ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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13章

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「親父、まずいんじゃないかい?関係ないとは口で言っててもあの顔はアナテマ様と同じ顔だ」

ロフティはミヅキがいなくなると親父にコソッと話しかけた。

「そうなら今にでもわしは捕まるか殺されるだろうな」

「まさか…それを確認するためにあんな事を?」

「最初はそうも思ったが…あの子の笑顔は嘘なんてついとらん。それにあんな小さい子にあんな顔をさせちゃダメだ」

「親父…」

「さてと、いくら料理が好きとは言っても一人じゃ無理だろうから手伝ってくる。お前はこれ以上関わらないようにしておけ」

「そんな!俺も行くよ」

するとおじいさんは来るなとロフティを手で制止させた。

「お前はここを片付けておけ、片付けも料理のひとつだぞ」

先程の解体で汚れた机を指さされてしまった。

「わかった…でもここを片付けたら俺も手伝いに行くからな」

おじいさんは好きにしろとばかりに何も答えずに部屋を出ていった。





「んー、いい感じに火が通ってるね!」

私はシンクが圧力をかけてくれた鍋の圧力を抜いて中の具材の様子を確認した。

「すごい、短時間でしっかりとあのお肉が柔らかくなってるよ」

【はい、シンクも味見してみる?】

私はお肉を少しさくと冷ましてシンクの口元に近づけた。

【んー本当に柔らかい!】

今日は時間がないから短時間で作る為に圧力を使ったが普通に長時間茹でれば同じように柔らかくなるだろう。

私は鍋に軽く味付けをしてまた煮込んだ。

「あとは解体してもらったお肉を出して…」

薄くスライスしているとおじいさんがやってきた。

「薄く切るのか?この肉は固いから大変だろ」

「大丈夫だよ、よく切れる包丁があるんだ」

私はおじいさんに包丁を見せた。

「ほう、なかなかいいものだな。だが変わった形をしているな」

「これは料理をする為のナイフだからね。魔物をやつけたりする為のものじゃないんだよ」

「なるほど、どれ切るのは得意だから手伝おう」

おじいさんが自分のナイフを取り出したので私はお願いしますとお肉を渡した。

「なるべく薄く切ってこの液に付けてください」

「これはなんだ?」

「ここにあった調味料やスパイスを漬けた液です。塩とか色々とね、これにお肉を漬けて乾燥させてジャーキーを作るんですよ」

「ジャーキー?」

「干し肉です。この国でもありますよね?」

「ああ、今は肉も取れないから最近は食って無いがな…」

「それならよかった、沢山作っておくからみんなで食べてくださいね」

私はせっせとお肉をスライスする。

そんな私を見ておじいさんも黙々とお肉を切ってくれた。

「よし、終わり!」

お肉を切り終えて液に漬けておく。

「一晩置いたらよく乾かしてくださいね、って知ってるか」

私はお肉をおじいさんに渡した。

「いや、これはお前さんがとってきたものだろ?」

おじいさんは貰えないと受け取ろうとしない。

「ご飯のお礼です、それに町の為に力を貸すのはこの国を治める者として当然なんじゃないですか?」

「この国の王はそんな事しない……」

おじいさんはボソッと呟いた。

「そうですね、あの人なら……」

なんだか二人でしんみりとしてしまう。

「でも……私になにかできるならしたいと思ったんです」

お肉をもう一度おじいさんに渡した。

「メアリア様……」

おじいさんは私をみて驚いた顔をしながら呟いた。

「メアリア様って、王妃様だよね」

「王妃様って母親じゃないのかい?」

「んー、ちょっと複雑で私昔の事を覚えてなくて。だからお母さんって言われてもピンとこないんだ」

「そうか、メアリア様がいた時はまだ町もどうにかなっていたんだがな」

「そうなんだ!メアリア様ってどんな人だったの?」

「綺麗なお方だったな、魔力も高くてでもそれが原因であんな事に……王妃になってからは町に来ることも無くなったが時折食料など支給してくださっていた。そう考えると君に似ているな」

「そうなんだ、私の中にメアリア様の思いもルナちゃんと一緒に残っているのかも」

「ルナ?」

おじいさんに聞き返されるがなんでもないと笑って誤魔化した。

「まぁそういう事ですからこれはおじいさん達が好きに使ってください。町の人に食べさせてあげてもいいしお好きにどうぞ」

「いいのか?」

「はい、私はいつでもこの子達がとってきてくれて作れますから」

私は自慢のシルバ達を見せつけた。

「そうか、じゃあありがたく頂こう。いつかこのお礼が返せるように」

「そうですね。もしここに困ってるお客さんが来たらその分助けてあげてくださいね」

「わかった」

おじいさんはようやくニコッと笑顔を見せてくれた。
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