収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
153 / 180
連載

しおりを挟む
「シン国だって?」

ハーパーが聞いてくるのでミラはコクっと頷いた。

「ハーパー…シン国知ってるの?なんか閉鎖的な国だって言ってたからあんまり知られて無いみたいだけど…」

「……シン国の奴らがここに来てるのか?」

「う、うん…」

ミラはハーパーの様子に戸惑っていると…

「悪い、懐かしい名前にちょっと驚いたんだ」

ハーパーは軽く笑って不安そうなミラを安心させるように頭を撫でた。

「ハーパー…やっぱり帰る?私王子達に頼んでみるよ、やっぱり無理だったって謝るから!」

「何心配してるんだよ、大丈夫だ」

「でも…」

「そうだなぁ~ミラには話してもいいかもな」

ハーパーはノアの頭をぐりぐりと撫でるとノアが気持ちよさそうに目を瞑った。

そして了承するように頷く。

「ノアちゃんも何か知ってるの?」

ミラが聞くとノアはミラの肩に飛び移った。

「ノアがそれだけ懐くミラだ…構わないだろ」

ハーパーは長くなるぞと困った様に笑った。

「俺はそのシン国で生まれたんだ…もう何年も…いや、何百年も前になるかな…」

ミラはハーパーの真剣な顔に話を最後まで黙って聞こうとじっと見つめていた。

「俺はエルフって種族なんだもう滅びて俺が最後のエルフなんだけどな、ノアはエルフと共に生きてきた聖獣なんだよ」

「ノアちゃん…聖獣…ハーパーがエルフ…」

ハーパーは髪をサラッとかきあげるとその特徴の尖った耳を見せてくれた。

「それでお決まりのパターンさ、皆と違う容姿は恐れられて嫌悪される。そのうちに人と居るのが面倒になってなぁ~色々と渡り歩いているうちにこの国に流れ着いたってわけ、それで腹減って飯を盗んだりしてたら捕まったんだよ」

「ハーパー…そんな事して捕まったの!?」

ミラは収容所に入ってた理由に一番呆れた!

「そこにつっこむか…」

ハーパーが笑うと

「エルフって前世の知識で知ってるの、聖獣…ってよくわかんないけどノアちゃんは特別ってことでしょ?二人がなんででも私の大切なお兄ちゃん達って事に変わりないよ…それでどうするの?やっぱり内緒にして帰ろっか?」

ミラは心配そうにハーパーとノアちゃんを今後に見つめた。

「ミラはこの話信じるのか…」

「えっ信じてるけど…もしかして嘘なの!?ハーパーすぐに嘘つく!も~全然変わってない~」

ミラが心配したと怒ると…

「あはは!悪い悪い…ミラの反応が楽しくてな!」

「もう!まぁどっちでもいいや、ハーパーはハーパーだもんね。でもシン国にいたのは本当なんでしょ?会いたくないなら黙ってるよ」

「んー…それは向こうの出方次第かな?で?ミラは何が欲しいんだよ」

「あっ!実はノアちゃんに食材で助けて欲しくて…木の実から採れるオイルで油を作りたくて…」

「オイル?そんなもんが欲しいのか?もっと貴重な薬とか、金になるものとか…」

「そんなの美味しくなさそうだしいいよ。それよりオイルノアちゃん出せるかなぁ~」

ミラはノアちゃんをチラッと伺うように見つめた…
しおりを挟む
感想 244

あなたにおすすめの小説

『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。

もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです! そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、 精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です! 更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります! 主人公の種族が変わったもしります。 他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。 面白さや文章の良さに等について気になる方は 第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。 助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい… 神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた! しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった! 攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。 ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい… 知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず… 注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。