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王宮の料理人

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「はぁ、王宮の料理人達も大したことないのな」

「だなぁ、サミュエルさんが素晴らしい方だったから期待したがこうも頭が固いやつが多いとは…」

みんなの様子にパッドさんとビオスさんもガッカリとした感じで大きなため息をついた。

「なんだ…文句があるならはっきりと言ったらどうだ!?サミュエルさんのレシピを自分達のものだと偽ってるんだろ!?」

「そうだ!そうだ!」

みんなの矛先がパッドさんとビオスさん、私に向くと…

カンッ!

まな板がいい音で甲高い音を立てた!

見ればサミュエルさんが包丁を掴み、まな板に置いてあった食材を綺麗に両断していた。

美しい切れ目と音に皆がシーンと黙り込み注目する。

「あなた達…私に恥をかかせるつもりですか?」

いま一度サミュエルさんが料理人達を一瞥する。

「そ、そんなことは…俺たちはサミュエルさんを心配して…」

「あなた達は私がそんなことで料理を妥協するような男だと思っているのですか?納得しないものを国王に献上する男だと?」

「そ、それは…」

「彼らは私が認めた方達です、彼らを侮辱する事は私を侮辱すると思いなさい!」

「……」

料理人達はサミュエルさんの怒鳴る声に黙り込む、そんな料理人達をみてふっと息を吐くと…

「まぁ私を心配してくれたことは感謝します。しかし彼らの何も見ずに見た目だけで判断しないように…あなた達はきっと後悔しますよ」

「サミュエルさんにそこまで言わせる人達なのですか?」

「はい、特にミラさんは…料理の腕はまだまだですがその知識は…末恐ろしいですね」

くるっと振り返ってこちらを見るサミュエルさんの顔はすごく優しかった。

「あなた達も勉強になりますよ、さぁ話はここまでです!お客様がお待ちなのですよ、口ではなく手を動かしましょう!」

パンパンとサミュエルさんが手を叩くと皆がはっとして動き出した…

「さすがだな!」

「王宮の料理人達をまとめてるだけはあるな!」

「すごいね!空気が一気に変わったね」

かっこいいサミュエルさんに思わず見とれてしまった。

「すみませんでした…来て早々不快な思いをさせてしまい…」

サミュエルさんがこちらに来ると頭を下げる。

その仕草に厨房内が静かにザワつくが皆が手を止めることはなかった。

「いえ!当然の反応だと思います」

「まぁそうだな、みんな誇りを持ってこの仕事をしてるんだろう。そこによそ者の俺達が来ればそうなるだろ」

「私がもう少し話をきちんとしておくべきでした…新しい料理に夢中になりすぎてしまい…」

申し訳ないと頭をうなだれる。

「気にしてませんから大丈夫ですよ、それよりも料理頑張ってください!」

私は邪魔にならないようにエールを送ってはじに避けた。
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