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暴力

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「大人しくしていろ、声を出したらその細い首を握り潰すぞ…」

耳元でそっと囁かれると鼻息が首にかかる…体を押さえた腕の先が顎を触るとスっと頬を撫でられた…全身に鳥肌がたつ。

暴れてみるがビクともしない、さすがに体格差がありすぎた…

うー…嫌だ嫌だ嫌だ!気持ち悪いよ…イーサン様、クロードさん…ビオスさん…

ミラはみんなの顔を浮かべると涙が溢れてきた。

あの馬車や屋敷の感じからしてこいつはイーサン様より爵位が高い家なのだろう…そうなるとイーサン様達がここに来るのは難しいかもしれない…

自分で何とかしないと…このままこいつの言いなりになるのだけは嫌だった。

ミラは口を塞いでいた手を顔を振って緩めるとその手を思いっきり噛んだ!

「こいつっ!」

ジェイコブは痛みにミラを離すとミラは手が緩んで地面に落ちた。

その拍子に足に痛みがきた、足首を捻ってしまったようだ。

でも今はこいつから離れないと…

足を引きずって這いつくばっりながら離れようとすると…

「このやろう!!」

ジェイコブは足元に転がるミラを思いっきり蹴りつけた。

「グッフッ!!」

お腹を蹴られてミラは口から液体を吐き出した…

口の中にロジーさんのコロッケの味が広がる。

ローガンさん……メイソンさん……ハーパー…ノアちゃん……

「ジョンさん…」

ミラの瞳からとうとう涙がこぼれ落ちた…

収容所を出てから決して口にしなかった名前…言ってしまったら気持ちが抑えられなくなりそうだったから。

でももう言えるのは最後かもしれない…こんな男に遊ばれるくらいなら…

ミラはキッと男を睨みつけた!

男の手からは血が滴り落ちている、ミラが噛んだところからだった。

ふん…ざまぁみろ…

口の端をくっとあげて弧を描く。

その顔をみて男は顔を真っ赤にした!

「この、面汚しの娘が何をしやがる!お前は大人しく怯えて泣けばいいんだ!私の言うことに恐怖してその身を差し出せ!そんな所まで親に似てやがる!!」

口から唾を飛ばして興奮している、誰が怯えてやるもんか!

「お前なんか…怖くない…」

息を整えながどうにかそう吐き捨てる!

「このガキ…」

男が近づいて来る…ミラは逃げようとするが体に力が入らない…お腹の痛みが酷く口からは血が混じったものを吐き出した。

「くっ…」

それでもどうにか遠くに行こうとするがあっさりと捕まる…仰向けにされて上に乗られマウントを取られた。

重くて息が出来ない…

「ははは!強がった割に何も出来ないな!私は上に乗っただけだぞ?それだけでこのザマか?子供が大人に楯突くな!」

パンッ!

頬を殴られた…でも痛みも感じない…意識が遠くなってきた…男の顔に霞がかかる。

ミラは意識を失った…

ぐったりとした子供を見下ろしてジェイコブはその体を退けた。

子供の口に手を当てると息はしていた、気を失っているだけのようだ。

だらんとしている子供顔をよく見ると可愛い顔に赤く腫れた痕が出来ている。

「チッ…」

ジェイコブは舌打ちをする、せっかく綺麗な状態で愛でたかったのに…えらく反抗されて余計な傷をつけてしまった。

ジェイコブは子供の体を抱き上げると手や足の様子を確認する。

「クソ…傷が結構あるな…」

手を見ると自分が握りしめた場所が青くなり、手のひらは小さい火傷やマメの痕があった。

貴族の娘と言っていたが庶民の様な働いたことのある手に見えた。

「汚い手だ…やはりあの女の子供だな」

忌々しげに顔を歪める。

「まぁいい…意識が無いのはつまらんが…起きた時に自分にされた事を見てどんな反応をするか楽しみだ…」

これだけ抵抗された事はないが、抵抗する奴に限ってその行為のあとの苦痛は大きいらしいからな…

ジェイコブは子供が絶望で泣き叫ぶ姿を想像すると…下半身が熱くなった。
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