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お呼び出し
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王子の言う通り数日中に王宮からの呼び出しがあった…
ご丁寧に馬車まで用意され、屋敷に迎えにきて王宮へと向かう事になった。
「大丈夫かい?」
一緒に同行してくれているイーサン様が声をかけるが、心配そうにする本人の顔色の方が悪い気がする。
その眉の下がった顔を見て思わず苦笑する。
「大丈夫ですよ、それよりもイーサン様は大丈夫?」
「う、うん…」
不安そうな返事が返ってきた。
「イーサン様は尋問される部屋には一緒に入れないんですよね?」
「そうなんだ…王子に頼んでみたがさすがに無理だったんだよ。当事者でない私が居るのはやはりよくないらしくて…すまないね」
申し訳なさそうにされて心が痛い…その気持ちだけで嬉しいのに…
「大丈夫ですからそんな顔しないで下さい」
「しかし…本当に大丈夫かい?」
これから私がやる事を知ってるだけに心配なようだ。
「はい!無理そうなら子供の振りして誤魔化しますから」
「振りなんかしなくても…本当に子供なんだけどね…」
「あっそうでした」
「ふふ…」
笑って片目を瞑るとイーサン様からやっと笑顔がこぼれた。
「よかった~やっと笑ってくれた。イーサン様の方が倒れちゃいそうな顔してるんだもん」
私がほっと笑うとイーサン様が目を開いて私を見つめていた。
「駄目だなぁ娘にこんな心配させて…」
じっと無言で私を見続けると
「もし逃げたくなったら言ってくれるかい?隣国に行けるように手筈は整えているから」
「それ本気ですか!?」
私が大きな声で驚くと…
「しー!」
イーサン様が慌てて口に手を当てた。
「す、すみません…」
声を落とすと…
「もう二度と…大切な人を失いたくないんだよ」
何か思い出したのかイーサン様の顔が恐怖で歪んだ…
私はそっとイーサン様の手を掴むと…
「大丈夫です!私は負けません!ここでやりたい事があるから何としてもこの国を味方にしてみせます」
イーサン様はふっと手の力を抜いて微笑んだ。
「本当にミラは強いなぁ…自慢の娘だよ。そうだね…娘がこんなにも頑張っているんだ私も腹をくくろう!思う存分やっておいで…ミラなら大丈夫だ」
「はい!」
すると馬車の速度が緩くなる…そしてしばらくして止まると…
「王宮に到着致しました」
外から御者の声が聞こえた。
扉が開くとイーサン様から外に出た、そして手を差し出される。
その手をしっかりと握ると私は初めて王宮に足を踏み入れた。
やっとここまできた!
「はぁ…本当にお城だ…」
大きな城門を見上げていると…
「そんな口を開けて…後ろにひっくり返るぞ」
そんな事を言われて慌てて口を閉じて声がした方を見ると…
「こ、これはファイ王子…」
御者達が揃って頭を下げた。
イーサン様も頭を下げたので同じようにならって並んで頭を下げていると…
「ああ、頭を下げられたんだな…」
頭の上でムカッとする事を言われる。
チラッと目を上に向けるとニヤニヤとした顔でこちらを見下ろしていた。
「面をあげていいよ…」
笑いを含んだ声で許可を出すとみんなが頭をあげた。
私はニヤニヤ笑う王子が面倒になってイーサン様の後ろに隠れてやった。
ご丁寧に馬車まで用意され、屋敷に迎えにきて王宮へと向かう事になった。
「大丈夫かい?」
一緒に同行してくれているイーサン様が声をかけるが、心配そうにする本人の顔色の方が悪い気がする。
その眉の下がった顔を見て思わず苦笑する。
「大丈夫ですよ、それよりもイーサン様は大丈夫?」
「う、うん…」
不安そうな返事が返ってきた。
「イーサン様は尋問される部屋には一緒に入れないんですよね?」
「そうなんだ…王子に頼んでみたがさすがに無理だったんだよ。当事者でない私が居るのはやはりよくないらしくて…すまないね」
申し訳なさそうにされて心が痛い…その気持ちだけで嬉しいのに…
「大丈夫ですからそんな顔しないで下さい」
「しかし…本当に大丈夫かい?」
これから私がやる事を知ってるだけに心配なようだ。
「はい!無理そうなら子供の振りして誤魔化しますから」
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「あっそうでした」
「ふふ…」
笑って片目を瞑るとイーサン様からやっと笑顔がこぼれた。
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私がほっと笑うとイーサン様が目を開いて私を見つめていた。
「駄目だなぁ娘にこんな心配させて…」
じっと無言で私を見続けると
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「それ本気ですか!?」
私が大きな声で驚くと…
「しー!」
イーサン様が慌てて口に手を当てた。
「す、すみません…」
声を落とすと…
「もう二度と…大切な人を失いたくないんだよ」
何か思い出したのかイーサン様の顔が恐怖で歪んだ…
私はそっとイーサン様の手を掴むと…
「大丈夫です!私は負けません!ここでやりたい事があるから何としてもこの国を味方にしてみせます」
イーサン様はふっと手の力を抜いて微笑んだ。
「本当にミラは強いなぁ…自慢の娘だよ。そうだね…娘がこんなにも頑張っているんだ私も腹をくくろう!思う存分やっておいで…ミラなら大丈夫だ」
「はい!」
すると馬車の速度が緩くなる…そしてしばらくして止まると…
「王宮に到着致しました」
外から御者の声が聞こえた。
扉が開くとイーサン様から外に出た、そして手を差し出される。
その手をしっかりと握ると私は初めて王宮に足を踏み入れた。
やっとここまできた!
「はぁ…本当にお城だ…」
大きな城門を見上げていると…
「そんな口を開けて…後ろにひっくり返るぞ」
そんな事を言われて慌てて口を閉じて声がした方を見ると…
「こ、これはファイ王子…」
御者達が揃って頭を下げた。
イーサン様も頭を下げたので同じようにならって並んで頭を下げていると…
「ああ、頭を下げられたんだな…」
頭の上でムカッとする事を言われる。
チラッと目を上に向けるとニヤニヤとした顔でこちらを見下ろしていた。
「面をあげていいよ…」
笑いを含んだ声で許可を出すとみんなが頭をあげた。
私はニヤニヤ笑う王子が面倒になってイーサン様の後ろに隠れてやった。
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