狂犬を手なずけたら溺愛されました

三園 七詩

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14.気付き

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「しゅごー」

今日は屋敷の北奥にある部屋に来ていた。少し暗い雰囲気のその部屋はぎっしりと本が並べられていた。

図書館かと思うくらいの量に唖然として上まである本を見あげると・・・

「おっと!」

頭の重さで後ろに倒れそうになり、アデリーさんが支えてくれた。

「あいと」

お礼を言うとアデリーさんはパパには見せた事ない笑顔でにっこり微笑む。

「お嬢様にそう言われるとグッとくるものがありますね」

「う?」

意味がわからずに首を傾げる。アデリーさんは気にした様子もなく話を続けた。

「もし良ければ抱っこ致しますよ。本を見たいなら歩きが疎かになりますから」

手を出されて確かにと頷きその手を取った。

「ずりー、アデリーさん俺が抱っこしますよ。ねぇお嬢様?」

するとステファンさんが自分が私を抱いて歩くと言ってきた。

「あなたは警護してなさい、何かあったらあなたが盾になって私とお嬢様が逃げるのですから」

「うっ!」

ステファンさんはガックリとうなだれた。

私はそのままアデリーさんに抱き上げられて図書館の中を探索する。アデリーさんは私が行きたい方向がわかるのか思った方へと進んでくれる。

「あっ」

すると中央奥の壁に一枚の絵が飾られていた。

「これですか?  クロード様のお爺様とその奥様の肖像画です」

私はその絵に見覚えがあった・・・

どこで見たんだろ?

ここは初めて来る場所だ、私はこの絵を見た事があるはずない。なのにどこで?

その時パンっ!とこの絵を見た時の事を思い出した。

それはここほど立派では無い町の図書館での事だ。私は前世で家に居たくなくよく近くの図書館に閉館時間まで居座っていた。

そこではたくさんの本を読んだ、その図書館で読んだこと無い本は無いと言うほど。

特に好きだったのがファンタジー小説だ、その中で読んだ一冊に恐ろしい男の人が出てくる話があった。

男は平気で人を傷つけ殺す残酷な人だった。
しかしある時一人の女性と出会う、しかし愛し方の知らない男は自分の思う通りにならない愛した人を殺してしまうのだ。
男はその時初めて自分のした事を悔やむ、そして愛した人の恋人に殺されてしまった。
その後は女性はその恋人に生きかえらせてもらい幸せに暮らすという何となく腑に落ちないラストだった。

しかし私は自分よりも不幸な人がいるんだとその時はその話を読むと少しだけ救われた気がした。

その時読んでいた挿絵にあったのがこの絵だった・・・確か男がこの家の女性を殺すシーンで・・・

ハッとして私は窓に映る自分を見た。

この顔、この髪色・・・まさか

窓にはその物語に出てくる殺される女性によく似た少女が驚いた顔をして写っていた。

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