ほっといて下さい(番外編)

三園 七詩

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【う~寒い…】

ミヅキが震えながらシルバにくっついていると…

【ミヅキ朝だぞ、おはよう】

シルバがペロペロとミヅキの顔を舐める。

【おはよう…シルバ、今日は一段と寒いね…】

おはようと言いながらシルバから離れようとしないミヅキは…

【シルバはいいなぁ…暖かい毛皮があって…】

羨ましそうにシルバの毛を撫でていると

「ミヅキー起きろー」

ベイカーさんが声をかける。

ミヅキが渋々シルバから離れて部屋を出ると…

「ベイカーさんおはよぉ~今日は寒いね…」

ミヅキがブルっと震えると

「今日は雪が降ったからな…寒いのはしょうがないな…」

ベイカーが言うと…

「えっ!雪?」

ミヅキが窓に駆け寄ると…外が一面白い世界に変わっていた…

「凄い!積もってる!」

ミヅキが寒いのも忘れて興奮していると

「雪が降ったんだから積もるのは当たり前だろ?」

ベイカーが不思議そうにすると

「私が前居た所は雪があんまり降らない所だったから…」

ミヅキがボソッと呟いた…

ミヅキは素早く着替えて朝食を済ませると

「ベイカーさん!雪遊びしようよ!」

ベイカーを引っ張って外へと連れて行こうとすると

「雪遊び?なんだ?雪で遊ぶのか?」

ベイカーが不思議そうな顔をする。

「えっ…雪っていったら遊ぶでしょ?」

ミヅキが聞くと…

「いや…遊ばないよな?雪だぞ?氷魔法みたいなもんだろ?」

「嘘でしょ!雪合戦は?雪だるまは?ソリは?スキーは?なんにもしないの?」

「雪合戦?なんだそのそそられる遊びは…」

ベイカーがうずうずし出すと…ミヅキが外に飛び出す!

ミヅキは雪を掴んで団子にすると

【シルバ!】

シルバに向かって投げつけた!

【うわっ!なんだ】

ミヅキからの攻撃にびっくりしていると、構わずミヅキが団子を作る。

今度はベイカーさんに投げるとヒョイっと避けられた…

何度も当てようとするが…当たらない…

「もう!ベイカーさんじっといててよ!」

「いや…攻撃が来たら避けるだろ?」

(くっ…なら…)

「痛っ!」

ミヅキがいきなりうずくまると、

「どうした!」

ベイカーが慌てて近づいて来ると…

「かかったな!」

ミヅキがガバッと立ち上がりベイカーに雪団子を投げつけた!

「甘い!」

ベイカーがミヅキの行動を読んでいてすんでで避けた!

【シルバ!】

【おう!】

するとすかさず避けたベイカーにシルバが後脚で雪の塊を蹴った。

「うわぁー!」

ベイカーが雪の塊を顔面に受けると…

「この野郎!」

ベイカーは周りの雪をギュウギュウに固めると…

「くらえ!」

シルバに向かって振りかぶった!

ビュン!

凄まじい速さでシルバに投げつけると

【ハハっ!遅いわ!】

シルバが余裕で避けると…

ボフンッ!!

投げつけた球が雪を散らせて地面にめり込む…

「くっそー!もう一発!」

ベイカーがまた雪を集め出すと…

「ストップ!ストップ!ベイカーさん達がやると遊びじゃ無くなるよ!」

ミヅキが慌ててふたりを止めた!

「えっ?せっかく楽しくなってきたのになぁ…」

ベイカーが残念そうにすると

【もう終わりなのか?】

シルバも物足りなそうに戻ってきた…

「うっ…しょ、しょうがないなぁ~人に迷惑がかからない所でやろうね…」

「わかってる!わかってる!」

【よし!】

シルバ達が喜ぶと、コハクとムーも入りたそうにしていた…

【コハク達も?うーん…気をつけてねあの二人手加減知らなそうだからね…】

ミヅキが心配そうに言うと、わかってる!とでも言うように嬉しそうに雪の中を駆け回っていた…

里のそばの周りに何もない所に行くと…

「ベイカーさん、シルバ、コハク達もいるから手加減してね」

ミヅキが言うと

「わかってるから大丈夫だ!行くぞ!」

ベイカーがさんにんを連れて離れて行った…

【うぅぅ…寒い…】

シンクはミヅキの肩に止まって震えていると

【シンクお部屋に入ってれば?】

【うーん…大丈夫…ミヅキのそばなら温かいから】

ギュッとミヅキに近づくと

【よし!じゃあシンクの為にカマクラ作ってあげるね!】

【カマクラ?】

【雪で作るお家だよ】

ミヅキが魔法で雪をブロック状に固めると…

「お、重い!」

圧縮した事で持ち上がらなくなってしまった…

【何処に運ぶんだ?】

プルシアが変わりにブロックを持ち上げると

【プルシア!ありがとう、じゃあここに円になるように置いてってくれる?】

【わかった】

ミヅキがブロックを次々に作り、プルシアが積んでいく作業を繰り返していく。


【出来た!】

最後に軽く水を霧状にかけて固める。

【シンク中に入ってみて!】

【えー…雪の中をなんてもっと寒そうだよ…】

シンクが渋々入ると…

【あれ?家の中みたいに温かいね!】

シンクが思っていたより暖かい事に驚いている。

【中に入れる敷物とか取ってくるね!】

ミヅキが家からテーブルなど持ってくると、カマクラの中に設置する。

【いい感じ!カマクラで鍋とか夢だったんだ~!】

ミヅキが鍋の準備をしていると…

「なんだこれ?」

外からアラン隊長達の声が聞こえてきた…
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