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7.変化
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私が倒れてから父は毎日扉まで来ては声をかけて私を見たあと仕事に向かうということを繰り返した。
最初は私も警戒して体を強ばらせていたが毎日毎日飽きることなくやってくる父の姿に少しだけ体が強ばることがなくなってきた。
今日も来た。
毎日来るもんだから足音で父が来るのがわかるようになってきた。
私が視線を扉に移すとメイドさん達も気がついてクスクスと笑う。
「ラーミア様は旦那様が来るのがわかるのですね」
「ほら来たわ」
みんなで見ていると父が顔をだして挨拶をする。
「ラーミア、おはよう」
「おはようございます、旦那様」
メイドさん達がいっせいに挨拶をする。
私はメイドさんの服をぎゅっと掴んで父を肩越しに覗き込んだ。
父は私と目が合うと優しそうに微笑む。
その顔をみてサッと顔を隠した。
父は私の顔が隠れると「では行ってくる」と扉から離れる。
そして私はホッと力を抜くのだ。
「ラーミア様、旦那様はお優しい方ですよ。私達メイドにもとっても」
「ええ、ここにお仕えできて本当に幸せです」
メイドさん達は毎日父の優しさについて話してくる。
確かに前の父とは違う感じがするがそれでも男だ。私はまだわかったと素直に近付けそうにはない。
そんな日が続き私も少しだけ成長してきた時の事、そろそろ立ち上がれるのではとベッドの手すりに掴まって立ち上がって見るがまた上手くいかない。
早く歩けるようになりたい私は毎日起き上がる訓練を続けていた。
そしてある日立ち上がることに成功した。
まだ頭が重くてフラフラするが手を離して数秒立っていられた。
見て!と周りを見るがメイドさんたちは私の服を片付けたりと忙しそうにしていて見ていなかった。
なんだと扉の方に視線を向けると父が驚いた顔で硬直している。
何事かと思っていると何か叫びそうになり慌てて口を手で抑えていた。
そしてメイドさんを呼び寄せると何話している。メイドさんは話を聞いて驚いた顔をした後嬉しそうに私に駆け寄ってきた。
「ラーミア様おめでとうございます! 立ち上がれたと旦那様から聞きましたよ!」
「えー!」
「おめでとうございます! 毎日頑張っていらしたから」
メイドさん達から褒められてなんか恥ずかしくなる、チラッと父を見ると誇らしそうに私が褒められる様子を眺めていた。
私が立ち上がれるようになるとベッドでは危ないと低い位置にフカフカの布を敷かれてそこで立つ練習をする事になった。
毎日立っていられる時間が長くなり、気がつくと歩くのは無理でも立っているのは出来るようになっていた。
「ラーミア様は成長が早いですね」
メイドさんに褒められて私は得意げに手を離して立ち上がる。
「凄い!」
こんな事で拍手してもらえる事に私は幸せを感じていた。
最初は私も警戒して体を強ばらせていたが毎日毎日飽きることなくやってくる父の姿に少しだけ体が強ばることがなくなってきた。
今日も来た。
毎日来るもんだから足音で父が来るのがわかるようになってきた。
私が視線を扉に移すとメイドさん達も気がついてクスクスと笑う。
「ラーミア様は旦那様が来るのがわかるのですね」
「ほら来たわ」
みんなで見ていると父が顔をだして挨拶をする。
「ラーミア、おはよう」
「おはようございます、旦那様」
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私はメイドさんの服をぎゅっと掴んで父を肩越しに覗き込んだ。
父は私と目が合うと優しそうに微笑む。
その顔をみてサッと顔を隠した。
父は私の顔が隠れると「では行ってくる」と扉から離れる。
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「ラーミア様、旦那様はお優しい方ですよ。私達メイドにもとっても」
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確かに前の父とは違う感じがするがそれでも男だ。私はまだわかったと素直に近付けそうにはない。
そんな日が続き私も少しだけ成長してきた時の事、そろそろ立ち上がれるのではとベッドの手すりに掴まって立ち上がって見るがまた上手くいかない。
早く歩けるようになりたい私は毎日起き上がる訓練を続けていた。
そしてある日立ち上がることに成功した。
まだ頭が重くてフラフラするが手を離して数秒立っていられた。
見て!と周りを見るがメイドさんたちは私の服を片付けたりと忙しそうにしていて見ていなかった。
なんだと扉の方に視線を向けると父が驚いた顔で硬直している。
何事かと思っていると何か叫びそうになり慌てて口を手で抑えていた。
そしてメイドさんを呼び寄せると何話している。メイドさんは話を聞いて驚いた顔をした後嬉しそうに私に駆け寄ってきた。
「ラーミア様おめでとうございます! 立ち上がれたと旦那様から聞きましたよ!」
「えー!」
「おめでとうございます! 毎日頑張っていらしたから」
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私が立ち上がれるようになるとベッドでは危ないと低い位置にフカフカの布を敷かれてそこで立つ練習をする事になった。
毎日立っていられる時間が長くなり、気がつくと歩くのは無理でも立っているのは出来るようになっていた。
「ラーミア様は成長が早いですね」
メイドさんに褒められて私は得意げに手を離して立ち上がる。
「凄い!」
こんな事で拍手してもらえる事に私は幸せを感じていた。
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