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シン国の事情

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シン国の王達は船に戻ると…

「はぁ~!!」

大きなため息と共に椅子にぐったりともたれかかった。

「大丈夫ですか!?陛下!」

ケントが陛下に駆け寄るとその体を支えた。

「大丈夫だ…慣れないことをしたから緊張しただけだ」

ケントに支えてもらい体を起こすとフーっと汗を拭った。

「しかしリバー国の皆さんには悪い事をしてしまった…」

先程の態度を思い出して申し訳ないと肩を落としていた…

「陛下、それは…全て終わってから謝罪いたしましょう」

ケントの顔を見ると覚悟を決めた様な男らしい顔になっていた。

「すまないな…お前には息子のルイ王子の代わりをさせて苦労をかける…」

「何を言いますか!これもルイ様の為です!私はルイ様の側近なのですから…」

何も問題ないとケントは首を振った。

「今はルイ様の病気を直せる可能性のあるあの方を見つけることが優先です…その後で私達皆で責任を取りましょう…今は苦しんでいるルイの為に…」

王妃は項垂れる陛下に肩にそっと手を置いた。

陛下はその手を上からそっと重ねると王妃を見つめる。

「すまない…お前達を巻き込む事になってしまい…どうか私だけで責任を取れないか掛け合ってみるが…」

二人に謝るとそんな必要はないと二人は首を振った。

「最初に話し合ったはずです。私達はもう先が短い、残ったルイが死んでしまえばシン国の王位継承者がいなくなってしまいます。その為なら私達が犠牲にならなければ…」

陛下は神妙な顔で頷いた。

シン国は今、窮地に立たされていた…

国王であるジョウジと王妃エミリの間にはなかなか子供が授からなかった。

やっと生まれた我が子がレントだった…しかしルイは体が弱く医者からは二十歳を迎えられないと宣告されていた…

そしてジョウジとエミリもルイを産んだことをきっかけに子を授かる事が難しくなっていた…

ジョウジには兄弟もおらず正当な王家の血を引くのはジョウジとルイだけになっていたのだ…

国中の医者を集めて調べさせたが治療法は見つからなかった。

そんな時昔の文献から興味深い資料が出てきたのだ…

シン国には昔から鳥の聖獣が土地を守っていた、その鳥に愛された子は成長すること無く奇妙な容姿となる代わりに聖獣からの加護でどんな物も作り出すことができるようになると…

もちろん病を治す薬も…

この文献を見つけた時にシン国は歓喜した!

これでルイ様の病が直せるかもしれないと…そこからその聖獣に関する情報を集めると昔田舎の村にハーパーと言う若者がいていつも肩に鳥を乗せていたと言う記載を見つけた。

しかし歳を取らないハーパーを村の人達は奇妙に思い殺してしまったと書いてあった…

数日後、その遺体は何処かに消えてしまいその後その村は作物が一切育たなくなってしまったと言う…

きっとこの事件をきっかけに聖獣の加護がこの国からなくなってしまったのだろう。

しかし遺体が無くなったのと同時期に様々な場所でこの鳥を連れた少年の目撃情報があったがある時を境にピタッとなくなっていた。

そんな絶望的な時にやってきたのがリバー国に収容されていた男がシン国へと流れつき、そこで鳥を連れた少年の様な見た目の男を見たという事だった。

「やっと掴んだ情報だ、きっとあの方はここにいるはず」

「ええ、この国で数回不思議な鳥を見たと言う噂…なんでもその鳥は人の言うことを理解出来たと言っておりました。それなら我が国の聖獣である可能性が高いですから」

「聖獣が見つかればきっとそのそばにハーパー様もいるはず…」

三人は深く頷きあった。





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