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子供
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愛想笑いをするミラに看守達は一瞬ハッなる。
「な、なんか結構可愛い子だな。誰かの子供が遊びに来てる…とかって事は無いよな」
看守の一人が私に近づいてきた。
「お嬢ちゃん名前は? 歳はいくつ? なんでここにきたの?」
間髪入れず質問をしてくる。
私はなんて答えようと口をパクパクさせるが、言葉が出てこない。少し考え何か話すのはきっと良くないと思い口を一文字に噤んだ。
「どうした、名前もわかんないのか?」
他の看守達も集まって質問を始めだしてしまった。
「喋れないのか? おい、どうなんだ!」
少し強い口調で話されて、ビクッ! っと体が跳ねた。
怖々大きな瞳でじっと見あげた。
大きな体の看守達に取り囲まれて怖くなる。
目が潤み出すが決して泣くものかと耐えた。
「あーあ、お前そんな言い方は無いだろ! 怖がっちゃったぞ、大丈夫か?」
そういうと目の前にいた看守のお兄さんが抱き上げてくれた。
助かった。この人は少しはまともそうだ。
そう思いお兄さんの腕をぎゅっと掴んだ。
「何取り上げててんだ! まだそのガキに何も聞いてないぞ」
私を奪おうと手を伸ばしてくる。
私を避けるようにお兄さんにしがみついて助けを求めた。
じっと見つめて祈るように見上げると、お兄さんの顔が驚いた顔をした後緩んだ。
「か、可愛い…」
お兄さんは私をサッと自分の方に引いた。
怖い看守から隠すようにしてくれる。
「怖がってますよ、子供なんだからそんなにきつく言う事ないでしょ」
「そうだ、お前は言葉がキツい!」
看守達からブーイングがおきる。
「うるさい!ならそいつはお前らがどうにかしろよ!俺は知らないからな!」
私を拾ってきた看守達はギロッと睨みつけて巡回へと戻っていった。
「怖かったね…もう大丈夫だ。それで、なんでここにいたのかな?お父さんやお母さんは?何かわかることはあるかい?」
優しく声をかけられる。
この人達はいい人そうだ…でもジョンさん達の事は言えない。
私をこっそり育ててたなんて知れたらジョンさん達に迷惑がかかる。
ミラは困った顔でどうしようかと悩んでいると…
「どうしました?なんか賑やかですね」
看守長が顔を出した。
「あっ!看守長!実は子供がこちらに迷い込んでいて…」
看守達は私を看守長に見せた。
「おや…」
「あっ…」
ケイジ看守長と私は顔を合わせて思わず声が漏れる。
そこには調理場でスープをご馳走した囚人の姿があった。
「な、なんか結構可愛い子だな。誰かの子供が遊びに来てる…とかって事は無いよな」
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「そうだ、お前は言葉がキツい!」
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看守長が顔を出した。
「あっ!看守長!実は子供がこちらに迷い込んでいて…」
看守達は私を看守長に見せた。
「おや…」
「あっ…」
ケイジ看守長と私は顔を合わせて思わず声が漏れる。
そこには調理場でスープをご馳走した囚人の姿があった。
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