収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
69 / 180
連載

アイス

しおりを挟む
クロードは笑顔で答えた。

「それはアイスクリームと言う食べ物です」

「アイスクリーム…氷のクリーム?」

「はい、文字通りクリームを凍らせたものです」

「氷…とはまた違って口の中で溶けていくぞ!ただ単に凍らせただけじゃないはずだ…」

「そうですね…少し特殊な方法で作っております」

クロードさんが笑いながら得意げに説明している。

「特殊って…」

その話を聞いてミラがクスクスと笑う。

ただ掻き混ぜながら凍らせてるだけなのだが…確かに作り方を知らなければこの滑らかな感じには出来ないかもしれない。

アイスクリームのデザートは特に女性に人気なようでお土産を頼んでいる人もいた。

クロードは一人一人に声をかけて今日の感想を聞いてテーブルを回っている。

テーブルでは皆が笑顔で話しており概ね喜んで貰えたようだ。

招待したお客さんを全員見送りクロードは店の明かりを落とした。

鍵をかけて中へと戻ってくると従業員達がソワソワしながらフロアに並んで待っていた。

クロードは一瞬驚いて顔を硬直させるがみんなの真剣な顔を見て力を抜くと

「よくやった」

それだけ言って笑いかけた。

「よ、よかった…」

全身の力が抜けたのか…従業員達はドサッと床に座り込む。

「おいおい、これで終わりじゃ無いぞ!ここから始まるんだ。今日はよくやってくれたからこのまま休んでいいぞ、明日は今日の反省点を確認して直していくからな」

「クロード様…」

フロアの責任者がそっと手を上げると

「なんだ?」

クロードが目を合わせた。

「今日の反省点は今お聞きしたいです!」

他の従業員達も一様に頷くと

「そうか…じゃあみんな疲れてるだろうからテーブルに座ってくれ。さすがに床に座ったままだと良くないからな」

従業員達は自分達の様子を改めて確認すると苦笑して立ち上がり席に座った。

クロードさんのから各々反省点を言われて真剣にメモを取りながら話を聞いている。

一通り話が終わると…

「ミラは今日どうだった?素直な気持ちを言えばいいんだよ」

クロードさんがこっちに話を振ってきた。

これは…子供としての素直な気持ちを聞いてるんだよね…

「お料理も綺麗で美味しかったです!でも私にはいっぱいすぎだったの…あとちょっと嫌いな食べ物とかもあった」

子供っぽく答えると

「なるほどね…事前に来る人の情報もある程度把握しておかないといけないな…」

クロードさんが頷くと従者に指示をだした。

「ではみんなお疲れ様、あと少し片付けをしたら部屋に戻って休んでくれ一日おいて次の日には正式な開店となる」

『はい!』

従業員達は頷くとテーブルの片付けに向かった。

従業員達が片付けに動いてるなかクロードとイーサン、ミラとパッドはお店の事務室へと向かった。

「皆さんお疲れ様でした」

部屋に入るなりミラがクロードとパッドに声をかけた。

「いや!全然疲れてないんだよそれが…」

パッドさんが笑って答える。

「なんて言うか…充実感からか興奮してる!あんなに喜んで貰えて…楽しかった…ミラありがとうな」

「えっ?な、なんで私にお礼を言うの?」

「なんでって屋台やお店の事を考えて作ったのはお前だろ?」

「そ、そうだけど…」

「俺はこの店を作ってくれて感謝してるんだ!他の奴らだって同じだぞ」

パッドさんがそういうとイーサン様がほらねとばかりに笑っている。

「うん…こちらこそありがとう。これからもよろしくね」

ミラは泣きたくなる気持ちをぐっと堪えて笑ってみせた。
しおりを挟む
感想 244

あなたにおすすめの小説

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

陣ノ内猫子
ファンタジー
 神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。  お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。  チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO! ーーーーーーーーー  これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。  ご都合主義、あるかもしれません。  一話一話が短いです。  週一回を目標に投稿したと思います。  面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。  誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。  感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)  

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

廃妃の再婚

束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの 父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。 ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。 それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。 身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。 あの時助けた青年は、国王になっていたのである。 「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは 結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。 帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。 カトルはイルサナを寵愛しはじめる。 王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。 ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。 引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。 ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。 だがユリシアスは何かを隠しているようだ。 それはカトルの抱える、真実だった──。

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

後宮の最下位妃と冷酷な半龍王

翠晶 瓈李
ファンタジー
毒を飲み、死を選んだはずなのに。なぜか頭にお花が咲きました……。 ♢♢♢ ~天より贈られし『甘露』降る大地 仁政を施す王現れる証 これ瑞兆なり~ ♢♢♢ 甘露とは天から与えられる不老不死の霊薬。中国古来の伝説では天子が仁政を行う前兆として天から降るといわれている。 ♢♢♢ 陥落寸前の瑤華国で死を望み『毒』を飲んだ最下位妃、苺凛(メイリン)。 けれど『毒』は〈死〉ではなく『霊力のある花』をその身に咲かせる〈異能〉を苺凛に与えた。 一方、軍を率いて瑤華国を征圧した釆雅国の第二王子、洙仙(シュセン)。 彼は龍族と人の血が混ざった冷酷な男だった。 「花が咲き続ける限り、おまえは俺から逃れられない」 死を願う苺凛に洙仙は冷たく笑う。 冷酷で意地悪な洙仙が嫌いな苺凛だったが、花に秘められた真実を知ってから気持ちに変化が……。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた

黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」 幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。