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その後6
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「いや、悪かった!謝るよ」
するとファイさんがいきなりジョンさん達に頭を下げた。
「「「「へ?」」」」
急に謝りだしたファイさんにみんなが戸惑っていると、ロードさんの手が離れた。
行っていいと合図されてみんなに駆け寄ると
「ファイさん!みんなの事を悪くいうの許さないよ!」
ファイの前で両手を広げてみんなを庇った!
「悪い、悪い!こいつらがミラをどう思ってんのか気になってな…まぁしばらくは様子を見てやるよ」
そう言って頭にポンッと手を乗せた。
「何それ?」
私が首を傾げると…
「それよりも!食堂は何処だ?ミラが作ってるんだろ?久しぶりに食べたいなぁ~ミラの飯!」
ファイさんがニコニコと見つめてくる。
この人これが目当てで来てない?
私は仕方なく食堂に案内する事にした。
✱✱✱
ミラが食堂に案内するべく歩き出すと…
「なぁあんた…さっきのわざとか?」
ジョンがファイにそっと話しかけた。
するとファイはフッと笑い。
「いや、別に…ミラがここまでして一緒にいたいやつってのはどんな男かと思ってな…」
「あんた王都からの視察なんだよな?」
「ああ、そうだよ。でもミラの事は妹みたいに可愛がってたんでね…そんな子がこんな所に行ってしまったんだ、そりゃ心配するだろ。本来ならあの子は王都で貴族の家に嫁に行って贅沢で安心した暮らしを出来るのにそれを全て捨ててここに来てるんだ…」
「そうか…」
ジョンが下を向くと
「どうする?今からでも王都に戻すか?手助けは出来るぞ」
ファイの言葉にジョンは顔をあげた。
ファイはジョンがなんと言うのか待っていると…
「駄目だ、もうあの子を遠くに手放す気はない…あの子が自分から出たいと言うまでは…ミラに何かしてみろ…許さんからな…」
ジョンはキッとファイを睨んだ。
「そうか…まぁ気が変わったら何時でも言ってくれ。ここにはちょこちょこ来る予定なんでな」
ファイは笑うとミラの方に歩き出した。
「な、なんなんだ…?」
別にミラを無理やり連れていくわけでもないファイの言動にジョンは肩透かしをくらった。
「ファイさん!何してるの、離れないでって言ったでしょ」
ミラはいつの間にか付いてきてなかったファイさんを怒ると
「悪い、悪い!ちょっと話してみたい男がいてな!」
「え?知り合いがここにいるの?」
ミラはみんなを見るが、ファイさんの登場に困惑した顔を浮かべていた。
「大丈夫、もう確認出来たからな。ほら早く食堂に連れてってくれ!また新しいの料理は作ったのか?」
「え?んーまぁ、食材がなんか増えてたから色々作ってるよ」
「よし!それを全て確認するぞ」
「ぜ、全部?」
ミラが驚くと
「当たり前だろ!料理長達にもしっかりと見てきて欲しいって頼まれてるんだ!それをしなきゃ俺がどんな目に合うか…」
ファイさんがブルっと震えて怯える仕草をした。
「ふふっ、わかったよ。サミュエルさんに後でレシピ書いておくね」
「助かります!」
ロードさんがほっと胸に手を当てていた。
なんか…そんなに脅されたのかな?
王宮での立場が気になってしまった。
ファイさん達は視察もそこそこに食堂を堪能してレシピをロードさんがしっかりと抱きしめて帰ることになった。
「じゃあなミラ、王宮にも顔出せよ。みんな会いたがってるからな」
「はい!次に帰る時はちゃんと寄ります」
ミラは笑って答えると…ファイさんが少し寂しそうに笑って近づいてきた。
そのまま持ち上げられて抱っこされると…
「このまま持って帰ってやってもいいんだけどな…帰りたくなったら何時でも言えよ」
ファイさんが優しく囁いた。
ファイさんの言葉に一瞬驚くと…
「ありがとうございます、でも大丈夫ですよ。私は…ここで幸せです」
「そう言うと思った」
ファイさんは苦笑して下ろしてくれた。
「まぁ今言った言葉は本当だ。辛くなったら何時でも言えよ」
「うん!」
私は元気に頷くとファイさんが笑って馬車に乗った。
「またこっちにも来てね!」
私が手を振るとファイさんは馬車から笑って手を振り返してくれた。
まぁ…王子だから早々来れないだろうけど…
それでも様子を見に来てくれたファイさんに感謝の気持ちで手を振り続けた。
✱✱✱
「ファイさん…また来たの?」
それからというものファイさんはひと月に何度も収容所を訪れるようになった…
「あんたまた来てるのか?」
「もう、収容所入れば?」
食堂でよく見かけるファイさんに囚人達も慣れてきたようだ。
一応…あの人王子なんだけど…
「ファイさん…また来たのか…」
ジョンさんはファイさんを見つけてため息をつく。
「ミラの飯がどうしても食べたくなってな」
「それはわかるが…確かにミラの飯は美味いし…でもあんた仕事はいいのか?」
囚人に心配される王子って…
「大丈夫、これも仕事だから」
「そんな楽な仕事があるのかよ…」
さすがのジョンさんも呆れているが、なんか仲が良さそうだ。
楽しそうに囚人達と談笑するファイさんは王子には見えなかった。
さてと…ロードさんに連絡するかな…
ファイさんが一通りご飯を食べ終えたところでロードさんに早馬を出した。
この後ロードさんが怒りながらファイさんを迎えに来るのだ…
これが収容所の名物になるのもそう遠い未来ではなさそうだ。
するとファイさんがいきなりジョンさん達に頭を下げた。
「「「「へ?」」」」
急に謝りだしたファイさんにみんなが戸惑っていると、ロードさんの手が離れた。
行っていいと合図されてみんなに駆け寄ると
「ファイさん!みんなの事を悪くいうの許さないよ!」
ファイの前で両手を広げてみんなを庇った!
「悪い、悪い!こいつらがミラをどう思ってんのか気になってな…まぁしばらくは様子を見てやるよ」
そう言って頭にポンッと手を乗せた。
「何それ?」
私が首を傾げると…
「それよりも!食堂は何処だ?ミラが作ってるんだろ?久しぶりに食べたいなぁ~ミラの飯!」
ファイさんがニコニコと見つめてくる。
この人これが目当てで来てない?
私は仕方なく食堂に案内する事にした。
✱✱✱
ミラが食堂に案内するべく歩き出すと…
「なぁあんた…さっきのわざとか?」
ジョンがファイにそっと話しかけた。
するとファイはフッと笑い。
「いや、別に…ミラがここまでして一緒にいたいやつってのはどんな男かと思ってな…」
「あんた王都からの視察なんだよな?」
「ああ、そうだよ。でもミラの事は妹みたいに可愛がってたんでね…そんな子がこんな所に行ってしまったんだ、そりゃ心配するだろ。本来ならあの子は王都で貴族の家に嫁に行って贅沢で安心した暮らしを出来るのにそれを全て捨ててここに来てるんだ…」
「そうか…」
ジョンが下を向くと
「どうする?今からでも王都に戻すか?手助けは出来るぞ」
ファイの言葉にジョンは顔をあげた。
ファイはジョンがなんと言うのか待っていると…
「駄目だ、もうあの子を遠くに手放す気はない…あの子が自分から出たいと言うまでは…ミラに何かしてみろ…許さんからな…」
ジョンはキッとファイを睨んだ。
「そうか…まぁ気が変わったら何時でも言ってくれ。ここにはちょこちょこ来る予定なんでな」
ファイは笑うとミラの方に歩き出した。
「な、なんなんだ…?」
別にミラを無理やり連れていくわけでもないファイの言動にジョンは肩透かしをくらった。
「ファイさん!何してるの、離れないでって言ったでしょ」
ミラはいつの間にか付いてきてなかったファイさんを怒ると
「悪い、悪い!ちょっと話してみたい男がいてな!」
「え?知り合いがここにいるの?」
ミラはみんなを見るが、ファイさんの登場に困惑した顔を浮かべていた。
「大丈夫、もう確認出来たからな。ほら早く食堂に連れてってくれ!また新しいの料理は作ったのか?」
「え?んーまぁ、食材がなんか増えてたから色々作ってるよ」
「よし!それを全て確認するぞ」
「ぜ、全部?」
ミラが驚くと
「当たり前だろ!料理長達にもしっかりと見てきて欲しいって頼まれてるんだ!それをしなきゃ俺がどんな目に合うか…」
ファイさんがブルっと震えて怯える仕草をした。
「ふふっ、わかったよ。サミュエルさんに後でレシピ書いておくね」
「助かります!」
ロードさんがほっと胸に手を当てていた。
なんか…そんなに脅されたのかな?
王宮での立場が気になってしまった。
ファイさん達は視察もそこそこに食堂を堪能してレシピをロードさんがしっかりと抱きしめて帰ることになった。
「じゃあなミラ、王宮にも顔出せよ。みんな会いたがってるからな」
「はい!次に帰る時はちゃんと寄ります」
ミラは笑って答えると…ファイさんが少し寂しそうに笑って近づいてきた。
そのまま持ち上げられて抱っこされると…
「このまま持って帰ってやってもいいんだけどな…帰りたくなったら何時でも言えよ」
ファイさんが優しく囁いた。
ファイさんの言葉に一瞬驚くと…
「ありがとうございます、でも大丈夫ですよ。私は…ここで幸せです」
「そう言うと思った」
ファイさんは苦笑して下ろしてくれた。
「まぁ今言った言葉は本当だ。辛くなったら何時でも言えよ」
「うん!」
私は元気に頷くとファイさんが笑って馬車に乗った。
「またこっちにも来てね!」
私が手を振るとファイさんは馬車から笑って手を振り返してくれた。
まぁ…王子だから早々来れないだろうけど…
それでも様子を見に来てくれたファイさんに感謝の気持ちで手を振り続けた。
✱✱✱
「ファイさん…また来たの?」
それからというものファイさんはひと月に何度も収容所を訪れるようになった…
「あんたまた来てるのか?」
「もう、収容所入れば?」
食堂でよく見かけるファイさんに囚人達も慣れてきたようだ。
一応…あの人王子なんだけど…
「ファイさん…また来たのか…」
ジョンさんはファイさんを見つけてため息をつく。
「ミラの飯がどうしても食べたくなってな」
「それはわかるが…確かにミラの飯は美味いし…でもあんた仕事はいいのか?」
囚人に心配される王子って…
「大丈夫、これも仕事だから」
「そんな楽な仕事があるのかよ…」
さすがのジョンさんも呆れているが、なんか仲が良さそうだ。
楽しそうに囚人達と談笑するファイさんは王子には見えなかった。
さてと…ロードさんに連絡するかな…
ファイさんが一通りご飯を食べ終えたところでロードさんに早馬を出した。
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