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クリスマス…三夜

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「改めて…初めましてシルバ君」

主人が笑いながらシルバに話しかけると

【なぜ…名前を…】

シルバが珍しく警戒している…

「君達の話を少し聞いていたからね」

主人が笑うと

【お前…俺の言葉がわかるのか?】

シルバが驚いて目の前の男を上から下までジロっと見ると…

(何故だ…こいつに怒りを感じない…こんなやつ襲いかかれば一瞬なのに…体が動かん…)

【お前…何者だ…】

精一杯警戒しながら言葉を出すと、男がシルバに近づいてきた。

「僕は…サンタとでも言っておこうかな…」

【お前がサンタだと!】

シルバが唸ると

「そう…正確にはミヅキのサンタだよ」

そう言って嬉しそうに笑う顔がミヅキと重なって見えた…

【ミヅキ?】

シルバが思わず口にすると

「そう僕はミヅキだけのサンタなんだ…まぁそれも今回で最後になりそうだけどね…君達があまりにもクリスマスを勘違いしていて…つい口を挟みたくなってね」

楽しそうに笑うと

「だから是非ともシルバくんに協力してもらいたいなぁと思ってね」

そう言って微笑むとシルバの頭に手を伸ばす…

シルバはその手をじっと眺めていると

フサッ…

サンタが優しくシルバの頭を撫でた…その手つきは最愛の者にそっくりだった…

【お前…】

シルバがじっとサンタを見つめると

「さぁ時間も無いし私の事は置いといて、まずはクリスマスの用意をする方がよくないかい?ミヅキの為にも」

【…わかった…クリスマスについてお前の方が詳しそうだからな…今は協力してやる】

「ありがとう…じゃあ手始めに集めて貰いたいものがあるんだ…」

サンタはニコッと笑うとシルバに耳打ちした…


次の日シルバはコジローとベイカーを呼び出すと…

【サンタに会った…】

シルバの衝撃の告白にベイカーが驚くと

「それで!どうしたんだ?とっ捕まえたのか?」

シルバは首を振ると

【いや…変なやつじゃ無かった…そしてクリスマスの事を教えてもらったんだ。どうやらミヅキを喜ばせるには必要な物があるらしい】

「必要な物?」

【ああ…まずは小麦粉だ…なるべく白く殻の混じっていないもの、あとはさとう、牛乳、卵、バターあとは果物、ベリー系が言いそうだ】

「ふーん…なんかのデザートか?まぁミヅキが好きそうだが…本当にそのサンタってのは信用できるのか?」

ベイカーが疑っていると

【大丈夫だ…】

シルバが頷く。

(全然嫌な感じがしなかった…むしろ…)

シルバがサンタを思い出す。

「シルバさんがミヅキの事が関わっているのにそこまで言うなら大丈夫なんじゃないですか?」

コジローが言うと

「それもそうだな…シルバ信じるぞ」

コクンとシルバが頷いた。

「じゃ俺は小麦粉とさとうを用意する」

「なら俺は牛乳と、バターと卵ですね…ポルクスさんをあたってみます!」

【俺は果物だな!材料が集まったらあの店に集合だ!】

「わかりました!」

「了解!」

三人は食材を集めに散らばって行った!

【しかし…ベリーなんて何処に生えてるんだ?】

シルバが首を傾げると

「ククノくんに聞くのはどうかな?」

いつの間にか後ろにいたサンタがシルバに聞くと

【うわっ!お前…いつの間に?】

「えっ?ちゃんと普通に近づいたよ?それよりも私も手伝おうか?」

サンタが、ニコニコと笑うと

【グッ…ま、まぁいいだろ】

「じゃあ早速生えてる場所を聞きに行こう」

サンタが歩き出すと

【お前…ククノの事も知ってるのか?】

シルバがちらっとサンタを見ると

「そうだなぁ…ミヅキと関わった人とものだけね」

サンタはそれ以上何も教えてくれなかった。


神木が植わっている所に来ると…

【ククノ!聞きたいことがある!】

シルバが呼ぶと

『なんだい?』

声だけが聞こえてきた…

【ベリーが欲しいんだが生えてる場所を知らないか?】

『ベリー…?』

「あっ!なるべくストロベリー…いちごがいいんだけど!」

サンタが口を挟むと

『…君は…』

ククノがしばらく口を噤んでいると

『わかった…あのいちごだね…それなら西の森のベリーツリーに生えているよ…』

【西だな!わかった!おい、行くぞ!】

シルバはサンタを掴むと背に乗せて走り出した!

「えっ?わっ!ちょ、ちょっと速いよ!」

サンタが慌ててシルバに捕まると一気に加速する…あっという間に行ってしまったシルバに…

『しかし…ベリーツリーはベリーベアが守ってるから気おつけろって言いたかったが…まぁ大丈夫か…それにしてあの人間…』

ククノはミヅキの顔を思い出しクスクスと笑いながら戻って行った…。
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