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収容所
しおりを挟む「しかしそれにしてもあの料理が出てきた時には驚かされました…まさか難題を押し付けてこちらの要求をのんでもらおうとしていたのに我が国の料理が出てくるとは…」
ケントは刺身を見た時にびっくりした事を思い出した。
「まさか魚を生で食べる文化がこの国にもあったとは…調査ではそのような事は書かれてなかったが…」
「あの緑のわさびと言う食べ物をつけるとさらに美味しかったです!思わず美味しいと言いそうになりましたよ…この国の食文化は素晴らしいです…次の料理を出されるのが怖くなりました」
ケントが不安そうな顔をした。
「すまない、こちらが申し訳ない事をしているのにファイ王子の真剣な顔につい次の料理を食べる事を了承してしまった」
「いえ、あの場ではそれも致し方ないと思います…次にどんなものを出されたとしても強い精神を持って否定すればいいのです!」
「できるでしょうか…」
不安そうに王妃は二人を見つめた。
「ハーパー様を探すためには心を鬼にして頑張りましょう!」
三人は固く手を握りあった!
◆
その頃リバー国の方ではサンサギョウ収容所のハーパーの元に王都の使者が向かっていた…
収容所に到着するなり看守長を呼び出そうとした。
「おい!ここの責任者を急いで呼んでこい!」
封鎖された門に向かって大声で叫ぶと門に付いた小窓から看守が伺うように顔を出した。
「今日は来客の予定はありませんが…」
怪しむように使者を見つめる。
「王宮からの急ぎのようだ!陛下からの知らせが入っている」
「少しお待ちください…」
看守は小窓を閉めた、少しして門が開くとそこには看守長と囚人らしき男と看守が数名立っていた。
「王宮からと聞きましたが…何かありましたか?」
「すみませんが私はこの書状を届けるようにと…そしてハーパーを連れてくるようにと仰せつかっています。すぐにハーパーを連れてきてください」
「ハーパー?」
「なぜ王宮がハーパーの事を知っている…何かおかしくないか?」
囚人達が睨みを聞かせていると看守長がそれをなだめた。
「まぁ落ち着いて、とりあえずその書状を見せてください」
ケイジ看守長は使者から書状を預かるとその中身を確認した。
「んー…すみませんがこの理由で囚人を外に出すのですか?料理の協力の為とありますが…」
「ただの料理ではないのですよ…」
「わかりました…とりあえず中でお待ちください。ハーパーを呼んできますので…」
ケイジ看守長はにこやかな笑顔で使者達を収容所の中へと案内した。
「ジョン、ローガン、聞いていた通りです。ハーパーを呼んできて貰えますか?」
「「はい」」
囚人と思われる二人は返事をすると建物の中と消えていった。
ケイジ看守長に連れられて看守室を通り来賓用の部屋へと通されると…
「先程の人達は囚人に見ましたが…自由に出歩いていいのですか?」
使者は気になっていた事を聞いてみた。
「はい、彼は言わば模範囚ですね。ここで素直に仕事をこなしていれはある程度の自由は与えています。特に彼らは囚人達からも信頼が厚いので看守の言うことよりよく聞くんですよね」
困ったものですとケイジ看守長は可笑しそうに笑った。
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