収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

連載

結果オーライ

次の日になってからも怪我の事もありしばらくは部屋で大人しくするようにとイーサン様達に言われてしまった。

あんなことがあったがなぜか心の中は暖かくあまり引きずっていなかった。

イーサン様達がすぐに助けに来てくれた事、ノアちゃんに会えた事、誰かは教えてくれなかったが私を助けてくれた人がいた事もあり自分の居場所がちゃんとここにもあったことを確認できた気がした。



｢イーサン様～少しくらい外に出てもいいですか？｣

部屋での生活に飽きて、あまりに暇になりイーサン様にお願いしてみた。

｢駄目です｣

一喝される。

あれからイーサン様が少し厳しくなった、とは言ってもまだまだ全然甘いほうだが…

｢だって…イーサン様とお散歩するくらい…駄目？｣

伺うように上目遣いで見つめると…

｢仕方ありません…私が抱っこするので少し庭を散歩するくらいですよ｣

｢はーい！｣

やった！こんなに天気がいいのに部屋にこもりっぱなしなんてなんか病人みたいで嫌だ！

私は笑ってイーサン様に手を伸ばすと嬉しそうに抱っこされた。

外に出るとゾロゾロと後ろからメイドさんや使用人達が付いてくる。

｢えっと…みんなどうしたの？お仕事は？｣

イーサン様の肩越しから後ろのみんなに声をかけると

｢ミラ様が外に出かけるのが心配ですからね！もちろんついて行きます！｣

｢はい！また何時どこでどんな輩が見ているかもわかりませんからね！｣

｢厳重にお2人をお守りしますよ！｣

みんなが怖い顔で付いてくる。

そんなみんなにイーサン様が困った顔をすると…

｢みなさんは自分のお仕事を優先して欲しいのですが…｣

｢｢｢｢｢｢ミラ様より優先するお仕事などありません！｣｣｣｣｣｣

声を揃えて抗議する。

｢あ、ありがとう…でも私はみんながいつも通り仕事してる姿を見るのが好きだなぁ…その方がなんかお家に帰ってきた…って感じがするもん｣

そう声をかけると…

｢仕事してきます！｣

｢私も！｣

｢ミラ様後でお茶をお持ちしますね！｣

｢すぐに飯の下ごしらえ終えてくら！｣

蜘蛛の子を散らす勢いでみんながサーっと居なくなった。

その様子にイーサン様と顔を見合わせて笑った。

その後はイーサン様にみんながいつも通り仕事をする様子を見て回った。

一人一人に声をかけると、みなが笑顔で返してくれる。

すっかり気持ちがリフレッシュした！

｢イーサン様、お店の方はどうなんですか？あれから私一度も行ってないですけど…｣

｢あー…それなんですが…｣

お店が気になり話を振るとイーサン様の顔が曇った。

まさかこの騒ぎで潰れちゃった？

私の顔が曇っていたのがわかったのだろうイーサン様が慌てて首を振って否定する。

｢いえ！お店は順調ですよ。相変わらず予約も後を絶ちません｣

｢よかった…ん？じゃあ何が問題なんですか？まさかみんな味に飽きちゃった？それなら新しいメニューまだまだありますよ｣

私がそういうと

｢まだまだ…それは…｣

イーサン様が苦笑する。

｢それは大丈夫です。ビオスさんも新しく来てパッドと上手くやっていますから…それよりも今回の事でミラの存在がバレた方が問題ですね…｣

イーサン様がフーっとため息をついた。

｢私の存在？｣

ミラはわけがわからず首を傾げた。