上 下
66 / 180
連載

プレオープン

しおりを挟む
店には給仕をする従業員も続々と到着して、何度か練習を重ねる。

ミラとイーサン、クロード以外は店に泊まり込みプレオープンに備えた…

そうしていよいよ待ちに待ったその日となった。

クロードとイーサンは整列する従業員達の前に立った。

ミラもちゃっかりと後ろの方にいたパッドさんの隣に並ぶと

「いよいよだね!」

ミラがコソッとパッドさんに喋りかけた。

「こら、静かにしてろ」

パッドさんがシーッと指を口に当てると

「そこ、料理長?なにかありますか?」

イーサンが喋っているパッドに声をかけた。

「い、いえ!なんでもありません!頑張ります!」

慌てて返事をするパッドにミラや周りの料理人がくすくすと笑っている。

「料理長がおしゃべりする余裕があるみたいですね!みなさんも気負わずによろしくお願いします。今までの練習通り接客していただければきっと大丈夫です」

『はい!』

パッドさんのおかげで和やかな雰囲気のなかスタートした。

パッドはジロっとミラを睨むがミラは知らん顔してイーサンの元に駆け寄った!

「イーサン様!料理楽しみだね!みんなが作るご飯は美味しいだろうなぁ」

ミラはパッド達に聞こえるように声をかけた。

「あいつ…」

パッドは他の誰よりもミラに美味いと言わせてやるとやる気をだした。


クロードさんが店を開けると最初のお客さんが入ってきた。

「これはこれはブランドン様ようこそお越しくださいました」

ミラはテーブルにイーサンと座りながら入ってくる客を観察する。

「あれは伯爵のブランドン夫妻だな…食にうるさくて有名だ」

イーサン様がこっそりとミラに説明してくれる。

「ふーん…」

クロードが少し話した後に従業員を呼んでテーブルまで案内させる。

すると次々に招待した客がやってきた。

クロードはひとテーブルに二人の給仕をつけて対応させる。

客を入れた事で厨房の方も忙しくなってきた。

パッドを料理長として各クラスに分けて副料理長として三人担当の者を決めていた。

「先ずは前菜のトマトのカルパッチョだ!みんな頼むぞ」

パッドが声をかけると一同が頷き動き出す。

イーサンはやってくる客一人一人をミラに丁寧に説明していた。

給仕達は席に着いたお客様にとりあえず飲み物を聞くとすぐに用意する。

その間にもう一人が厨房にテーブルナンバーと人数を報告する。

「ゴールドクラス予定のブランドン様が二名様で到着です。お二人共葡萄酒を注文しました」

『了解!』

厨房から声が上がると

「客が揃ったらクロードから少し挨拶があるはずだ。それが終わると同時に前菜を出してくれ!あとは客の食事の進み具合で次を出す!」

パッドが声をかけると厨房のみんなは一様に返事をした。




しおりを挟む
感想 243

あなたにおすすめの小説

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

狂犬を手なずけたら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
気がつくと知らない国に生まれていたラーミア、この国は前世で読んでいた小説の世界だった。 前世で男性に酷い目にあったラーミアは生まれ変わっても男性が苦手だった。

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

幼女に転生したらイケメン冒険者パーティーに保護&溺愛されています

ひなた
ファンタジー
死んだと思ったら 目の前に神様がいて、 剣と魔法のファンタジー異世界に転生することに! 魔法のチート能力をもらったものの、 いざ転生したら10歳の幼女だし、草原にぼっちだし、いきなり魔物でるし、 魔力はあって魔法適正もあるのに肝心の使い方はわからないし で転生早々大ピンチ! そんなピンチを救ってくれたのは イケメン冒険者3人組。 その3人に保護されつつパーティーメンバーとして冒険者登録することに! 日々の疲労の癒しとしてイケメン3人に可愛いがられる毎日が、始まりました。

【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。