上 下
92 / 180
連載

行動

しおりを挟む
ジョンと看守長は直ぐに収容所を出て行く準備を始めた。

ジョンはフードを深く被りローガン達に隠されながら看守長と荷物の搬入口へと行く。

看守長は休みを急遽もらい町に帰ることにして看守達に声をかけた。

ジョンは騒ぎを起こしたとい言うことで独房に入れることにする体にした。

そうして置けば居ない間の誤魔化せるだろうと…

「私が戻るまで彼を出さないように…与えるのは水だけでいいですからそれ以上の世話はやかないように反省させておいて下さい」

看守長からの指示に看守達は頷いた。

「あれだけの騒ぎを起こしたのですから当然ですね」

看守達もジョンの処遇に納得する。

「では留守を頼みます…」

看守長が馬車を用意させている間に…ジョンは御者として紛れ込んだ。

看守長が馬車に乗り込むと…

「彼と変わってくれ」

本当の御者にジョンと代わってもらう。

ジョンが馬車の中に入ると改めてケイジ看守長に頭を下げた。

「ここまでしてもらってありがとうございます…決して看守長を裏切るような真似はしませんから…」

ジョンは深々と看守長に頭を下げた。

「まぁ裏切られたらそれ相応の事はしてもらうつもりでしたから大丈夫ですよ、それよりも今はミラちゃんの事に集中しましょう。私も彼女を気に入ってましたから…」

心配そうに言うと…ジョンの深く被っていたフードが動いた。

ケイジ看守長がビクッとすると…

「ああ、これはノアです」

フードからハーパーが連れてる小鳥が顔を出した。

「な、なぜ?」

「ハーパーが連れていけと…こいつはただの小鳥じゃないんだ、ミラにも懐いていたし居場所を探すのに役に立つって」

「そうですか、それは心強い…それと外ではなるべく顔を出さないように。あと私の事はケイジとお呼びなさい。間違っても看守長と言わないように」

「わかりました、ケイジさん」

ジョンはしっかりと頷いた。

ケイジは御者に町に急ぐように声をかけた。

その頃ミラは、あの男に追い詰められていた…

「逃げるな、優しくして欲しかったら言うことを聞くんだ」

ジェイコブ公爵はにっこり笑って手を差し出した。

ミラはその手を避けて逃げるように部屋の中を移動する。

うー!気持ち悪い!

ミラは先程から鳥肌が立って仕方なかった…

「やはり痛めつけないと大人しくならないか…」

ジェイコブは気持ち悪く笑っていた顔を真顔にすると大股でミラに近づいてきた。

ミラはサッと避けるように走ったがグイッと腕を伸ばされて捕まってしまった。

ギュッと腕を掴まれると痛みが走った。

「いたっ…」

顔が歪む…見るとくい込むほど強く手で掴まれていた。

「やっと捕まえた、その透き通るような肌を傷つけたくない。大人しくしろ」

ジェイコブは掴んだ手の指でミラの肌をそっと撫でた。

「ぎゃあああ!」

ミラはあまりの気持ち悪さに叫び声をあげた!

「こいつ!」

ジェイコブは慌てて引き寄せると腕でミラの体を掴み口を塞いだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。