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「それ、俺達もやってみていいか?」

サミュエルさんの様子にウズウズしたのか二人がマイ包丁を取り出した。

どうやら魚をおろしてみたいようだ。

「お願いします!どうせなら二人にも覚えて欲しいし!」

魚は沢山あるし、どうせ何匹かおろす予定なんだからどんどんやってもらおう!

「先ずは鱗を取るんですよ!包丁の背でこそげ落とす感じです。鱗は目とかに入ると危ないから気をつけてね」

「任せろ!」

パッドさんとビオスさんはガッガッ!と力強く鱗を落としていた。

その間にサミュエルさんと先に進む事にした。

三枚におろした魚の皮を綺麗に剥いで貰うとお刺身になる前のさくの切り身が出来た。

「これを一口大に切れば完成です、少し薄めに斜めに切ってください」

「こうでしょうか…」

サミュエルさんは私の大まかな説明だけでちゃんと感じ取ってくれ、見事に綺麗なおさみを作ってくれた!

「これです!あとは醤油に先程おろしたわさびを溶かして食べるんですよ」

「どれどれ…」

サミュエルさんが早速と醤油を用意するとわさびを取ろうとする。

「あっ!最初なので少なめに…」

さっきのファイさんのようならないよう、伺いながら見上げた。

「わかりました」

サミュエルさんは笑ってわさびを気持ち程度取ると醤油に溶かす。

パッドさんたちも一度作業の手を止めて同じように醤油を用意した。

「王子はどうしますか?」

ロードさんが自分の分と王子の分を用意しようとすると…

「俺はいらない、大丈夫だ!」

余程先程のわさびが効いたようだ、わさび醤油を見つめて首を振っている。

「あれは、わさびだけ食べたからですよ…」

子供のような王子に呆れる。

サミュエルさん達は構わずに刺身を掴むとわさび醤油につけた…がやはり生魚に躊躇して手が止まってしまった。

なので私が率先して食べてみる。

「美味しいんだよ~」

生前もわさびをつけて食べるのが好きだった事を思い出してお刺身を口にすると…

「ん~……」

ツーンとわさびが鼻を刺激する!

たまらずに涙がこぼれてきた。

「ミ、ミラ!大丈夫か!?」

パッドさん達が心配するのを大丈夫だと手で制止するが…これは辛い…王子の事を馬鹿に出来ないほど刺激が強い!

「そんなに辛いのか…ちょっと興味あるな…」

ビオスさんがじっと刺身を見つめると私が食べたのだからとわさび醤油をつけて食べてしまった!

「あっ!」

わさびを減らしてって言おうとしたのに…

しかしビオスさんは目をカッ!と大きく開くと…

「うんまい!」

大声で叫んだ!

「なんだこのツーンとする爽やかな鼻に抜ける感じは!これがわさびなのか!?」

「あれ?」

私はビオスさんの反応に首を傾げる。

あの反応はわさびが好きな人の反応そのものだった。

「魚も全然臭くないぞ!むしろ甘味を感じる!これは…少し辛口の酒が会いそうだ!」

「な、なに!よし俺も!」

続いてパッドさんも刺身を食べると、同じように美味いと驚いていた。

なんでだ…二人ともわさびをつけてるのにあの反応…

私はもう一度わさび醤油を指先に少しだけつけて舐めてみた。

「ひっ!か、辛い!」

やはり辛い、まるで小さい子がわさびを嫌がるように体が拒絶する。

ん?

あっそうだ思い出した…私今幼い子供なんだった。

ミラは自分の体を見つめて恨めしそうに美味しそうにお刺身を食べるビオスさん達を見つめた。
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