収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

連載

思い出

｢それはそうとメイド達から気になる話を聞いたんだが…｣

パッドが伺うように声をかける。

｢なんでも変わった料理を知ってると…確かコロケとハンバーグーだったか？｣

パッドさんが聞くと

｢コロッケとハンバーグかな？｣

｢そう！それだ！｣

パッドさんが頷くと…

｢じゃあちょっと作りますか？｣

ミラは厨房の方を眺めると

｢そりゃありがたい！こっちだ｣

パッドさんは自分の城にミラを招待した。

｢入ってくれ｣

パッドさんが厨房に入ると扉を開いてミラを招き入れる。

｢お邪魔します｣

ミラがそっと足を踏み入れるとそこには綺麗に整理整頓されて、よく磨かれたシンクとコンロが目に入った。

｢あはは…全然違うね。ビオスさん…｣

ミラがつぶやくと…

｢うん？何か言ったか？｣

パッドさんが話しかけるとミラはフルフルと首を振った。

｢それで？どんな味なんだ！？｣

｢そうだね…コロッケは芋がメインだよ、それを潰して衣を付けて油であげるんだよ｣

｢油で？高級だな｣

そう言いながらもパッドは芋と油の用意をする。

｢えっ！まさか今から作るんですか？｣

ミラが驚くと

｢駄目か？どうしてもその料理が気になるんだが…｣

｢ううん…いいよ！作ろう！｣

ミラは荷物を置くと嬉しそうに手を洗い出した！

｢えっ…お前が作るのか？あっいや…ミラお嬢様だったな｣

パッドさんが言い直すと

｢私貴族じゃないから大丈夫ですよ、出来れば…ミラって呼び捨てにして欲しいな…｣

ミラがパッドさんを見上げると

｢そりゃ…お嬢ちゃんがそれがいいなら…｣

パッドは戸惑いながらも同意した。

｢じゃあパッドさんまずは芋を茹でるんだよ！｣

ミラは初めてビオスさんと作ったコロッケ作りを思い出していた…

ミラに教えて貰いながらパッドはコロッケを作る…油で揚げると香ばしい香りが厨房に広がった。

すると厨房に駆けつける足音がすると

｢パッドさん！ミラお嬢様がいないんですが知ってますか！｣

メイドの一人が厨房に飛び込んで来た！

｢知ってるも何もここにいるぞ｣

パッドさんが隣で一緒に料理をするミラを見せると…

｢パッドさん！！ミラお嬢様に何をさせてるんですか！｣

｢ひっ…｣

パッドさんがメイドさんの形相に顔色を悪くする。

ミラも隣でビクッと肩を揺らした。

｢ミラお嬢様すみません…すぐにお部屋にご案内致しますね…｣

メイドが慌てて顔を変えて微笑むと

｢怖っ…すげぇ変わりようだな…｣

パッドさんがつぶやくと

｢何か言いまして？｣

メイドさんが笑ってパッドさんを見つめた。

｢いえ！なんでもありません！｣

パッドさんが首を振ると…

｢それにしても…なんかいい匂いですね｣

メイドさんがパッドさんの手元を見ると揚げたてのコロッケが目に入った。

｢それなんですか？｣

じっと見ていると

｢こりゃミラが教えてくれたコロッケだ｣

｢あっお嬢様が食事の時に言っていた物ですね！…それより…パッドさん！お嬢様を呼び捨てにするとは何事ですか！ミネルバさんに怒られますよ！｣

メイドが注意すると

｢あっ！違います。パッドさんに私が頼んだんです…｣

ミラはすまなそうにメイドさんのスカートを引っ張った。