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手毬寿司

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「じゃあもうひとつ…王子先にどうぞ。美味かったですよ」

パッドさん達が先に王子とロードさんに譲るとあとから自分達の分も掴むと四人は同時に寿司を口に入れた。

「んっ!!」

「ぶっ!!」

「ん?こりゃぁ…」

「うん、まぁまぁだな」

王子は顔を真っ赤にしてヒーヒー言いながらまた水を飲んでいる。

ロードさんも口を隠して吐き出さないように必死になっていた。

しかしパッドさんと、ビオスさんは平気な顔で味わうように噛み締めてゴックンと寿司を飲み込む。

「あれ?」

パッドさん達の反応が思っていたのと違う。

「パッドさん、ビオスさん辛くないの?」

私は先程の仕返しにわさびを大量に塗っておいたのだ!

まさに王子とロードさんは狙い通りヒーヒーっているのに二人は平気そうに食べ終えた。

「少し辛かったがまぁ大丈夫だ、しかし食べるとなるともう少しわさびはおさえた方がいいな」

「そうだな、好みだろうが俺は結構多めでも問題ないな」

くっ…この料理馬鹿なおじさん達にはわさび爆弾は通用しないみたいだ…

その後も何度か魚の捌くのを練習して、米の炊き方も教えておく。

「あとは汁物があればいいんじゃないですかね?お寿司って彩りも華やかだしおもてなしにはいいと思うんですけど…」

もてなす料理としてはいいと思って王子とロードさんを見る。

「確かに美味い、このわさびがなければだかな!…ただやはり米って事で嫌悪される可能性はあるな」

「そうですね、美味しいだけに悔やまれますが…ここは米なしで行きましょう」

「えー!残念…あっ!なら米は貰ってていいですか?イーサン様達にも食べさせてあげたい!」

「ああ、魚も持って帰っていいぞ。当日はまた新鮮な魚を取り寄せるつもりだからな」

「わーい!パッドさんお家でも色々作ろうね!」

食材が手に入って喜んでいると…

「その色々とは?」

サミュエルさんが興味深そうに聞いてきた。

「そうですね…そのまま塩焼きも、もちろんいいし、ちょっと炙って食べても美味しそう!アラ汁なんかもいいかも~」

よし!パッドさんに全部作ってもらおう!

私がウキウキしながらパッドさんに頼もうとすると…

「待ってください。その色々私にも教えて頂けますか?」

サミュエルさんが素敵な笑顔で私の肩を掴んだ。

笑ってるけど目の奥が真剣な感じで怖い!!

しかしついでだからとまたサミュエルさんを合わせた四人で色々と作ることになってしまった。

王子達は他の仕事もあるので一度離席する事に、私達はしばらくここを好きに使っていていいと言うのでここで食材を調理してしまい屋敷に持ち帰る事にした。

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