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100.思い
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パッドはとりあえず少し考えさせて欲しいと返事をしてその場を後にした…
パッドとしては作るのは問題ないがミラの作った物を自分の手柄のようになるのは嫌だった。
やっぱりミラの気持ちを聞いてみよう
パッドはミラの部屋と進路を変えた。
トントン
「はい」
返事も待たずに扉が開く…
腰を痛めたミネルバさんの代わりにミラのお付はカナリアとなっていた。
かなりそそっかしいが明るい性格のカナリアといるとミラは少し表情が明るくなるので異例の起用となった。
「おい!相手が誰か確かめてから開けろよ!屋敷に忍び込んだ賊ならどうするんだ」
「あっすみません…でもこの屋敷に忍び込む人なんていますか?」
カナリアがしまったと舌を出すと
「ミラの事を探ろうと今だって貴族が来てるだろ…」
パッドがコソッと耳打ちすると、
「ああ…ミラお嬢様可愛いですからね!今から婚約者候補としての品定めですか…」
うんうんと頷くと
「ミラ様ならどんな方にでもお似合いです!なんなら王子様でも!」
「バカ…」
パッドは呆れて説明するのも面倒になった。
「まぁいいやミラはいるよな?ちょっと話があるんだが」
「はい、今日は厨房が出入り禁止なので勉強してますよ」
「勉強?何をだ?」
「えー?なんでしたっけ…確か…この国の歴史についてだったかな?私は言われた資料を探してミラ様にお渡しするだけなので…」
カナリアが自信なさげに両手を前で触っている。
パッドは窓辺の机で勉強しているミラにそっと近づいた。
何か書いているのを覗き込むと…
「ミラ…」
驚いて思わず声が出る…それも当たり前だ…ミラは紙に字を書いていた…
「あっパッドさん。あれ?今日はお料理駄目なんだよね?」
なんでいるの?と首を傾げてパッドを見つめる。
「いや…そんな事よりもそりゃなんだ?お前…字が読めてかけるのか?」
「えっ?うん」
ミラが当たり前のように頷くと
「お前…本当に五歳なのか?」
「えー酷いなぁ…じゃあ何歳に見えるの!?」
ミラがぷぅと頬を膨らませると
「18」
んー間違ってないかな…死んで転生したのをいれればそのくらいの年だろう。
ミラは苦笑すると
「ちゃんと(この国で)生まれから五年しか経ってないよ…ジョンさん達が言うにはね…」
しまった…
パッドは自分の頬を殴りたくなった。
ミラは囚人達にかなり愛されて育ったようだった…多分時折見せる寂しそうな顔もそこら辺にあると思っていたのに自分でその事を思い出させてしまった。
「そ、そうか…いやでもその年で字も書けるなんて凄いな」
「うん…ローガンさんとメイソンさんが教えてくれたんだ」
ミラは曖昧に笑うとパッドさんの顔が歪んだ…
「すまん…」
そして申し訳なさそうに謝る。
「なんで謝るの?」
ミラが聞くと
「いや…なんか思い出させちまったみたいで」
パッドさんがきまり悪そうにしていると
「あはは!大丈夫だよ。そんな事ないもん」
ミラは本当に笑った…何故ならパッドさんに言われなくても、彼らの事を思い出さない日はなかったからだ。
パッドとしては作るのは問題ないがミラの作った物を自分の手柄のようになるのは嫌だった。
やっぱりミラの気持ちを聞いてみよう
パッドはミラの部屋と進路を変えた。
トントン
「はい」
返事も待たずに扉が開く…
腰を痛めたミネルバさんの代わりにミラのお付はカナリアとなっていた。
かなりそそっかしいが明るい性格のカナリアといるとミラは少し表情が明るくなるので異例の起用となった。
「おい!相手が誰か確かめてから開けろよ!屋敷に忍び込んだ賊ならどうするんだ」
「あっすみません…でもこの屋敷に忍び込む人なんていますか?」
カナリアがしまったと舌を出すと
「ミラの事を探ろうと今だって貴族が来てるだろ…」
パッドがコソッと耳打ちすると、
「ああ…ミラお嬢様可愛いですからね!今から婚約者候補としての品定めですか…」
うんうんと頷くと
「ミラ様ならどんな方にでもお似合いです!なんなら王子様でも!」
「バカ…」
パッドは呆れて説明するのも面倒になった。
「まぁいいやミラはいるよな?ちょっと話があるんだが」
「はい、今日は厨房が出入り禁止なので勉強してますよ」
「勉強?何をだ?」
「えー?なんでしたっけ…確か…この国の歴史についてだったかな?私は言われた資料を探してミラ様にお渡しするだけなので…」
カナリアが自信なさげに両手を前で触っている。
パッドは窓辺の机で勉強しているミラにそっと近づいた。
何か書いているのを覗き込むと…
「ミラ…」
驚いて思わず声が出る…それも当たり前だ…ミラは紙に字を書いていた…
「あっパッドさん。あれ?今日はお料理駄目なんだよね?」
なんでいるの?と首を傾げてパッドを見つめる。
「いや…そんな事よりもそりゃなんだ?お前…字が読めてかけるのか?」
「えっ?うん」
ミラが当たり前のように頷くと
「お前…本当に五歳なのか?」
「えー酷いなぁ…じゃあ何歳に見えるの!?」
ミラがぷぅと頬を膨らませると
「18」
んー間違ってないかな…死んで転生したのをいれればそのくらいの年だろう。
ミラは苦笑すると
「ちゃんと(この国で)生まれから五年しか経ってないよ…ジョンさん達が言うにはね…」
しまった…
パッドは自分の頬を殴りたくなった。
ミラは囚人達にかなり愛されて育ったようだった…多分時折見せる寂しそうな顔もそこら辺にあると思っていたのに自分でその事を思い出させてしまった。
「そ、そうか…いやでもその年で字も書けるなんて凄いな」
「うん…ローガンさんとメイソンさんが教えてくれたんだ」
ミラは曖昧に笑うとパッドさんの顔が歪んだ…
「すまん…」
そして申し訳なさそうに謝る。
「なんで謝るの?」
ミラが聞くと
「いや…なんか思い出させちまったみたいで」
パッドさんがきまり悪そうにしていると
「あはは!大丈夫だよ。そんな事ないもん」
ミラは本当に笑った…何故ならパッドさんに言われなくても、彼らの事を思い出さない日はなかったからだ。
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