収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
107 / 180
連載

ファイ

しおりを挟む
その日から王子が屋敷に入り浸るようになった…

パッドさん達がお店がある時は私とカナリア、ミネルバさんで軽くその時に作れる物を作ってあげた。

「ふー…ミラの料理は本当に美味いな…」

今日もしっかりと残らず食べて満足そうに息を吐いた。

「ファイさんうちに来ないでお店に行けばいいじゃないですか?あっちならパッドさんとビオスさんが作ってくれるよ?」

何度も来てるのでもう面倒になり敬語をやめた。

王子もそれでいいって言うからラッキーとばかりに言葉に甘えている。

「あっちも行ってるよ、でもさぁ…あっちに行くとかしこまった感じが食べた気がしないんだよなぁ…ここで好きに食べるのがたまらん一度やったら病みつきになった」

そう言ってデザートに手を伸ばした。

こうしていると普通の男の人に見える、王子をやるのも大変みたいだ。

「おかわりあるよ?」

食べっぷりにそう聞くと顔を輝かせた。

「お、王子様…お茶を…」

するとカナリアが緊張した様子で震えながらお茶を出した。

カタカタとカップがなる様子に王子と思わず顔を合わせる。

「カナリア~もういい加減に慣れたら?ここに来てるのは王子じゃなくてただのファイさんって思えばいいじゃん」

私が何度も来てるのに一向になれないカナリアに声をかけると

「ミラ様みたいに切り替えられません…それに立場が全然違いますから…本来ならここにいることさえ許されません…」

ペコッと頭を下げてそそくさと部屋を出ていった。

「ほらね」

王子は肩をあげて苦笑する。

まぁ確かにあんなのだと食べた気もしないかも…

「ファイさんにはお世話になりましたから…いつでも来てくれていいですよ。でも食材のお金はいただきますからね!」

「ああもちろん。ミラのそういう所が気に入ってるんだよ」

手をグイッと差し出すとドサッとお金の袋を手渡された。

「足も良くなったから近々私もお店に行きますよ?そうしたらファイさんはどうします?」

「そうか…」

王子が残念そうにすると

「そうなったらまたあっちで食べるかなぁ…ミラが接客しくれるかい?」

「うーん…イーサン様がいいって言ったらね」

「わかった」

王子はニヤリと笑った。



王子はミラと別れて屋敷を出ると…

「王子…」

用意されていた馬車へと乗り込む。

「ミラージュに向かってくれ」

ファイはミラージュを目指した。

ミラージュに着くとクロードとイーサンが迎える。

「これは王子、こっちから来たと言うことはまたミラの所へ?」

クロードが苦笑すると…

「ああ、ミラといると自分が王子と言うことを忘れられていいな…癖になりそうだ」

ニヤリと笑う。

「では今日はどうしましたか?もうミラと食べて来たのですよね?」

イーサンが聞くと

「ちょっと話がある、奥に通して貰えるかな?」

二人は頷くと事務所の方に王子を通した。

しおりを挟む
感想 244

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。