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薬
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「確かに凄い効き目だ…これが知られれば本当に戦争が起こるぞ…これはそれだけの価値がある」
「だからなりを潜めてたんだけどなぁ…ミラのおかげでどんどん暴かれる…」
困ったように笑いながらハーパーはミラの頬をつついた。
当の本人はもうすっかり顔色が戻りすやすやと寝ていた。
「やはり君らの事は伏せておこう…彼らには悪いがやはり表に出るべきではない。君らが注目されればいつかミラの事にも注目されるかもしれないぞ」
「それは困る、自分達だけならなんとか我慢出来るが…この子は娘のように大事な子なんだ」
ハーパーは眠るミラをギュッと抱きしめた。
「ああ、知ってる。なら俺に任せてもらえるか…俺もミラの事は可愛い妹くらいには思っているんでね」
ハーパーは頷くとミラが懐いていたファイを信じる事にした。
◆
ファイはハーパー達の護衛をまたジフに頼むとロードと共に謁見の間へと向かった。
オバジ陛下にみんなを集めるように頼んだ。
すると程なくそこに捕らえていたシン国の国王と王妃、ケントを兵士達が連れてきた。
「さぁ役者が揃ったぞ。ファイそれで聖獣はいたのか?」
オバジ陛下がファイを見ると…
「その事で皆さんに報告があります…この度聖獣だと思っていた動物ですが申し訳ない…私の勘違いでした…」
「そうですか…」
ファイの言葉にシン国側は明らかに落胆した。
「他も当たってみましたがやはりそれらしい人物はいませんでした…が、それを狙おうとした大臣がいたのでそこは捕まえておきました」
ファイは自国の大臣の愚行を陛下に伝えた。
「全く恥ずかしい奴らめ…処罰は後で行う。全員捕らえてあるな?」
オバジ陛下がファイとロードを睨むと
「もちろんです。そちらの方は既に処理がすんでおります」
「わかった…いや、すみませんな身内のお恥ずかしい所をお見せして…」
オバジ陛下がシン国のジョウジ国王に謝罪した。
「いえ、やはり価値がある物は争いの元になりますね」
「まぁその争いの元になりそうな聖獣はもうこの世にいないようですね…かなり昔の文献のようですし…」
「そうですか…」
ジョウジ国王は残念そうに肩を落とした。
「ならば我らはなんのために…」
ケントが悔しそうに拳を握りしめると…何かを決意するように顔をあげた。
「オバジ様!お願い致します!陛下の代わりに私を処罰下さい!」
ケントはその場で膝を付くとオバジ陛下に頭を下げた。
「ケント…黙りなさい。もう決めた事だ、本来なら全員の首を差し出すところ…私の物でどうにか収めて頂いているんだ」
ジョウジはケントを窘める。
「その気持ちだけで十分だ、どうか息子によろしくと…向こうで会おうと伝えてくれ」
そういうと上を見上げた。
「あー…その事だが、リバー国からはシン国に対して何も処罰しない事にした」
「「「えっ!?」」」
オバジ陛下の発言にジョウジ達が驚き声をあげる。
「その代わり…条件がある」
オバジは驚く三人を見て笑いかけた。
「だからなりを潜めてたんだけどなぁ…ミラのおかげでどんどん暴かれる…」
困ったように笑いながらハーパーはミラの頬をつついた。
当の本人はもうすっかり顔色が戻りすやすやと寝ていた。
「やはり君らの事は伏せておこう…彼らには悪いがやはり表に出るべきではない。君らが注目されればいつかミラの事にも注目されるかもしれないぞ」
「それは困る、自分達だけならなんとか我慢出来るが…この子は娘のように大事な子なんだ」
ハーパーは眠るミラをギュッと抱きしめた。
「ああ、知ってる。なら俺に任せてもらえるか…俺もミラの事は可愛い妹くらいには思っているんでね」
ハーパーは頷くとミラが懐いていたファイを信じる事にした。
◆
ファイはハーパー達の護衛をまたジフに頼むとロードと共に謁見の間へと向かった。
オバジ陛下にみんなを集めるように頼んだ。
すると程なくそこに捕らえていたシン国の国王と王妃、ケントを兵士達が連れてきた。
「さぁ役者が揃ったぞ。ファイそれで聖獣はいたのか?」
オバジ陛下がファイを見ると…
「その事で皆さんに報告があります…この度聖獣だと思っていた動物ですが申し訳ない…私の勘違いでした…」
「そうですか…」
ファイの言葉にシン国側は明らかに落胆した。
「他も当たってみましたがやはりそれらしい人物はいませんでした…が、それを狙おうとした大臣がいたのでそこは捕まえておきました」
ファイは自国の大臣の愚行を陛下に伝えた。
「全く恥ずかしい奴らめ…処罰は後で行う。全員捕らえてあるな?」
オバジ陛下がファイとロードを睨むと
「もちろんです。そちらの方は既に処理がすんでおります」
「わかった…いや、すみませんな身内のお恥ずかしい所をお見せして…」
オバジ陛下がシン国のジョウジ国王に謝罪した。
「いえ、やはり価値がある物は争いの元になりますね」
「まぁその争いの元になりそうな聖獣はもうこの世にいないようですね…かなり昔の文献のようですし…」
「そうですか…」
ジョウジ国王は残念そうに肩を落とした。
「ならば我らはなんのために…」
ケントが悔しそうに拳を握りしめると…何かを決意するように顔をあげた。
「オバジ様!お願い致します!陛下の代わりに私を処罰下さい!」
ケントはその場で膝を付くとオバジ陛下に頭を下げた。
「ケント…黙りなさい。もう決めた事だ、本来なら全員の首を差し出すところ…私の物でどうにか収めて頂いているんだ」
ジョウジはケントを窘める。
「その気持ちだけで十分だ、どうか息子によろしくと…向こうで会おうと伝えてくれ」
そういうと上を見上げた。
「あー…その事だが、リバー国からはシン国に対して何も処罰しない事にした」
「「「えっ!?」」」
オバジ陛下の発言にジョウジ達が驚き声をあげる。
「その代わり…条件がある」
オバジは驚く三人を見て笑いかけた。
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