第二の人生正しく生きる

三園 七詩

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「貴様!」

ケアルは剣を抜くと大振りに振り上げて俺に向かって全力で振り下ろしてきた。

俺はそれをナイフで受け止め力を下に流した。

すると剣は地面に突き刺さりケアルは衝撃に前のめりに倒れ込んだ。

「ケアル!」

仲間が心配して駆け寄るとキッとこちらを見つめてくる。

「お前……本当にルークか?」

このセリフ……会う奴会う奴に言われるんだが……

「どう見ても俺だろ?まぁ記憶が無くなったからお前らの事なんて覚えてないけどな」

「俺達はお前のせいで……」

何か言いたげに睨んできた。

「俺のせいで……って、まさか降格された冒険者ってのはお前らか?」

「そうだ!お前が足を引っ張るから……」

ケアルが叫び出したが途中俺と目があいビクッと言葉を止めた。

俺は自分でも気が付かないほどに恐ろしい顔でそいつらを睨みつけていたらしい。

そこからは少し記憶が飛んだ。気がつくと俺はそいつらを連れて裏の森に連れて行っていた。

森で見つけた誰も使っていない掘ったて小屋にそいつらを逃げられないように縛り、監禁すると一度家に戻った。

家に帰ると普通の顔でマリアにギルドでもらったお金を渡す。驚いていたが事故の補償だと言うとよかったと安堵して受け取ってくれる。

コレでしばらくは金に困ることはないだろう。

マリアが作ってくれた美味い飯をたくさん食べてその日は早く部屋に行き眠りについた。

マリアが寝床に入り寝たのを確認して俺はそっと家を出た。

あいつらの元に向かうと必死に逃げようとしていた形跡があった。

「無理だよ、その結び目はそっとやちょっとじゃ解けない」

俺は冒険者特有の特殊な結び方でそいつらの手足を縛っていた。

「お、お前……俺達をどうする気だ」

「お前らに話を聞く予定だったんだよ、いつかゆっくり探し出そうとしてたのにお前らの方から来てくれるなんて運がいい……」

俺はにやりと笑うと冒険者達はビクッと体を揺らした。

「お、お願い……謝るから許して」

すると一人いた女の冒険者が震える声で懇願してきた。

「謝るから?お前ら俺に謝らなきゃいけないような事をしたって事だよな」

「そ、それは」

四人は口を閉ざした。

「俺は記憶が無いから真実を知りたいんだ、別にみんな話してくれなくていい。誰か一人でも本当の事を言ってくれればいいよ」

そう言うと早速女の冒険者が口を開いた。

「あ、あの計画はケアルが決めたの!」

「おい!ホルン勝手に話すな!」

ケアルが止めようとするので足でケアルの頭を踏みつけ口を塞いだ。

「続けて」

俺が促すとホルンが怯えながら続ける。

「その、ルークがいれば何かあった時に囮にして逃げればいいって……だから無理やり依頼について来させたの……」

「ん!んーん!」

ケアルが何か言おうとするが口を塞がれて何を喋っているのかわからないから無視する。

「それをみんな黙って了承したってことだな」

「それは……」

ケアル以外の三人は気まずそうに下を向く。

「連れていった時点でお前らも同罪なんだよ。それでどうなった」

先を喋れと女を睨む。

「依頼の魔物がやっぱり強くて……みんなで逃げたけど一人が捕まってしまったの、それでルークのお腹を……」

ちらっとこちらを伺っている。

「なるほど、俺の腹を切って血の匂いで魔物の気を逸らしたんだな」

「は、はい……でもみんなで逃げて助けに戻ったよ!だけどもう意識も無くて助からないだろうって……」

だからなんで生きてるの?とでも言うように俺を見つめた。

ルークはあの時俺と同じような状態になったのだろう。

それでなんの因果か俺はルークの体に意思か移転した。

ルーク……お前は死んだのか?

ルークの最後を思うとあまりに可哀想になる。

俺がそばにいてやれば、冒険者としての生き方を教えてやっていれば……

後悔してもしきれない。

しばらく黙って考えているとケアルがどうにか俺の足から逃げ出していた。

「お前ら喋りすぎた!」

他の三人を睨みつける。

「うるさいんだよ。それでルークの……俺の腹を切ったやつはどいつだ」

すると視線がケアルに向かった。

「だ、だったらどうする!俺を殺すのか!やってみろ!お前も道連れにしてやる!」

今にも飛びかかりそうな顔で興奮している。

こいつらを今殺すのは簡単だ。
それに殺したいとも思っている。

でも……俺はルークの手を見つめた。

これは俺の体ではない、ルークの体でそんな汚い事をさせたくなかった。

「一番悪いのは……俺だよな」

ボソッとつぶやく。

一番許せないのは何も知らずに勝手に生き勝手に死んだ俺自身だった。

俺はナイフでこいつらの縄を切ると自由にしてやる。

「いいか、二度と俺の前に顔を出すな。次に見たら……殺す」

いつでも出来るんだぞと睨みつけると脅しは十分だったようで三人はコクコクと頷いた。

しかしケアルだけは反抗的な目で俺を睨んでいた。
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