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さよなら

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「では行きましょう」

イーサンがミラの手を取って馬車に乗せてくれる。

ミラはこの国の乗り物ははじめてだがこれはかなりこの国でも豪華な物だと思った…ふかふかの椅子に繊細な模様の入った扉…よく見るとイーサンが身につけている服も高そうな品物だった。

ミラは馬車の中をキョロキョロと見回していると

「好きなところに座って下さい」

ミラは大きな窓がある隅に座った…そこからは今までいた収容所が見えた。

ミラが座ったのを確認するとイーサンが御者に声をかける。

すると馬車が動き出した…ミラは瞬きもせずに収容所の方を見つめている。

ケイジはミラが泣いてしまうのではないかとハラハラして見ているがミラは何かを決意するような力強い表情だった。

すると…収容所から一羽の鳥が飛んでいるのが見える。

ノアちゃん…?

ミラはその鳥をじっと見ていると収容所の屋上へと飛んでいく…ずっと目で追っていると…

「あっ…」

屋上に人影があった…よく見えないが四人いる…その中の一番小さい影にノアちゃんらしき鳥が止まった。

ハーパー

その隣には背の高い細身の人

メイソンさん

そしてスラッとした髪の長い人

ローガンさん

ガタイのいい逞しい人

ジョンさん

ミラはその影が見えなくなるまで見つめていた…


「あの馬車でしょうか」

ローガンは遠くに走っていく豪華な馬車を見てそう呟く。

「だとしたらミラはかなりいい所に行けたのではないか?」

メイソンがならいいと頷くと

「ふん…幸せにならなかったら許さない」

ハーパーが不機嫌そうに睨んでいる…そうしないと涙が出そうになるからだ…

「ミラ…幸せになれよ…さよなら」

ジョンは馬車が見えなくなるまで見つめていた…

馬車が見えなくなっても四人は中々動けずにいた…

するとメイソンが何かを取り出す。

「そう言えば…ミラが最後の日に会いに来ただろ?」

みんなは頷く…あれがミラと話した最後となってしまった…

「ミラの為とは言え…悲しそうな顔をさせてしまいました…」

ローガンが心から悔やむと

「あの時…ミラがこんなものを置いていった…」

メイソンはあの後書類の間から落ちて来た手紙らしき物に気がついた…

見ると封書になっており、表に名前が書いてあった…自分達四人の名前がミラの字で…

「ミラから?」

「なんでしょう…酷い事をしましたから…少し見るのが怖いですね…」

「まだ俺も見ていない、四人の時にと思って持ってきた」

「読んでくれ」

ジョンが頼むとメイソンが封書を開けた。

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