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帰還

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「ケンシン!目を覚ませ!その女はお前が思うようなやつじゃないんだ!」

ケンシンに向かって叫ぶ嫌にイケメンな男達がぞろぞろと人を引き連れてあらわれた。

「マサムネ兄さん…」

ケンシンが力なく兄を見つめる。

あー!あれが…よく見ると後ろにはミツヒデ、カネツグと知った顔も見える。

「なんでしょう…この茶番は…」

セバスさんはギャーギャーと騒ぎながら揉めている一行を冷めた目で見つめると

「構わずに帰りましょうか?」

関係ないと思い魔法陣に私を下ろすと

「ではここに魔力を注ぎましょう…ミヅキさんは大変なら少しで構いませんよ、後は私がやりますから」

「大丈夫です、さっきもそんなに魔力注いでないからまだまだ魔力ありますよ」

平気だと笑っていると…

「おい!魔王!」

マサムネがセバスさんに向かって話しかける…

「全く…人の事を魔王魔王と…本当に失礼な人達ですね…」

若干イラッとしながらもギルドで対応するような笑顔を浮かべる。

「何か御用ですか?」

「こちらの手違えとはいえ呼び出して悪かった…聞くところによるとその娘がいれば大人しく帰るんだな…」

「……」

何を言いたいのかわからずに顔を顰めながら次の言葉を待っていると

「その娘は好きにするといい、だから今すぐ帰ってくれ!」

「その娘とはこの方の事ですよね…」

セバスさんが大切に隠しているミヅキを示すと…

「ああ、それは急にこの世界にあらわれたそうだ。この国には誰も家族はいない、いなくなって困るやつもいないだろう」

「……そう…ですか…わかりました…では私が責任を持って大切に連れて帰ります」

声を落としながらセバスさんがつぶやくように答えると

「セ、セバスさん…いいよ、私気にしてないから早くみんなのところに帰ろ?ベイカーさんやシルバに早く会いたい…」

ぐっと何かを我慢しているセバスさんの足を掴むと、ふっと肩の力を抜いて微笑んでこちらを見下ろした。

「そうですね…こんな不快なところは早く行きましょう…ではミヅキさん魔力を」

「はい!」

魔法陣に魔力を込めると美子とやった時より軽く扉が開いた!

「ミヅキさん、このまま師匠達の魔力を追って光の中を歩いて下さい!」

「はい!」

私はセバスさんに言われるまま光の中へと飛び込んだ!

ミヅキがしっかりと魔法陣に消えるのを確認すると…

「さてと…」

セバスさんはユラっと立ち上がると先程の笑顔は消えて馬鹿な世界の奴らを睨みつけた…
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