ。馬鹿なこと言ってないでとりあえずベンチに運ぶぞ」
そう言って抱きあげると「か、軽っ!」思った以上に軽くて驚いた。
抱き上げた兵士は頬を赤くしてモゾモゾとしだす。
「な、なんかいい匂いがするんだけど……」
とりあえず端のベンチに寝かせるとみんなで心配しながら囲み声をかけた。しかし起きる気配のない新人の肩を揺らす。
「お、おい……大丈夫か?」
「これ、医務室に運んだ方がいいかな?」
誰かが言うとみんなで顔を見合わせて同時に叫んだ。
「「「「「「なら俺が!」」」」」」
声を出した兵士達が睨み合う。
「俺が気を失わせたから俺が運ぶよ」
最後に手合わせをした兵士が真っ先に言うと新人の肩に手を乗せる。
「倒された奴になんか運ばれたくないだろ! ここは最初に手合わせした俺が運ぶ」
そう言って手を払い除けた。
「いや、お前らはもう手合わせしたんだからまだやってない俺が行くよ」
誰が新人を運ぶか揉めていると騒ぎにスチュアートさんが慌てた様子で駆けつけてきた。
「なんの騒ぎだ!」
衝立の向こうからロイ王子とカイル様まで慌てた様子でやってくる。
「あっ王子にスチュアートさんとカイル様まで」
みんなが場所を開けると寝ている新人の事を説明する。
「いや、新人と剣を交えていたらやりすぎて気を失ってしまって」
「新人?」
ロイ王子とカイル様が近づくと気を失って寝ている新人をみて絶句した。
◆
王子達と剣を交えていると真剣になりすぎて人が集まってきたとこに気が付かなかった。
嫌な予感にローズ様の元に向かうと兵士達の人集りが出来ていた。
その中心に駆けつけるとベンチの上で真っ青な顔で横たわるローズ様を目にした……
「ロッ……!」
ローズと言いそうになりどうにかロイ王子が口を噤む。
「大丈夫か?」
カイル様が寄り添うようにローズ様の体を揺すった。
「大丈夫ですよ、気を失っているだけですから」
兵士達が何をそんなに心配しているんだと笑っている。
その様子にプチンと頭の中で音がした。
「貴様らぁ……」
体の奥から感情と共に這い上がる様な声が漏れる……自分への怒りと兵士達への怒りが合わさって殺気と共に兵士達を睨みつけていた。
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