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コメ1000回感謝!!セバス2

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書類整理を終えた三日目…セバスは目頭を抑えて上を向く…。

「少し無理をしすぎましたかね…」

凝り固まった体をほぐし伸びをして立ち上がると、まるで見ていたかのようにノックの音がする。

「…どうぞ」

セバスが答えるとフレイシアが申し訳なさそうに顔を出す。

「お疲れのところ申し訳ございません…ギルマスがお呼びです…御足労いただけますか?」

「ええ、勿論。全く自分で呼びに来ればいいものをフレイシアさんすみませんね」

フレイシアはホッとすると笑顔で大丈夫ですと答えるとギルマスの所へと案内する。

「ギルマス、お呼びですか?」

セバスが部屋に入ると、ギルマスの様子がいつもと違う…

「どうしました?」

「セバス…疲れている所悪いな…実は鬼人の目撃情報が入ったんだ…」

「鬼人の!?」

ああ…ギルマスが険しい顔をする。

「お前が書類の整理が終わったら、休みをもらう予定なのは分かっているが…さすがに鬼人相手だとワシかお前が出ないと不味いだろ…」

それはそうだか…なんと間の悪い

空気を読まない鬼人に殺意がわく…

「では、私が行きましょう」

セバスが答えると

「なに?お前が行くのか?」

てっきり自分が行くものだと思っていたディムロスは驚きセバスを見た。

「ちょうど体も動かしたかったので…」

鬼人相手なら思いっきり出来るでしょう。

セバスが微笑むと…

「鬼人も気の毒に…」

ディムロスがボソッと呟いた。

「それで?あと誰を連れていく?」

「そうですね…足が速いくてある程度自分を守れる強さを持っているのは…」

「轟音の雷鳴のヤダル達はどうだ?」

彼らなら…まぁ足でまといにはならないですかね

「いいでしょう、準備でき次第討伐に向います」

「そんなにすぐに出んでも…仮眠でもしてからの方がいいんじゃないか?」

「いえ、その間に被害者でも出てしまったら大変ですからね…」

(いつ…ミヅキの様な子供が被害者になるかも分かりませんしね…)

「そうだな…あいつらはより若くて幼い人の肉を求める…」

セバスは頷くと用意の為に部屋へと戻って行った。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ギルドを出ると既にヤダル達が準備を終えて待機していた。

「お待たせしました」

セバスが声をかけると

「セバスさん!よろしくお願いします」

朝から頭に響く大声に苦笑いをする。

「鬼人が出たとの事ですが…場所はどの辺でしょうか」

「王都から来た商人が目撃したようです、獣に食らいついている所だったようで商人達はその隙に荷物も放り投げて急いで通り抜けたそうです」

王都から…ミヅキの顔が浮かぶ…

「では王都の方に向かいながら探して行きましょう」

ヤダル達は頷いた。

町を出て、しばらく歩いているが鬼人のきの字も見当たらない…

「変ですね…」

「もしかして何処かの村にでも入っているのでしょうか?」

ヤダル達が不安そうにする。

「少しスピードをあげます!しっかりとついてきて下さいね」

「「「はい!」」」

セバスは走り出した!チラッと後ろを確認すると汗を流しながらもしっかりとついてきている轟音のメンバーに唇を上げて微笑む。

しばらく走ると村に到着した…村はシーンと静まり返っている…。

「動物の臭いの中に血の匂いがしますね…」

微かに香る鉄の匂いに警戒しながら進んで行くと…柵の中に入っている牛にのしかかっている黒い塊がいる。

よく見ると口を真っ赤に染めて牛の腹に噛み付いていた。

「いた…」

ヤダルがボソッと呟くと…

「あなた達は村の人達がどうなっているか確認に行ってください、もし無事ならそのまま村の人達の警護を」

コクンと頷くと三人は村の中へと各自散らばって行った…。

「さてと…では鬼退治をしますか」

近づいていくと鬼はセバスの存在に気がつく、自分がかぶりついている牛とセバスを見比べてセバスの方へと向き合いニヤッと笑う。

「こんなにおじさんでも牛よりはいいんですね」

セバスが声をかけると鬼人は手を広げて襲い掛かって来た!

「えっ!?」

その時セバスは鬼の腕に何か赤い物が引っかかっていることに気がついた…。

(あれは…?)

そこにはミヅキが見せてくれた獣人の耳が付いた髪飾りがボロボロになりくっついている…。

(あの髪飾りはミヅキが付けていたものに似ている…)

まさかと思うが不安が拭いきれない…

(いや…シルバさん達がいます…襲われることはあっても必ず撃退するでしょうが…)

この胸糞悪い顔をミヅキに向けていたとしたら…

セバスはフッと真顔になる、するとどんな事でも突進してくる鬼人がピタリと止まった…

自分の行動に驚いているのか前に進もうとするが足が動かないようだった…

セバスはゆっくりと鬼人に近づくと…足蹴りで鬼人を地面に倒すと胸を踏みつけ動きを奪う。

鬼人はセバスの足を掴もうとすると…スパンッ!

腕が無くなる…

「ギイギャー」

気持ち悪い声で暴れるがセバスはビクとも動かない、鬼人は腕を瞬時に生やしてまた掴もうとするが…何度も何度も腕を落とされる…

「ギィ…ギィ…」

そのうちに力尽きたのか腕が生えてこなくなった…

「もうお終いですか?こんな事お前はわからないだろうが…その髪飾りはどうしたのですか?」

鬼人はセバスの言葉には反応せずに髪飾りに反応する…美味しい物でも見つけたかのようにヨダレを垂らして懇願するようだった…。

「これが欲しいのか?」

セバスは足に力を入れると…

ボキッ!

鬼の肋骨が折れる音がする…

「お前はこの髪飾りが似合う者など襲って無いだろうな…」

ボキッ!

「しかし…このまま逃しでもしたら…髪飾りが似合う子を襲うかも知れませんね…」

ボキボキボキッ!

「やはり鬼人は見つけ次第討伐ですね…」

ピクピクと痙攣している鬼人の頭を踏みつけると…

グチャ!

そのまま潰す…

火魔法で鬼人の身体を燃やし尽くすと…襲われていた牛も燃やしてやる…。

「セバスさん!」

ヤダル達が駆けつけて来るので振り返ると

「村の人達は全員無事でした!」

「それはよかった…では被害はこの牛だけですかね」

「それにしても鬼人をこんなにすぐに討伐なんて…セバスさんは凄いですね!」

ヤダルが尊敬の目を向ける。

「少し…熱くなってしまいました…まだまだですね…」

汚れた靴を脱ぎ新たな靴を出すと燃えてる鬼人に汚い靴を投げる。

鬼人の討伐が終わったと聞き、村の人達が恐る恐る外に出てきた。

村長がセバスに挨拶に来ると…

「すぐに来てもらって助かったよ!ありがとうね!」

珍しい女性の村長だった

「この村にもようやく活気が戻ってきた所だったから被害もあんまり出さずに済んで本当によかった!」

村の人達もようやく安堵の表情を見せる。

「良かったらこの村の新名物を食べてっておくれよ!ほっぺが落ちるほどに美味しいよ!」

するとヤダルの腹がぐぅーと答えるように鳴く。

「す、すみません…ほっとしたら腹が減って…」

まぁあの距離を走ったからしょうがありませんかね…

セバスは村長のもてなしを有難く受ける事にした。

村の食堂に通されると、見たことも無い白いスープが出てくる。

「うちの特産の牛乳を使った牛乳スープだよ!」

「「いただきます」」

「「いただきまーす!」」

四人で食べ始めると…

「うっまーい!」

「美味しいな!牛乳を温めても全然違和感がない!」

確かに…美味しいです。

少し違和感を覚えながらも美味しいもてなしに満足していると…

「しかし、こんな美味いもんよく作れましたね!」

ヤダルがもう一杯とお代わりをしながら聞くと

「ちょっと前に来たお客さんが作ってくれたのよ!」

ほぉ…

「どっかで王都で料理店を開くって言ってたかな?」

「仲良しげな親子だったよな!」

「ああ!可愛い子を連れててな!あの子のおかげで牛乳も沢山注文が入るようになったんだ」

それはそれは…

「しかも!あの子の収納魔法の凄いこと!」

ピキっ…

「収納魔法?」

セバスさんが反応する…

「ああ!この牛乳樽を何十個としまってたよ!あれは凄いね!何処かの商人になれば大金持ちになれるよ!」

「あの子はうちの嫁さんに是非とも欲しいねぇ~」

ガハハと笑っていると…急に辺りが寒くなる…

「あ、あれ?なんだ?なんか…急に背筋が…」

ヤダルはセバスさんを見てビクッとすると…

「す、すみません!我々はこれで!また何かありましたらギルドまで、美味しいスープご馳走様でした!」

ヤダル達は慌てて立ち上がるとセバスさんに声をかけて村を出る…。

「セ、セバスさん?」

ヤダルが恐る恐る声をかけると…

「あなた達はゆっくりとギルドに帰って下さい…私は少し用事が出来たので…先に帰りますね…」

そう言うと、一瞬で音もなく走り出し…あっという間に見えなくなった…

「な、なんだったんだ?」

ヤダルが呆然とセバスが消えた方を見つめていると…

「セバスさんがあんなになる事なんて…ミヅキちゃん絡みだろ…」

「多分…あの話の収納魔法の子ってミヅキちゃんだよな…?」

ミクロムとアークが頷き合う。

「何!そうなのか?」

「だって僕らとミノタウロスの依頼を受けに行った時あきらかに僕らよりも収納量が多かっだろ?」

「なんかあんまり見られたくなさそうだったから突っ込まなかったけどな」

アークも分かっていたようだ。

「そ、そうなのか?」

ヤダルが首を傾げると

「セバスさんもそんなに沢山入るとは思って無かったみたいだけどな…」

「すっげぇ怒ってたよな?あの顔…」

見た目は変わらない笑顔だったが…背筋に走る悪寒がセバスの心情を伝えていた…。

「ミヅキちゃん…頑張って…」

「無事帰ってこいよ…」

「ミヅキちゃん!待ってるぞ!」

三人は王都に向かって手を合わせた…。
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