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毒味係
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毒味係って…
何やら物騒な言葉にぶるっと震える。
少しすると二人の男の人が厨房に現れた…二人ともなんだか顔色が悪い。
一人はこの国のロードさん達と同じような服を来ていて、もう一人はこの国ではあまり見ない着物のような服を着ていた。
なんか…顔も前世の東洋人のような顔をしていたがどちらも顔色が悪い感じがする。
色白で、目にはクマが出来ていた。
じっとその顔を見ていると…
「なんですか?というか何故こんなところに子供が?」
訝しげにキョロキョロと周りを確認している。
多分私の親を探しているのだろう。
「君達、料理はここです。こちらに!」
するとサミュエルさんが毒味係の二人に声をかけた。
二人は私を気にしながらも自分の仕事へと向かう。
それが気になって私も目立たないようにこっそりと後を追ってその様子が見れる場所に隠れた。
毒味か…確かに王族とかってそんな話を聞いた事あるが本当にそんな事をやるんだ…
でも毒かもしれないものを食べなきゃいけないなんて…
なんとも言えない気分でズンと気持ちが沈む…
ここの人達なら毒なんて絶対に仕込まないから安心して味わって食べて欲しいな
そんな気持ちで見ていると
「うっ…こ、これは…」
隣国の毒味係の人がお刺身を食べて顔を顰めた。
「これは…毒?にしてはなんともないが…」
手や足に痺れや違和感がないか確認しているのか手足を動かしている。
「毒など仕込んでいません!私ではないです!」
その皿を用意した料理人が声を荒らげると…
「これを作ったのは誰だ!」
ずっと厨房を見ていた兵士達が毒味係達の様子に声を荒らげた。
「その皿は…俺だな」
今回は誰が作ったか明確にわかるようにと作る人で皿を分けていた…毒味係が手にした皿はビオスさんの料理だった。
「だが毒なんて仕込んでないぞ、一体どれを食べたんだ?」
「毒を仕込むやつは皆そう言います、私が食べたのはこの緑のものです」
「「「緑?」」」
ビオスさんとパッドさん、サミュエルさんが同時に首を傾げると思わず私も声をあげる!
「それってわさびじゃん!」
あっ…
口を押さえるがもう発した言葉は戻ってこない。
毒味係にしっかりと見られてしまった。
「わさび…とはなんですか?これを食べたら舌が痺れて涙が出てきました、鼻がツーンとして痛みがあります、これは毒の症状に似てますが?」
自分の診断は間違っていないとはっきりと答えた。
確かにそれだけ食べたら辛くて舌が痺れる、私なんて少しで涙が出てきたもんだ。
「これは…お刺身に少しだけつけて食べるものでわさびと言います。もう一度食していただけませんか?」
サミュエルさんが丁寧に食べ方を教えて二人に提供する。
「お前は毒をもう一度食べろと言うのか?」
隣国の毒味係は信じられないと声を荒げた。
厨房はなんとも言えない空気に包まれていた…
何やら物騒な言葉にぶるっと震える。
少しすると二人の男の人が厨房に現れた…二人ともなんだか顔色が悪い。
一人はこの国のロードさん達と同じような服を来ていて、もう一人はこの国ではあまり見ない着物のような服を着ていた。
なんか…顔も前世の東洋人のような顔をしていたがどちらも顔色が悪い感じがする。
色白で、目にはクマが出来ていた。
じっとその顔を見ていると…
「なんですか?というか何故こんなところに子供が?」
訝しげにキョロキョロと周りを確認している。
多分私の親を探しているのだろう。
「君達、料理はここです。こちらに!」
するとサミュエルさんが毒味係の二人に声をかけた。
二人は私を気にしながらも自分の仕事へと向かう。
それが気になって私も目立たないようにこっそりと後を追ってその様子が見れる場所に隠れた。
毒味か…確かに王族とかってそんな話を聞いた事あるが本当にそんな事をやるんだ…
でも毒かもしれないものを食べなきゃいけないなんて…
なんとも言えない気分でズンと気持ちが沈む…
ここの人達なら毒なんて絶対に仕込まないから安心して味わって食べて欲しいな
そんな気持ちで見ていると
「うっ…こ、これは…」
隣国の毒味係の人がお刺身を食べて顔を顰めた。
「これは…毒?にしてはなんともないが…」
手や足に痺れや違和感がないか確認しているのか手足を動かしている。
「毒など仕込んでいません!私ではないです!」
その皿を用意した料理人が声を荒らげると…
「これを作ったのは誰だ!」
ずっと厨房を見ていた兵士達が毒味係達の様子に声を荒らげた。
「その皿は…俺だな」
今回は誰が作ったか明確にわかるようにと作る人で皿を分けていた…毒味係が手にした皿はビオスさんの料理だった。
「だが毒なんて仕込んでないぞ、一体どれを食べたんだ?」
「毒を仕込むやつは皆そう言います、私が食べたのはこの緑のものです」
「「「緑?」」」
ビオスさんとパッドさん、サミュエルさんが同時に首を傾げると思わず私も声をあげる!
「それってわさびじゃん!」
あっ…
口を押さえるがもう発した言葉は戻ってこない。
毒味係にしっかりと見られてしまった。
「わさび…とはなんですか?これを食べたら舌が痺れて涙が出てきました、鼻がツーンとして痛みがあります、これは毒の症状に似てますが?」
自分の診断は間違っていないとはっきりと答えた。
確かにそれだけ食べたら辛くて舌が痺れる、私なんて少しで涙が出てきたもんだ。
「これは…お刺身に少しだけつけて食べるものでわさびと言います。もう一度食していただけませんか?」
サミュエルさんが丁寧に食べ方を教えて二人に提供する。
「お前は毒をもう一度食べろと言うのか?」
隣国の毒味係は信じられないと声を荒げた。
厨房はなんとも言えない空気に包まれていた…
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