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メアリーお母様
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メアリー…お母様…でも一度もあった事がない…その温もりを知らない私は何となく彼女を母とは思えなかった…
でもみんなに愛されていた人…
「メアリー様はあの御屋敷で妾の子として引き取られました…ずっと隠されゾーイ様と暮らしていたお優しいメアリー様はあの暴君なジェイコブの考えに馴染めずに屋敷で孤立していきました…そんな時にメアリー様が急にあらぬ罪を着せられてあの収容所へと入れられる事になりました。その理由は私達使用人には伝えられず…何故そんな事なったのか分かりません…」
イーサン様が悲しそうに首を振る。
「その後…メアリー様が収容所でお亡くなりになったと聞いて私はその遺体の確認と回収を命令されました…メアリー様はゾーイ様の元へと返して生まれ育った場所に埋葬しました…しかしその時にメアリー様が収容所で子を産んだことを聞かされたのです…」
それが私か…
自分の事なのに他人事のように感じる。
「私はその子供を引き取りたいと言うと金銭を要求されました…そして急いで金を用意し戻って見ると…もう子供は居ない…死んだと言われたのです」
ジョンさん達が…匿ってくれたからだな…
みんなのことを思い出し私の胸がほんのりと温かくなる。
「しかし諦めきれなかった私はどうにかその痕跡がないかと…せめて遺体でもいいからメアリー様とその子供を一緒に埋葬して差し上げたかった…ですのであの屋敷を逃げるように辞めて…クロード様のお力を借りてここまでのし上がって来ました。あそこから出す為には金とある程度の地位が必要でしたから…」
イーサン様は私達の為にそこまでしてくれたんだ。
「俺は少し力を貸しただけだ、ここまで来たのはイーサンの実力だ」
クロードが笑うと
「ありがとうございます。そして私は収容所の看守長に頼み込んでメアリー様の子供の事を探って貰ったのです…そこで見つけたのがミラでした」
イーサン様が嬉しそうに私を見つめる。
「あの知らせを聞いた時はどれほど嬉しかったか…メアリー様の忘れ形見が生きている…しかし収容所で生まれ育ち外に一度も出たことがない…私はミラに普通の幸せを味わって貰いたかった。死んだメアリー様の分まで…」
イーサン様の手が微かに震えている…イーサン様はお母さんの事が…
イーサン様はフーっと息を吐いて気持ちを落ち着かせると…
「そこで看守長に頼んでミラをあそこから出してもらいました…ミラはあそこで生まれただけです。何も罪は犯しておりません…ですので罰するのなら私を…」
イーサン様がファイ王子に頭を下げた。
ファイはイーサンを見て、その隣で心細そうにする子供の眼差しにどうしたものかと頭を抱えた。
「うーん…とりあえずその事は置いといて先を聞こうか…それでメアリーに似ていたミラを見つけてジェイコブやブレンダンがこの子を誘拐したと…」
「そうとしか…」
「あとあのおじいさんですけど小さい子が好きみたいです…私の事をそういう目で見てました」
「なっ!」
私の発言に大人達が目を剥く。
「なんて事を…」
「あの部屋…あのベッド…他にも被害にあった子がいたのかも…」
ゾクッと背筋が寒くなるとイーサン様が後ろから優しく肩に手を置いてくれた。
すると肩の力がスっと抜ける。
「本当に最低の奴だな…もう二度とその様な事が出来ない体になったのは天罰だな」
王子が忌々しげにそう言った。
ん?二度とその様な事が出来ない体?
私が首を傾げると…王子がそれに気が付きニコッと笑った。
でもみんなに愛されていた人…
「メアリー様はあの御屋敷で妾の子として引き取られました…ずっと隠されゾーイ様と暮らしていたお優しいメアリー様はあの暴君なジェイコブの考えに馴染めずに屋敷で孤立していきました…そんな時にメアリー様が急にあらぬ罪を着せられてあの収容所へと入れられる事になりました。その理由は私達使用人には伝えられず…何故そんな事なったのか分かりません…」
イーサン様が悲しそうに首を振る。
「その後…メアリー様が収容所でお亡くなりになったと聞いて私はその遺体の確認と回収を命令されました…メアリー様はゾーイ様の元へと返して生まれ育った場所に埋葬しました…しかしその時にメアリー様が収容所で子を産んだことを聞かされたのです…」
それが私か…
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「私はその子供を引き取りたいと言うと金銭を要求されました…そして急いで金を用意し戻って見ると…もう子供は居ない…死んだと言われたのです」
ジョンさん達が…匿ってくれたからだな…
みんなのことを思い出し私の胸がほんのりと温かくなる。
「しかし諦めきれなかった私はどうにかその痕跡がないかと…せめて遺体でもいいからメアリー様とその子供を一緒に埋葬して差し上げたかった…ですのであの屋敷を逃げるように辞めて…クロード様のお力を借りてここまでのし上がって来ました。あそこから出す為には金とある程度の地位が必要でしたから…」
イーサン様は私達の為にそこまでしてくれたんだ。
「俺は少し力を貸しただけだ、ここまで来たのはイーサンの実力だ」
クロードが笑うと
「ありがとうございます。そして私は収容所の看守長に頼み込んでメアリー様の子供の事を探って貰ったのです…そこで見つけたのがミラでした」
イーサン様が嬉しそうに私を見つめる。
「あの知らせを聞いた時はどれほど嬉しかったか…メアリー様の忘れ形見が生きている…しかし収容所で生まれ育ち外に一度も出たことがない…私はミラに普通の幸せを味わって貰いたかった。死んだメアリー様の分まで…」
イーサン様の手が微かに震えている…イーサン様はお母さんの事が…
イーサン様はフーっと息を吐いて気持ちを落ち着かせると…
「そこで看守長に頼んでミラをあそこから出してもらいました…ミラはあそこで生まれただけです。何も罪は犯しておりません…ですので罰するのなら私を…」
イーサン様がファイ王子に頭を下げた。
ファイはイーサンを見て、その隣で心細そうにする子供の眼差しにどうしたものかと頭を抱えた。
「うーん…とりあえずその事は置いといて先を聞こうか…それでメアリーに似ていたミラを見つけてジェイコブやブレンダンがこの子を誘拐したと…」
「そうとしか…」
「あとあのおじいさんですけど小さい子が好きみたいです…私の事をそういう目で見てました」
「なっ!」
私の発言に大人達が目を剥く。
「なんて事を…」
「あの部屋…あのベッド…他にも被害にあった子がいたのかも…」
ゾクッと背筋が寒くなるとイーサン様が後ろから優しく肩に手を置いてくれた。
すると肩の力がスっと抜ける。
「本当に最低の奴だな…もう二度とその様な事が出来ない体になったのは天罰だな」
王子が忌々しげにそう言った。
ん?二度とその様な事が出来ない体?
私が首を傾げると…王子がそれに気が付きニコッと笑った。
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