76 / 180
連載
仕事
しおりを挟む
まだ一緒に居たいと言うミラをどうにか離してビオスとパッドは厨房に向かう事になった。
ビオスが早速仕事をしたいと言い出したからだ。
「今日ぐらい私と居てもいいんだよ…ねぇイーサン様?」
ミラはビオスとイーサンの顔を伺うように見ると
「そうだね」
イーサンが笑って頷くと
「イーサン様、甘やかせちゃ駄目ですよ。ミラはわかってこの顔してますから、この顔に何度騙された事か…」
ビオスがため息をつくと
「それに早く仕事を覚えて皆さんの力になりたいからな!」
そう言われてしまえばミラは何も言えずに渋々頷くと
「まぁ可愛い娘に騙されるのも楽しいからね。ビオス、仕事が終わったらパッドと一緒に屋敷に来てください。終わってから話す分には構わないだろ?」
イーサンがそう言うとミラの顔が輝いた。
「わかりました」
ビオスは苦笑してありがとうございますとイーサン様に頭を下げると…
「優しい方に恵まれたんだな…」
ビオスは嬉しそうにミラの頭を撫でた。
「うん!」
ミラの変わらぬ笑顔にビオスは笑い返した。
いつまでも手を振るミラ達を見送ってパッドとビオスは厨房に向かうと
「じゃあパッドよろしく」
クロード様はフロアへと行ってしまった。
二人になるとパッドは先程の質問をしてみた。
「それで?なんでお前が収容所に?」
「ああ、じゃあ下ごしらえしながらでも話すか…」
パッドは頷くとビオスに指示して隣通しに並びお互い手を動かしながら話し出す。
「パッドがあの店を飛び出してからぶりだよな」
ビオスが聞くとそうだな…と頷く。
あれから自分も色々とありイーサン様に拾われたがビオスはもっと大変だったのだろうとちらっと見つめた。
ビオスの手元は前と変わらずよく動く、収容所にいたと言っていたのにその腕は料理人の手に見えた。
「俺はずっとあの店にいたんだよ…」
「よくいれたな…あんな最低の男の下に」
パッドが呆れると
「まぁあそこに居れば料理は作れたからな…」
ビオスが苦笑すると
「あれは何年前になるかなぁ…俺はあの店で副料理長までなったんだよ」
「すげぇな…でもあの男はまだいたんだろ?」
「ああ…でもその頃にはもう料理も作らなくなって理不尽な事を言うだけの口だけの男になってたよ。それで見かねた責任者が俺を料理長にしてあの人を解雇しようとしたんだ…」
「おお!ますますすごいな!」
「だがな…昇格の件で料理を披露したら、それを食べたみんなが泡を吹いて倒れたんだ…」
「どういう事だ…」
「あの男が毒を盛ったんだよ…俺がみんなを殺したように見せるように」
「なんだそりゃ!!…でもあの男ならやりそうだ…でも調べりゃわかるだろ誰が殺ったかなんて…」
「俺は自分の料理に毒を盛られた事が許せなくてな…あの男に詰め寄ったんだ。そしたらあいつ悪びれる様子もなくて…怒りのままに殴りつけたら運悪く転んで当たり所が悪くてな…」
「そうか…」
パッドが手を止めると
「おい、手が止まってるぞ料理長!」
ビオスが注意する。
「おお、悪い!」
パッドが再び動き出すと
「まぁでも悪い事ばかりじゃなかった、収容所では飯が作れるからと食堂を任されてな。まぁあそこの食材は最悪だったが何とか包丁は握られて貰えてたからな…それに…ミラが居たから」
「ああ」
パッドも納得する。
「あの子が来てからは楽しかった…料理が何かを思い出させて貰った!お前も作ったかミラの料理?」
「当たり前だろ、ここの店の料理がほとんどそれだよ」
「だと思った」
ビオスは笑うと
「どんなものを作るのか楽しみだ!」
ビオスはこの喜びに何歳も若返った気持ちだった。
ビオスが早速仕事をしたいと言い出したからだ。
「今日ぐらい私と居てもいいんだよ…ねぇイーサン様?」
ミラはビオスとイーサンの顔を伺うように見ると
「そうだね」
イーサンが笑って頷くと
「イーサン様、甘やかせちゃ駄目ですよ。ミラはわかってこの顔してますから、この顔に何度騙された事か…」
ビオスがため息をつくと
「それに早く仕事を覚えて皆さんの力になりたいからな!」
そう言われてしまえばミラは何も言えずに渋々頷くと
「まぁ可愛い娘に騙されるのも楽しいからね。ビオス、仕事が終わったらパッドと一緒に屋敷に来てください。終わってから話す分には構わないだろ?」
イーサンがそう言うとミラの顔が輝いた。
「わかりました」
ビオスは苦笑してありがとうございますとイーサン様に頭を下げると…
「優しい方に恵まれたんだな…」
ビオスは嬉しそうにミラの頭を撫でた。
「うん!」
ミラの変わらぬ笑顔にビオスは笑い返した。
いつまでも手を振るミラ達を見送ってパッドとビオスは厨房に向かうと
「じゃあパッドよろしく」
クロード様はフロアへと行ってしまった。
二人になるとパッドは先程の質問をしてみた。
「それで?なんでお前が収容所に?」
「ああ、じゃあ下ごしらえしながらでも話すか…」
パッドは頷くとビオスに指示して隣通しに並びお互い手を動かしながら話し出す。
「パッドがあの店を飛び出してからぶりだよな」
ビオスが聞くとそうだな…と頷く。
あれから自分も色々とありイーサン様に拾われたがビオスはもっと大変だったのだろうとちらっと見つめた。
ビオスの手元は前と変わらずよく動く、収容所にいたと言っていたのにその腕は料理人の手に見えた。
「俺はずっとあの店にいたんだよ…」
「よくいれたな…あんな最低の男の下に」
パッドが呆れると
「まぁあそこに居れば料理は作れたからな…」
ビオスが苦笑すると
「あれは何年前になるかなぁ…俺はあの店で副料理長までなったんだよ」
「すげぇな…でもあの男はまだいたんだろ?」
「ああ…でもその頃にはもう料理も作らなくなって理不尽な事を言うだけの口だけの男になってたよ。それで見かねた責任者が俺を料理長にしてあの人を解雇しようとしたんだ…」
「おお!ますますすごいな!」
「だがな…昇格の件で料理を披露したら、それを食べたみんなが泡を吹いて倒れたんだ…」
「どういう事だ…」
「あの男が毒を盛ったんだよ…俺がみんなを殺したように見せるように」
「なんだそりゃ!!…でもあの男ならやりそうだ…でも調べりゃわかるだろ誰が殺ったかなんて…」
「俺は自分の料理に毒を盛られた事が許せなくてな…あの男に詰め寄ったんだ。そしたらあいつ悪びれる様子もなくて…怒りのままに殴りつけたら運悪く転んで当たり所が悪くてな…」
「そうか…」
パッドが手を止めると
「おい、手が止まってるぞ料理長!」
ビオスが注意する。
「おお、悪い!」
パッドが再び動き出すと
「まぁでも悪い事ばかりじゃなかった、収容所では飯が作れるからと食堂を任されてな。まぁあそこの食材は最悪だったが何とか包丁は握られて貰えてたからな…それに…ミラが居たから」
「ああ」
パッドも納得する。
「あの子が来てからは楽しかった…料理が何かを思い出させて貰った!お前も作ったかミラの料理?」
「当たり前だろ、ここの店の料理がほとんどそれだよ」
「だと思った」
ビオスは笑うと
「どんなものを作るのか楽しみだ!」
ビオスはこの喜びに何歳も若返った気持ちだった。
120
お気に入りに追加
4,346
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。