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知らんぷり

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ビオスさんはミラから目をそらすとケイジ看守長を見つめた。

「この度はたくさんの食料をありがとうございました…それでここにはなんの用で?」

「はい、今日からこの子をここで働かせてもらおうと思いまして…この子はそのように扱って下さいね」

ビオスはようやくミラを見る。

ミラは知った顔にニコッと笑うと

「はい…わかりました」

ビオスはミラの笑顔を無視して看守長に頷き返した。

あれ?なんかいつものビオスさんじゃない…

「では、よろしくお願いします…しばらくは看守達が様子を伺いに来ると思いますのでそのつもりで…」

「はい…」

ビオスは深く頭を下げた。

「じゃあミラいい子にこの人達の言うことを聞くんだよ」

「は、はい…」

ミラは頷くと

「仕事が終わったら私の部屋まで送って貰いなさい…それは誰でもいいからね」

「わかった…わかりました」

コクっと頷く。

ケイジ看守長は微笑むと部屋から出ていった。

「じゃあ…ミラ…だな。こっちに来てくれ」

ビオスさんに声をかけられてミラはとぼとぼとついて行く。

「ビオスさん…」

声をかけようとすると

「仕事中だから喋らないように!」

ミラの言葉を止めた。

「はい…」

ミラはしゅんとして下を向くと言われるがままビオスさんのあとをついて行く。

「じゃあここで皮むきをしててくれるか?俺はちょっと出てくるから…」

「はい…」

ミラは置かれた野菜を見ると手に取り皮を剥き始めた。

そんな元気のないミラの様子をみてビオスは胸が痛む!

ミラ…すまん…

心の中で謝ると部屋を出ていった。

ビオスは一人になると先程ジョンとローガンが来た時の事を思い出す…


「何!ミラの存在が看守長にバレただと!」

ビオスはジョンの肩を掴むと揺さぶる!

「それで?ミラは?捕まったのか!」

「いや…あの看守長はとりあえずはこちらの…というよりはミラの味方です」

ローガンの説明に顔を顰めると

「どういう事だ?ちゃんと説明しろ!」

ビオスは二人を睨みつけた。

ビオスはジョンとローガンから看守長からの話を聞くと

「そうか…じゃあミラはここを安全に出れるんだな!」

「ええそうです」

ローガンが頷くと

「なんだよ?それにしちゃ浮かない顔だな?」

ビオスが聞くと

「どうもミラがここを出ることを迷っているようなのです…」

「は?なんでだ?こんな所にいるより外の方がいいに決まってるだろ!」

「私もそう思います…ですがミラですよ。私達に気を使ってここに残るかもしれません」

「看守長もミラの気持ちを優先するって言ってるんだ…ミラが残りたいならここで働かせると…」

「何言ってる!あいつはまだ子供だ…外でまともに育つ方がいいだろうが…」

ビオスは楽しそうに料理を作りここに居たいと言うミラを容易に想像出来た。
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