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その後
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«ケイジとロイド»
「看守長…いいんですか?」
囚人達がワラワラとミラの周りに集まっていくのを看守達はハラハラしながら見つめていた。
「まぁ…今日は特別です。なんせ感動の再会…それを邪魔しては嫌われてしまいますからね」
ケイジ看守長が苦笑する。
「まぁ…それは確かにごめんこうむりたいです」
看守も同意した。
「それに何かしたらミラさんの責任になるとあの人達もわかっているでしょう…今日は許しますが明日からはお互いの立場をキチンとわからせないとですね」
「そうですね!ミラちゃんは看守ですからね!いやぁ~楽しみだなぁ~一緒に囚人達を大人しくさせないと!」
看守が嬉しそうに棍棒を振り回した。
「そういえばロイド看守はミラさんとも面識がありましたね」
「はい!」
ロイドが勢いよく返事をする。
「ではしばらくはミラさんの教育係として指導してあげて下さい」
「お任せて下さい!」
ロイドは嬉しそうにミラを見つめると、今だけは囚人達に譲ってやるかとその様子を眺めていた。
«ローガン»
「ミラさん…」
まさかと挨拶をする新任の看守を見つめていたローガンは思わず口を押さえた。
「あんなに…大きくなって…」
そこには別れた時には泣きそうな顔をしていた可愛い娘が成長した様子で堂々と挨拶をしていた。
ミラは挨拶を終えると壇上から降りて真っ直ぐにジョンの元へと歩き出した…
囚人達はその様子に自ら身を引いてミラの為に道を作っている。
ミラがジョンの前に立つとパニックになっていたジョンが恐る恐る顔をあげた。
そして目の前のミラを見ながら何かに耐えるように口を開いた。
せっかくこんな所から出したのに何故、戻ってきたのかと…
しかし久しぶりに会うあの子に抱きつきたいのだろう、その手をグッと堪えるように握りしめていた。
ミラはここに自ら戻ってきたと、そして何度追い出されても戻ってくる…そう言う。
ああ、私達は間違っていた。
あの子の幸せはここにあったのだ…それが何よりも嬉しかった。
気がつけば足が動きミラに駆け寄っていた。
「ミラさん…」
抱き合うミラとジョンに声をかけると…
「ローガンさん!」
ミラは顔をあげて私を見つめた…そしてその顔が喜びのあまり泣き出した。
「お願いです…笑ってください」
ミラを離してくれないジョンを無視してミラの顔に優しく手を触れる。
とめどなく流れる涙を指先で拭うと
「会いたかったです…」
泣きながら笑いかけられた。
「私もです…」
抱っこしてと手を伸ばすミラはあの小さかった頃と何も変わらない。
ジョンから盗み出すようにミラを受け取るとその成長したミラを抱きしめた。
成長したといってもやはりまだ子供…こんな小さな体にここの看守をさせるという決断をさせた事に後悔を覚えた。
しかし、後にそれをミラに聞くと出してくれたことに感謝もしていた。
外の世界を知ったからこそここに帰ってきたいと改めて思えたのだと…
「なんてしっかりとした、可愛い娘なんだ…」
思わず本音がポロッとこぼれると…
「お父さん達のおかげです」
頬を染めて笑うこの子をもう二度と手放せそうになかった。
「看守長…いいんですか?」
囚人達がワラワラとミラの周りに集まっていくのを看守達はハラハラしながら見つめていた。
「まぁ…今日は特別です。なんせ感動の再会…それを邪魔しては嫌われてしまいますからね」
ケイジ看守長が苦笑する。
「まぁ…それは確かにごめんこうむりたいです」
看守も同意した。
「それに何かしたらミラさんの責任になるとあの人達もわかっているでしょう…今日は許しますが明日からはお互いの立場をキチンとわからせないとですね」
「そうですね!ミラちゃんは看守ですからね!いやぁ~楽しみだなぁ~一緒に囚人達を大人しくさせないと!」
看守が嬉しそうに棍棒を振り回した。
「そういえばロイド看守はミラさんとも面識がありましたね」
「はい!」
ロイドが勢いよく返事をする。
「ではしばらくはミラさんの教育係として指導してあげて下さい」
「お任せて下さい!」
ロイドは嬉しそうにミラを見つめると、今だけは囚人達に譲ってやるかとその様子を眺めていた。
«ローガン»
「ミラさん…」
まさかと挨拶をする新任の看守を見つめていたローガンは思わず口を押さえた。
「あんなに…大きくなって…」
そこには別れた時には泣きそうな顔をしていた可愛い娘が成長した様子で堂々と挨拶をしていた。
ミラは挨拶を終えると壇上から降りて真っ直ぐにジョンの元へと歩き出した…
囚人達はその様子に自ら身を引いてミラの為に道を作っている。
ミラがジョンの前に立つとパニックになっていたジョンが恐る恐る顔をあげた。
そして目の前のミラを見ながら何かに耐えるように口を開いた。
せっかくこんな所から出したのに何故、戻ってきたのかと…
しかし久しぶりに会うあの子に抱きつきたいのだろう、その手をグッと堪えるように握りしめていた。
ミラはここに自ら戻ってきたと、そして何度追い出されても戻ってくる…そう言う。
ああ、私達は間違っていた。
あの子の幸せはここにあったのだ…それが何よりも嬉しかった。
気がつけば足が動きミラに駆け寄っていた。
「ミラさん…」
抱き合うミラとジョンに声をかけると…
「ローガンさん!」
ミラは顔をあげて私を見つめた…そしてその顔が喜びのあまり泣き出した。
「お願いです…笑ってください」
ミラを離してくれないジョンを無視してミラの顔に優しく手を触れる。
とめどなく流れる涙を指先で拭うと
「会いたかったです…」
泣きながら笑いかけられた。
「私もです…」
抱っこしてと手を伸ばすミラはあの小さかった頃と何も変わらない。
ジョンから盗み出すようにミラを受け取るとその成長したミラを抱きしめた。
成長したといってもやはりまだ子供…こんな小さな体にここの看守をさせるという決断をさせた事に後悔を覚えた。
しかし、後にそれをミラに聞くと出してくれたことに感謝もしていた。
外の世界を知ったからこそここに帰ってきたいと改めて思えたのだと…
「なんてしっかりとした、可愛い娘なんだ…」
思わず本音がポロッとこぼれると…
「お父さん達のおかげです」
頬を染めて笑うこの子をもう二度と手放せそうになかった。
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