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85.因果応報※
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「立て……」
私は剣先を男の首元にグイッと押し込めた。
「わ、わかった……」
男は恐る恐る立ちあがる、目はだいぶ見えるようになっているのかうっすらと開いていた。
「金か? 欲しくなったのか?」
ハンターは手をおろして服の汚れを払おうとする。
「手を上げていろ、動くな」
私は感情を込めずに淡々と話す。
「わかった、何が目的だ? 金ならあいつを捕まえないと払えんぞ」
「金なんていらない、お前を王宮の兵士に引き渡す」
「はっ? お前王宮の関係者か?」
「……」
私は何も答えなかった。
「マジか? こんな優男がまともにやって俺に勝てると思ってるのか?」
ハンターは私を見て笑うと剣を抜こうと動き出す。
「ギャッ!」
「動くな……って言いましたよね?」
私は男の手に剣を突き刺した、男の手の平からは血が滴り落ちている。
「は、速い……だがどうせ速さだけだろうが!そんな細腕で人を殺せるか?」
男は反対の手でナイフを掴むと投げつけてきた。
サッと避けると男は刺さった剣を握りしめ突進してきた。
「うおりゃ!」
男は渾身の力を込めて私に体当たりしようとしている。
そんな男を私は軽くいなす。
「なっ!」
男はバランスを崩すと地面に倒れ込む。
「力だけが全てでは無いと思います」
ニコッと笑うと男の背中を踏みつけて首元に剣の柄を叩きつけた。
「ガッハッ……」
男は白目を向いて崩れ落ちた。
「ローズ様?」
ハッ!
私は知った声に恐る恐る後ろを振り返る。そこには驚いた顔で私を見つめるスチュアートさんがいた。
「ス、スチュアートさん! こ、これは!」
私は思わず剣を隠した。
「ローズ様、危ないから部屋に戻るように言いましたよね? ここで一体何をしているのでますか?」
喋りながら近づいてくると後ろで地面に突っ伏している男を見つける。
「その男は、先程のハンターの残党ですね」
「あっ! いや! その、バルトが……心配で」
「ローズ、お前またやったのか」
バルトが少し遅れて現れた。
「あっ! バルト!」
私はバルトに駆け寄って抱きしめる。
「よかった~」
「おい、その男はどうしたんだ」
バルトが倒れている男を睨みつける。
「あっ……えっと、止まってって頼んだんだけど、逆らって向かってきたからちょっと落ちてもらったの、スチュアートさん……この人どうしましょう?」
「私が衛兵に引き渡しておきます。それにしてもバルトさんが殺して無くてよかった……」
スチュアートさんがホッとしながら男を縄で縛り付ける。
「今からでも殺してやりたい!」
グルルと牙を剥き出す。
「気持ちはわかりますが我慢してください。人を殺めた魔物は討伐対象となってしまいます。そうなれば庇うことは難しいです」
「やっぱり……」
私はほっとしてバルトを抱きしめた。
自分の判断は間違ってなかったのだ。
「ローズ、それを心配してお前が手を出したのか? そんな事構いやしないのに……」
バルトは悲しそうな顔で男を見ていた。
「構うよ! バルトにはこれから仲間の分まで楽しく幸せに生きてよ」
「バルトさん、大丈夫ですよ。この男達はいくつもの罪を重ねてます。これから尋問をすればまだまだ罪状が増えるでしょう。あの時に死ねばよかったと思う事が待っていますからね」
スチュアートさんがにっこりと笑って教えてくれた。
私は剣先を男の首元にグイッと押し込めた。
「わ、わかった……」
男は恐る恐る立ちあがる、目はだいぶ見えるようになっているのかうっすらと開いていた。
「金か? 欲しくなったのか?」
ハンターは手をおろして服の汚れを払おうとする。
「手を上げていろ、動くな」
私は感情を込めずに淡々と話す。
「わかった、何が目的だ? 金ならあいつを捕まえないと払えんぞ」
「金なんていらない、お前を王宮の兵士に引き渡す」
「はっ? お前王宮の関係者か?」
「……」
私は何も答えなかった。
「マジか? こんな優男がまともにやって俺に勝てると思ってるのか?」
ハンターは私を見て笑うと剣を抜こうと動き出す。
「ギャッ!」
「動くな……って言いましたよね?」
私は男の手に剣を突き刺した、男の手の平からは血が滴り落ちている。
「は、速い……だがどうせ速さだけだろうが!そんな細腕で人を殺せるか?」
男は反対の手でナイフを掴むと投げつけてきた。
サッと避けると男は刺さった剣を握りしめ突進してきた。
「うおりゃ!」
男は渾身の力を込めて私に体当たりしようとしている。
そんな男を私は軽くいなす。
「なっ!」
男はバランスを崩すと地面に倒れ込む。
「力だけが全てでは無いと思います」
ニコッと笑うと男の背中を踏みつけて首元に剣の柄を叩きつけた。
「ガッハッ……」
男は白目を向いて崩れ落ちた。
「ローズ様?」
ハッ!
私は知った声に恐る恐る後ろを振り返る。そこには驚いた顔で私を見つめるスチュアートさんがいた。
「ス、スチュアートさん! こ、これは!」
私は思わず剣を隠した。
「ローズ様、危ないから部屋に戻るように言いましたよね? ここで一体何をしているのでますか?」
喋りながら近づいてくると後ろで地面に突っ伏している男を見つける。
「その男は、先程のハンターの残党ですね」
「あっ! いや! その、バルトが……心配で」
「ローズ、お前またやったのか」
バルトが少し遅れて現れた。
「あっ! バルト!」
私はバルトに駆け寄って抱きしめる。
「よかった~」
「おい、その男はどうしたんだ」
バルトが倒れている男を睨みつける。
「あっ……えっと、止まってって頼んだんだけど、逆らって向かってきたからちょっと落ちてもらったの、スチュアートさん……この人どうしましょう?」
「私が衛兵に引き渡しておきます。それにしてもバルトさんが殺して無くてよかった……」
スチュアートさんがホッとしながら男を縄で縛り付ける。
「今からでも殺してやりたい!」
グルルと牙を剥き出す。
「気持ちはわかりますが我慢してください。人を殺めた魔物は討伐対象となってしまいます。そうなれば庇うことは難しいです」
「やっぱり……」
私はほっとしてバルトを抱きしめた。
自分の判断は間違ってなかったのだ。
「ローズ、それを心配してお前が手を出したのか? そんな事構いやしないのに……」
バルトは悲しそうな顔で男を見ていた。
「構うよ! バルトにはこれから仲間の分まで楽しく幸せに生きてよ」
「バルトさん、大丈夫ですよ。この男達はいくつもの罪を重ねてます。これから尋問をすればまだまだ罪状が増えるでしょう。あの時に死ねばよかったと思う事が待っていますからね」
スチュアートさんがにっこりと笑って教えてくれた。
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