ほっといて下さい(番外編)

三園 七詩

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クリスマス...五夜

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ホットミルクで一息ついていると、甘い香りがあたりを包んできた…

【美味そうな匂いがする】

「そうだね、もうそろそろいいかな?」

サンタが釜を覗くと

「うん!いい感じに膨らんでるよ」

サンタが笑ってみんなをみる。

ベイカーが火を止めて取り出すとふっくらと焼き上がったケーキのスポンジが出てきた!

「成功ですか?」

コジローがサンタを見ると

「うん、大丈夫少し歪に膨らんだけどそこがまた手作りのいい所だからね、私も最初はこんなもんだったよ」

懐かしそうにスポンジを取り出すと型から外す。

「少し冷まして生地を落ち着かせよう、その間に部屋をクリスマス仕様に模様替えしようか」

「クリスマス仕様?」

「基本の色は赤と緑の物で飾り付けるよ、まぁそこまでこだわらなくてもいいけどね、でもクリスマスツリーは必須!」

「ツリー?木か?」

「シルバくんベリーツリー覚えてる?あれみたいに木に飾りを付けるんだよ」

【ああ…あれか】

「今回は僕が用意したけど、来年からはみんなで頑張って用意してね」

サンタが外を指を指すといつの間にか大きな木が家の隣に立っていた…

「ククノさんからのプレゼントだよ、これにオーナメントを飾っていく、お菓子を飾ってもいいしおもちゃを飾ってもいい」

「ふーん…何がいいのかわからんがミヅキが喜ぶんだな?」

「そうだね、女の子ならこういう綺麗なものならみんな喜ぶと思わない?」

「そうか?」

ベイカーが首を傾げると

「だから、ベイカーさんは…」

コジローがはぁっとため息をついた。

四人で飾り付けをするとあっという間に時間がたちスポンジがいい感じに冷めていた。

「じゃあケーキを仕上げるよ」

サンタがみんなを呼ぶと

「まずはこのスポンジケーキを半分に切るよ、ベイカーさんが上手そうかな?」

サンタがナイフを渡すと、縦に刃を入れようとする。

「わー!ベイカーさん横ね!横に切って!」

慌ててサンタが止めると

「ああ!半分ってそっちか」

既でベイカーが手を止めると、サンタがほっと息をはいた…

「じゃあ切るぞ!」

スパーン!

ベイカーがクイッと手首を返す。

「えっ?今のは?」

サンタが何をしたのか分からずに驚いていると

「何ってケーキを言われた通りに切ったんだろうが、ほら」

そう言って切り口を見せるようにスポンジを二つに分けると綺麗な切り口が見えた。

「す、凄いですね…」

サンタが驚いていると

「まぁ切るのは得意だ!」

ベイカーのドヤ顔は置いといて先に進む。

「次はシロップをスポンジに塗ります、砂糖水ですね」

ハケでスポンジにシロップを塗り込むと

「上からクリームを平らに塗っていきます…これはコジローさんかな?」

サンタが見本で端を塗ると

「クリームを乗せて広げてく感じです」

「こうですかね」

コジローが器用に上手に塗ると

「やっぱり器用ですね、十分です。そしたらいちごを半分に切って挟んで上からクリームそしてまたスポンジを乗せます。残りのクリームを周りに塗って綺麗に整えます」

「俺もやってみたい」

ベイカーがコジローからナイフをもらうと上を平らにしていく…

【おい、でこぼこだぞ…】

シルバが突っ込むと

「何故だ…コジローの様に上手く出来ない」

ベイカーが愕然としていると

「ふふふ…大丈夫ですよこれも味があって素敵です。上からいちごを飾りますからちょうどいいかも…」

サンタがいちごを乗せていくと…

「ほら!ベイカーさんのでこぼこがいいアクセントになってます」

「はい!美味しそうですね」

「コレでクリスマスは完成か?」

「そうですね…後は皆さんが各々ミヅキにあげたいものをプレゼントするといいと思いますよ」

「「【えっ?】」」

「これがプレゼントじゃないのか?」

「これは…みんなで食べるものですからね、まぁ無くてもミヅキなら許してくれますよ」

【いや!俺は何か見つけてくる!】

「わ、私も…」

「俺も見つけてくる!」

三人が慌てると

「では残りの準備は私がしておきますから、夜になったらミヅキとこの店に来てくださいね」

「わかった!」

「よろしくお願いします!」

【すまん!】

みんなは慌てて散らばって行った…

「さて…じゃあ私からもプレゼントを用意しておこうかな…」

サンタは腕まくりをすると厨房に向かった。




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