168 / 180
連載
子離れ
しおりを挟む
「そいつを連れて行け…」
男達の証言で黒幕の大臣は喚きながら連行されていった。
「これで裏切り者をやっと処分出来ましたね」
ロードさんが嬉しそうに口角とメガネをあげた。
「ミラがいい具合に煽ってくれたからあっさりとボロを出したな」
別に煽ったつもりなんてないのに…
「中々あの男達が口を割らなかったからな~あいつが怪しいとわかっていたのに捕まえる証拠がなかったんだよ」
「そうなんだ…」
「まぁ国のゴミも掃除出来たし、改めてミラ達への褒美の件だな」
「何がいいのかな?今回の働きは国にとって大変素晴らしい功績だ…なんでも言ってみなさい」
オバジ様が優しい顔でこちらを見つめた…
「ならお願いが一つあります…」
私がチラッとハーパーの方を見ると…バッチリと目が合う。
「待ってくれ!それは俺もなんかわがまま聞いてもらえるのかな?」
するとハーパーが私が何か言うのを遮ってオバジ様を見つめた。
「ああ、君の事情は聞いています。何か望みがあるのですか?」
オバジ様が敬語で話し出すと
「やめてよ、俺は囚人。それは確かなんだから」
「しかし…」
「いいから、俺の願いはずっとあそこにいる事…俺の居場所はあそこでいいんだよ」
ハーパーは私の方を見て頷いた。
「ハーパー…」
あそこはハーパーにとっても大切な場所なんだね…
「だからなミラ、願いはお前の為に言え。俺達に何かしようなんて考えなくていいんだよ。これは俺だけじゃない、あいつらの願いでもあるんだ」
ハーパーがそう言うと、ノアちゃんがピッ!と鳴いた。
そして私の手から降りるとハーパーの傍に行ってしまう。
「ノアも同じ気持ちだ。お前は外に出てこうやって自分の力で自分の地位を作ってる。頼りになる仲間や知り合いもたくさん出来たみたいだしな」
ハーパーは少しだけ寂しそうに笑った。
「うん…わかった。ハーパーありがとう!ハーパーの気持ちもみんなの気持ちも凄く嬉しい…私は本当に素敵なパパ達に育てられたんだね」
ニカッとハーパーを安心させるようにに笑って見せた。
ハーパーは複雑な気持ちでミラの成長を喜んだ…寂しいような嬉しいような。
でも外に出した事は間違ってなかった、ミラは一人で、大人達の周りの力を借りて好きな事を出来るようになっていた。
これで良かったんだ、俺達の様な前科持ちの奴らの傍に居るような子じゃない、あの子は陽の光の元でキラキラと輝ける子だ、俺達もいよいよ子離れをする時が来たようだ。
ハーパーは成長したミラを誇らしそうに見つめていた。
男達の証言で黒幕の大臣は喚きながら連行されていった。
「これで裏切り者をやっと処分出来ましたね」
ロードさんが嬉しそうに口角とメガネをあげた。
「ミラがいい具合に煽ってくれたからあっさりとボロを出したな」
別に煽ったつもりなんてないのに…
「中々あの男達が口を割らなかったからな~あいつが怪しいとわかっていたのに捕まえる証拠がなかったんだよ」
「そうなんだ…」
「まぁ国のゴミも掃除出来たし、改めてミラ達への褒美の件だな」
「何がいいのかな?今回の働きは国にとって大変素晴らしい功績だ…なんでも言ってみなさい」
オバジ様が優しい顔でこちらを見つめた…
「ならお願いが一つあります…」
私がチラッとハーパーの方を見ると…バッチリと目が合う。
「待ってくれ!それは俺もなんかわがまま聞いてもらえるのかな?」
するとハーパーが私が何か言うのを遮ってオバジ様を見つめた。
「ああ、君の事情は聞いています。何か望みがあるのですか?」
オバジ様が敬語で話し出すと
「やめてよ、俺は囚人。それは確かなんだから」
「しかし…」
「いいから、俺の願いはずっとあそこにいる事…俺の居場所はあそこでいいんだよ」
ハーパーは私の方を見て頷いた。
「ハーパー…」
あそこはハーパーにとっても大切な場所なんだね…
「だからなミラ、願いはお前の為に言え。俺達に何かしようなんて考えなくていいんだよ。これは俺だけじゃない、あいつらの願いでもあるんだ」
ハーパーがそう言うと、ノアちゃんがピッ!と鳴いた。
そして私の手から降りるとハーパーの傍に行ってしまう。
「ノアも同じ気持ちだ。お前は外に出てこうやって自分の力で自分の地位を作ってる。頼りになる仲間や知り合いもたくさん出来たみたいだしな」
ハーパーは少しだけ寂しそうに笑った。
「うん…わかった。ハーパーありがとう!ハーパーの気持ちもみんなの気持ちも凄く嬉しい…私は本当に素敵なパパ達に育てられたんだね」
ニカッとハーパーを安心させるようにに笑って見せた。
ハーパーは複雑な気持ちでミラの成長を喜んだ…寂しいような嬉しいような。
でも外に出した事は間違ってなかった、ミラは一人で、大人達の周りの力を借りて好きな事を出来るようになっていた。
これで良かったんだ、俺達の様な前科持ちの奴らの傍に居るような子じゃない、あの子は陽の光の元でキラキラと輝ける子だ、俺達もいよいよ子離れをする時が来たようだ。
ハーパーは成長したミラを誇らしそうに見つめていた。
50
お気に入りに追加
3,855
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。