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シン国

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リバー国から帰ってきたジョウジ陛下は苦しそうに眠る息子のルイの元を訪れていた…

あのリバー国から貰った薬の事はケントにはもちろん、妻にも秘密にしてあった。

「ルイ…」

世話係を下がらせるとルイの顔色を伺う。

その顔は白く死人のような顔色をしていた。

「ルイ…これを…」

眠るルイにジョウジはオバジ陛下から貰ったを飲ませると…

「んっ…」

ルイがオイルを口に含み力なく飲み込んだ。

貰った小瓶全てをルイに飲ませると…

「まさか…これ程とは…」

みるみるとルイの顔色が良くなっていく!

「ん…ん、あれ…父上…」

ルイは目を覚ますと目の前で泣きそうな顔をする父親を見つめた。

「父上…リバー国に行っていたのでは…?」

「ああ…行った…行ってきた!とても素晴らしい国だったよ」

「そうですか…私も…いつか行ってみたい…まぁ無理でしょうが…」

弱々しく答えるが、自分の体の様子に違和感を覚える。

「あれ?今日は調子がいいようです…喋っていても疲れません」

驚いて動こうとすると…

「ルイ!無理をするな…」

慌ててジョウジが息子を支えた。

「いえ…なんででしょうか?父上の顔を見ていたらすごく調子が良くなりました!」

起き上がり腕を動かしている…最近のルイではありえない事だった。

「わかってる…わかってるが…無理はするな…体力や筋力が寝ていたから落ちているだろう…これからは徐々に動かしていけばいい…」

「父上…なぜ泣いているのですか?」

ルイは嬉しそうに涙を流す父を不思議そうな顔で眺めた。

「お前が良くなって嬉しいのだ…歩けるようになったら一緒にリバー国に行こう」

「はい!楽しみです!」


その後すぐに王妃とケントが王子の様子を見に来て元気になったルイ王子の様子を見て驚いたがすぐに歓喜した。

「あなた…これは…奇跡が起きたのですか?」

王妃は息子の元気になった姿を喜びながらも何か隠してるジョウジを見つめた。

「わかってるが話す訳にはいかない…お前も知らない振りをしてくれ」

「はい…息子の元気な姿が見れるのであればなんでも致します」

王妃はそっとリバー国に向かって手を合わせた。


ジョウジ陛下は体調が回復したルイ王子は同盟を組んだリバー国の食材を食べた事で体調が良くなったということにした。

事実リバー国の料理は美味しく、たくさんの食材をお土産に貰っていたのだ…それはシン国でたちまち話題となった!

しかもリバー国とは同盟も組んだことでお互いの国を自由に行き来出来るようになり、二国は穏やかな国民性もあり急速にその仲を深めていった。

シン国の人達はリバー国の食材に大変興味を持ちお互いの特産品が町や村でも売られるようになっていった。

ルイ王子がもう心配ないと医者から太鼓判を貰うとジョウジは改めてリバー国へと挨拶に向かった…今度は本当の息子ルイ王子と従者ケントを連れていき、国中のありとあやゆる食材を用意してリバー国に献上した。

こうしてシン国はジョウジ王の代が変わろうともリバー国との協定を守り続けた。

その理由は代々王だけが知る、王族だけの秘密となっていた。

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