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新任看守 【完】
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「今日は新たな我々の仲間を紹介する為に皆に集まってもらった、この収容所始まって以来の女性の看守に来てもらうこととなったのだ。皆に顔を覚えてもらい、今後囚人らしい態度で接するように!」
ケイジ看守長は集まった囚人達に集まってもらった経緯を話し出した。
「やっぱりな~どんなかわい子ちゃんなんだ!」
「そんな女に看守なんて務まるのか!?」
囚人達が馬鹿にしたように声をあげると
「そこ!黙れ」
看守達から厳しい喝が飛んできた。
「とても優秀な方ですのできっとあなた達を手玉に取ることでしょう」
ケイジ看守が囚人達を一瞥して不敵に笑った。
「俺達も舐められたもんだな…」
「女の囚人だっているんだ、別に珍しいもんでもないだろ」
自信満々なケイジ看守長の言葉に鼻で笑っている。
「なんだ?なんかおかしいぞ…ケイジ看守長らしくない…一体どんな奴が来るんだ?」
ジョンは不安になって隣の棟の列に並ぶローガンをチラッと見ると同じように少し困惑していた。
そんな俺達の不安にも構わずにケイジ看守長の話は続きとうとう本人が出てくる事となった…
ケイジ看守長がそこまで言うやつとはどんな奴だと皆が注目していると…
「では挨拶を…今日からここで働く事になった…『ミラ・ハント』さんだ」
『ミラ?』
俺達の頭にミラと聞いて全く同じ人物が浮かび上がった。
「皮肉か、同じ名前のやつを連れてくるなんて…」
どんな姿かと皆が一点に集中する…違うとわかっていても何故か胸がざわつき、うるさかった。
そしてその姿が現れると…目を見開いた。
「嘘だろ…」
囚人達はシーンと静まり返った。
そんな雰囲気のなかその子は笑顔で口を開いた。
「皆さん、今日からこのサンサギョウ収容所で看守として働く事になりました、ミラ・ハントです!小さく見えますがこう見えても大人って訳ではなくて子供です。でも優秀なもんでここで働く事を許可してもらいました!小さいからって舐めてたら痛い目みますからよろしくお願いします!」
そこにいた子供はニカッと笑うと頭を下げた。
「ミラちゃんおかえり!」
唖然として静まり返るなか看守の一人が声をかけて拍手をした。
パチパチと手を叩くと他の看守達が続き声をかける。
「は?」
あれはなんだ…俺の目はとうとうイカれたのか?ミラに会いたすぎて子供が全てミラに見えるとか?
ギュッと自分の頬を思いっきりつねると…
「いってえ!」
強くひねりすぎて涙が零れた。
「夢…じゃない?」
頬を押さえて自分に問いかける。
「夢じゃないよ!」
唖然としているとすぐ目の前であの声が聞こえる…
恐る恐る視線をあげると小さな足が前に見えた…そのままそっと顔をあげると…
「ミ…ラ?」
「うん!ジョンさんただいま!帰ってきちゃった!」
ミラは涙を必死に我慢しながら笑ってそう言った…
「バカ…なんで戻ってきた…」
本当は今すぐ抱きしめたい、少し大きくなったあの子の顔をすぐ近くで見たい。
でもそれと同時にこんなところに居させちゃ行けないんだと葛藤する。
ようやくそう声を絞り出すと…
「だってここがやっぱり私の生まれた家なんだもん。何度追い出したっていいよ!また絶対に帰ってくるもんね!」
必死に泣き顔を笑顔に変えながらそう言う我が子を誰が追い返せる?
「ばかやろう…」
そう言いながら俺は迎え入れるように手を広げた。
「ジョンさん!」
ミラは俺の胸に飛び込んできた…その小さな体を壊さないようにギュッと抱きしめる。
大きくなったはずなのに何も変わらない…あの初めて抱きしめた赤子の時から何も…
「ようやく…ここから出せたと思ったのに…戻ってくるなんて…」
「うん…」
「もうここから出せないぞ、いや何処にも行かせないぞ…いいのか」
「もとよりそのつもり!ジョンさん達が何度追い出してもあの手この手で戻ってくるからね」
「この…バカ娘…」
「親に似たのかな!?」
言ってくれる…
だがそれ以上、声が出なかった。
「ミラ!」
「ミラさん!」
近づいてくるローガンやメイソンの声が聞こえる…だけどこんな顔を見られる訳にはいかない。
俺は顔をあげられずにずっとミラを抱きしめ続けた。
ケイジ看守長は集まった囚人達に集まってもらった経緯を話し出した。
「やっぱりな~どんなかわい子ちゃんなんだ!」
「そんな女に看守なんて務まるのか!?」
囚人達が馬鹿にしたように声をあげると
「そこ!黙れ」
看守達から厳しい喝が飛んできた。
「とても優秀な方ですのできっとあなた達を手玉に取ることでしょう」
ケイジ看守が囚人達を一瞥して不敵に笑った。
「俺達も舐められたもんだな…」
「女の囚人だっているんだ、別に珍しいもんでもないだろ」
自信満々なケイジ看守長の言葉に鼻で笑っている。
「なんだ?なんかおかしいぞ…ケイジ看守長らしくない…一体どんな奴が来るんだ?」
ジョンは不安になって隣の棟の列に並ぶローガンをチラッと見ると同じように少し困惑していた。
そんな俺達の不安にも構わずにケイジ看守長の話は続きとうとう本人が出てくる事となった…
ケイジ看守長がそこまで言うやつとはどんな奴だと皆が注目していると…
「では挨拶を…今日からここで働く事になった…『ミラ・ハント』さんだ」
『ミラ?』
俺達の頭にミラと聞いて全く同じ人物が浮かび上がった。
「皮肉か、同じ名前のやつを連れてくるなんて…」
どんな姿かと皆が一点に集中する…違うとわかっていても何故か胸がざわつき、うるさかった。
そしてその姿が現れると…目を見開いた。
「嘘だろ…」
囚人達はシーンと静まり返った。
そんな雰囲気のなかその子は笑顔で口を開いた。
「皆さん、今日からこのサンサギョウ収容所で看守として働く事になりました、ミラ・ハントです!小さく見えますがこう見えても大人って訳ではなくて子供です。でも優秀なもんでここで働く事を許可してもらいました!小さいからって舐めてたら痛い目みますからよろしくお願いします!」
そこにいた子供はニカッと笑うと頭を下げた。
「ミラちゃんおかえり!」
唖然として静まり返るなか看守の一人が声をかけて拍手をした。
パチパチと手を叩くと他の看守達が続き声をかける。
「は?」
あれはなんだ…俺の目はとうとうイカれたのか?ミラに会いたすぎて子供が全てミラに見えるとか?
ギュッと自分の頬を思いっきりつねると…
「いってえ!」
強くひねりすぎて涙が零れた。
「夢…じゃない?」
頬を押さえて自分に問いかける。
「夢じゃないよ!」
唖然としているとすぐ目の前であの声が聞こえる…
恐る恐る視線をあげると小さな足が前に見えた…そのままそっと顔をあげると…
「ミ…ラ?」
「うん!ジョンさんただいま!帰ってきちゃった!」
ミラは涙を必死に我慢しながら笑ってそう言った…
「バカ…なんで戻ってきた…」
本当は今すぐ抱きしめたい、少し大きくなったあの子の顔をすぐ近くで見たい。
でもそれと同時にこんなところに居させちゃ行けないんだと葛藤する。
ようやくそう声を絞り出すと…
「だってここがやっぱり私の生まれた家なんだもん。何度追い出したっていいよ!また絶対に帰ってくるもんね!」
必死に泣き顔を笑顔に変えながらそう言う我が子を誰が追い返せる?
「ばかやろう…」
そう言いながら俺は迎え入れるように手を広げた。
「ジョンさん!」
ミラは俺の胸に飛び込んできた…その小さな体を壊さないようにギュッと抱きしめる。
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「ようやく…ここから出せたと思ったのに…戻ってくるなんて…」
「うん…」
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「この…バカ娘…」
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言ってくれる…
だがそれ以上、声が出なかった。
「ミラ!」
「ミラさん!」
近づいてくるローガンやメイソンの声が聞こえる…だけどこんな顔を見られる訳にはいかない。
俺は顔をあげられずにずっとミラを抱きしめ続けた。
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