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「な、なんでしょう…」

私はゴクリと唾を飲むと何を言われるのかと姿勢を正した。

するとオバジ様は少しだけ笑って…

「休日には必ず王都に来る事、その際にここに一度報告に来なさい…それで問題が無いようなら認めよう」

にっこりと安心するような笑顔をしてくれた。

「わかりました…お試し期間って事ですね!」

「ちょ!ちょっと待ってくれ!本当にミラに看守なんてやらせるつもりですか!?」

ファイさんが心配そうにこちらを見ている。

「うん!やってみる、もし駄目なら…また違う方法考えるだけだから」

「そこまで…」

「心配してくれてありがとうございます!でも私の居たい場所はあそこなんです…王都に来る時には何かお土産持ってきますからね」

「わかった…ならその報告書を確認する役目俺にやらせて下さい」

ファイさんがオバジ様にお願いすると…少し思案していたがこくりと頷いた。

「まぁいいだろう。ではミラ…君を一週間後サンサギョウ収容所の看守に任命する。あそこはケイジ看守長だったな、彼の下に就いて作業内容は彼に聞きなさい」

「はい!」

私は待ってましたと敬礼した!

「ハーパー殿はこのまま収容所にお戻りください」

「わかりました」

オバジ様が話は終わりだと私達を下がらせた。

細かな内容は後日書面にて屋敷に送らせると言うことなので怒涛の会食回は終わった。

帰り支度をする為に一度厨房に行くと…

「全くミラは…全然言う事聞きやしないな…」

ハーパーがため息を着いていた。

すぐ後ろには兵士さん達が控えている…私達に少しだけ話す時間をくれた。

「えへへ…ごめんね、でもあそこから出てね、何してもつまんなくて…やっぱりみんなに会いたくて…だから私の好きな事をしていいって言われた時にコレだ!って思ったの」

「全く誰に似たんだか…」

「それは私の気持ちも聞かないで勝手にあそこから追い出したお父さん達かな?」

ふふふと笑うとハーパーがきまり悪そうに目をそらす。

「あれは…」

「わかってるよ、私の為だって。でも外の世界を知って思ったの…私の居場所はあそこだって!ここで役に立った事は全部みんなに教えてもらった…だから私もみんなの為に役にたちたい!」

「わかったよ…みんなになんて言うかな…」

ハーパーが悩んでいるので…

「それなんだけど…」

私はハーパーにコイコイと手招きするとそっと耳打ちした。

「みんなにはまだ黙っててくれる?行ってから驚かせたいんだ」

「え!?」

ハーパーは私の考えを聞いて目を見開いた、だけどその後にニヤリと笑うと…

「面白そうだな、それでいこう」

私のサプライズに付き合ってくれると言う。

「では、そろそろ…」

兵士の人達が声をかけてきた。

ハーパーは抵抗することなく両手を差し出すと、兵士さん達が手枷をつけた。

「じゃあなミラ、向こうで待ってるぞ」

「うん!あっ、ハーパー!ノアちゃん!」

預かっていたノアちゃんをハーパーに渡そうとすると…

「いや、ノアもミラと一緒がいいみたいだ。預かっててくれ」

「いいの?」

「ピッ!」

「ノアもそれがいいらしい」

「わかった!ノアちゃん今日から一緒に寝ようね!」

私はふわふわなノアちゃんを優しく抱きしめた。
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