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ミラ

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「お前は本当に料理の事になると…アレだな…」

変わっていないミラの様子にハーパーは肩の力が抜けた。

「俺は構わないけど…ノアも…まぁやる気満々だな」

ノアちゃんが頷くと力強く羽ばたきその体がピカッ!と光った。

あまりの眩しさに目を瞑ってしまう。

「ほらよ」

ハーパーの声にそっと目を開くとハーパーの手の中には綺麗な透明の緑色の液体が入った容器を差し出した。

「え!?もう作ったの?ノアちゃん…どうやってるんだろ…」

ノアちゃんを見るとキュ?と首を傾げている…その姿が可愛すぎてどうでも良くなった!

「ノアちゃんありがとう!それにハーパーも!」

「ついでみたく言うなよ!」

「えへへ、ねぇ!今からシン国の為の料理作るんだよ!ハーパーも見てってよ!」

「俺は囚人だけどいいのか?」

「あっ、忘れてた~でもこれだけ国に貢献すれば刑期が短くなるんじゃ…」

ミラがハーパーを見つめるとハーパーはきまり悪そうに顔を逸らした。

「ていうかハーパー食い逃げなのにあんなに長い間捕まってるのおかしくない?」

「それは…外に出たくなくて、だな…その色々と…」

ハーパーはしどろもどろに答えていた。

「ふーん…なんかニートみたい」

「な、なんだよニートって…意味がわかんないけど絶対いい意味じゃない気がする!」

ハーパーがやめろと怒っていた。

「ふふふ…」

なんだか前に戻ったようなやり取りについ笑顔になってしまい笑ってしまう。

聞けばハーパーは囚人としての収容所の暮らしが気にいてしまい刑期が終わりそうになると悪さをして刑期を伸ばしていたらしい…何してんだか…

「あそこの奴らは他人にいい意味で興味ないからな、俺が誰だろうと自分を傷つけない相手なら詮索しない、俺にはその距離感がちょうどいいんだ」

「そっか…ならハーパーは望んであそこにいたんだ…もう外の世界に出るのは…いや?」

ミラは不安になって聞いてみた…

「そうだなぁ…」

ハーパーはミラの心配そうに見つめる顔をじっと眺めると…

「今なら外の世界も悪くないかもな」

ハーパーの答えにミラはほっと胸を撫で下ろした。

「なんだよ、なんでミラがそんなにほっとするんだ?それに出れるわけじゃないぞ。まだまだ刑期は残ってるからな」

「ううん…それでもハーパーが閉じこもってる気持ちじゃなくなってることが嬉しい…いつか一緒に外を歩けるといいね!」

「今まさに外で会ってるじゃないか」

ハーパーが馬鹿にしたように言う。

「これは!仕方なしにでしょ!じゃなくてちゃんと堂々と!みんなで…」

ミラの言葉にハーパーは驚く。

「お前…何しようとしてるんだ?まさか俺達のために何かしようとしてるんじゃないだろうな…」

「別にハーパー達の為に何かしようとなんてしてないよ!ハーパー自信過剰じゃない?」

クスクスと口を押さえて笑っている。

「ならいいけど…」

ハーパーはミラの言葉に少し半信半疑だった。
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