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13章
762.
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「なるほど、材料がないからそんなに用意できないと」
「はい、来ていただいて嬉しいのですがうちでは今はスープとパンを少ししか用意出来なくて」
店主さんは申し訳なさそうにそういった。
聞けば町に届く食材は城に最優先に届けられるそうだ、そして残りが町へと来るがほんの僅かで、最近は野菜も育たず町の人達に十分に行き届かないらしい。
「確かローラさんもそんなこと言ってたな」
メイドさんから聞いた話を思い出した。
「ローラ!ローラを知っているんですか?」
店主さんはローラさんの名前を聞いて私の肩を掴んで問い詰めてきた。
「わっ!」
店主さんの勢いに驚くとシルバがすぐに店主さんをはじき飛ばした。
【ミヅキに何をする!】
グルルっと店主さんに威嚇をする。
【こら、シルバ乱暴はダメだよ】
【しかしミヅキが!】
【ちょっと驚いただけだよ、ありがとね】
シルバにお礼を言うと床にうずくまる店主さんの元に駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
起こしながら回復魔法をかける。
「あ、あれ?さっきまで腕が痛かったのに……」
不思議そうに打ち付けた自分の体を確認している。
「うちの子がすみません、ちょっと過保護で……」
店主さんは自分が悪いと慌てて起き上がり謝ってくれた。
「すみません、懐かしい名前に興奮してしまい。それでローラの事をお聞きしても?」
「ローラさんは私がお城にいる間お世話になってるメイドさんです。とっても優しい人ですよ」
「そうですか……ローラは生きているんですね」
店主さんはホッとして目に涙を浮かべている。
「えっと……ローラさんとは?」
大事な人のようだし、関係性を聞いてみた。
「ローラは私の娘です、この通り町は寂れてろくな働き口もなく喧嘩別れのように家を飛び出して行って……城で働いていたのですね」
「ローラさんも町の事を聞いて心配してましたよ。近いなら会いに行けばいいのに」
ローラさんが町の事を話していたのを思い出した。
「そうですか、いや元気ならいいんです」
店主さんは話を聞けてよかったとローラさんの事はそれ以上聞かずに食事の用意に向かった。
そしてみんなに少しのパンとスープを持ってきてくれた。
「うちでおだしできるのはこの程度で……」
恥ずかしそうに声を小さくする。
【少ないな】
【しょぼいね】
【これでは足りんな】
みんな聞こえないからって言いたい放題!
いや、この子達なら聞こえてても言いそうだな
私は苦笑して店主さんに笑いかけた。
「いただきます」
手を合わせてありがたくいただく、スープは薄味でパンもボソボソだけどどうにか美味しく出そうとする店主さんの気持ちを感じた。
みんなで一瞬で食べ終えるとご馳走様をして私は腕まくりをして立ち上がった。
「よし!」
【おっ!ミヅキのお節介がでるのか!】
【僕も手伝うよ~、火を使うでしょ?】
【私も何かしようか?】
【ぼくもー!】
みんな空のお皿を舐めていたのを止めると一緒に立ち上がった。
【ありがとう!じゃあシルバとプルシアは何かお肉を調達してきてくれる?シンクとレムは私のそばでお手伝いをお願いね。コハクは何か木の魔法で野菜を育ててくれるかな?】
【【【【【任せて!(ろ)】】】】】
みんなは私がやる事を瞬時にわかってくれたようだ。
【よーし!美味しくて暖かいものたくさん作るぞー!】
【【【【【おー!】】】】】
私達が拳を掲げるのをみて店主さんは不思議そうにその光景を見つめていた。
店主さんの名前はロフティさんと言うらしく、厨房を貸してほしいと言うと快く了承してくれた。
お店の裏の畑を借りて雪を退かしてドーム型の防御魔法をかけると雪を遮断する。
その中でコハクに野菜を育ててもらい私が水をまいた!
【ミヅキの水魔法があれば元気に育ちます】
レムとコハクにそこは任せて私は自分の持ち物を確認する。
「うーん調味料はあんまりないな……」
「調味料かい?少しなら倉庫にあるよ」
私が悩んでいるとロフティさんが声をかけてきた。
「え!?調味料あるんですか?」
「ああ、食材がなきゃ何の役にも立たないから好きに使っていいよ」
そう言われて確認すると結構いい品揃えで調味料が揃っている。
「この国は調味料があるんですね」
「え?調味料なんてどこでもあるだろ?」
「いや、ウエスト国とかだとスパイスって言って魔物避けとかに使われてたりするんですよ」
「そうなのか、いや俺は生まれてからこの国を出たことなくてね。外の事は知らなくて」
「そっか」
この国も色んな国と交流ができるようになればいいのに…そうすればこんな酷い生活は送らないですむのに。
しかしそれもこれもあのバカ親父のせいだろう。
「町の人達やみんなを不幸にして何が王様だ」
私は思わず城の方角を睨みつけた。
「はい、来ていただいて嬉しいのですがうちでは今はスープとパンを少ししか用意出来なくて」
店主さんは申し訳なさそうにそういった。
聞けば町に届く食材は城に最優先に届けられるそうだ、そして残りが町へと来るがほんの僅かで、最近は野菜も育たず町の人達に十分に行き届かないらしい。
「確かローラさんもそんなこと言ってたな」
メイドさんから聞いた話を思い出した。
「ローラ!ローラを知っているんですか?」
店主さんはローラさんの名前を聞いて私の肩を掴んで問い詰めてきた。
「わっ!」
店主さんの勢いに驚くとシルバがすぐに店主さんをはじき飛ばした。
【ミヅキに何をする!】
グルルっと店主さんに威嚇をする。
【こら、シルバ乱暴はダメだよ】
【しかしミヅキが!】
【ちょっと驚いただけだよ、ありがとね】
シルバにお礼を言うと床にうずくまる店主さんの元に駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
起こしながら回復魔法をかける。
「あ、あれ?さっきまで腕が痛かったのに……」
不思議そうに打ち付けた自分の体を確認している。
「うちの子がすみません、ちょっと過保護で……」
店主さんは自分が悪いと慌てて起き上がり謝ってくれた。
「すみません、懐かしい名前に興奮してしまい。それでローラの事をお聞きしても?」
「ローラさんは私がお城にいる間お世話になってるメイドさんです。とっても優しい人ですよ」
「そうですか……ローラは生きているんですね」
店主さんはホッとして目に涙を浮かべている。
「えっと……ローラさんとは?」
大事な人のようだし、関係性を聞いてみた。
「ローラは私の娘です、この通り町は寂れてろくな働き口もなく喧嘩別れのように家を飛び出して行って……城で働いていたのですね」
「ローラさんも町の事を聞いて心配してましたよ。近いなら会いに行けばいいのに」
ローラさんが町の事を話していたのを思い出した。
「そうですか、いや元気ならいいんです」
店主さんは話を聞けてよかったとローラさんの事はそれ以上聞かずに食事の用意に向かった。
そしてみんなに少しのパンとスープを持ってきてくれた。
「うちでおだしできるのはこの程度で……」
恥ずかしそうに声を小さくする。
【少ないな】
【しょぼいね】
【これでは足りんな】
みんな聞こえないからって言いたい放題!
いや、この子達なら聞こえてても言いそうだな
私は苦笑して店主さんに笑いかけた。
「いただきます」
手を合わせてありがたくいただく、スープは薄味でパンもボソボソだけどどうにか美味しく出そうとする店主さんの気持ちを感じた。
みんなで一瞬で食べ終えるとご馳走様をして私は腕まくりをして立ち上がった。
「よし!」
【おっ!ミヅキのお節介がでるのか!】
【僕も手伝うよ~、火を使うでしょ?】
【私も何かしようか?】
【ぼくもー!】
みんな空のお皿を舐めていたのを止めると一緒に立ち上がった。
【ありがとう!じゃあシルバとプルシアは何かお肉を調達してきてくれる?シンクとレムは私のそばでお手伝いをお願いね。コハクは何か木の魔法で野菜を育ててくれるかな?】
【【【【【任せて!(ろ)】】】】】
みんなは私がやる事を瞬時にわかってくれたようだ。
【よーし!美味しくて暖かいものたくさん作るぞー!】
【【【【【おー!】】】】】
私達が拳を掲げるのをみて店主さんは不思議そうにその光景を見つめていた。
店主さんの名前はロフティさんと言うらしく、厨房を貸してほしいと言うと快く了承してくれた。
お店の裏の畑を借りて雪を退かしてドーム型の防御魔法をかけると雪を遮断する。
その中でコハクに野菜を育ててもらい私が水をまいた!
【ミヅキの水魔法があれば元気に育ちます】
レムとコハクにそこは任せて私は自分の持ち物を確認する。
「うーん調味料はあんまりないな……」
「調味料かい?少しなら倉庫にあるよ」
私が悩んでいるとロフティさんが声をかけてきた。
「え!?調味料あるんですか?」
「ああ、食材がなきゃ何の役にも立たないから好きに使っていいよ」
そう言われて確認すると結構いい品揃えで調味料が揃っている。
「この国は調味料があるんですね」
「え?調味料なんてどこでもあるだろ?」
「いや、ウエスト国とかだとスパイスって言って魔物避けとかに使われてたりするんですよ」
「そうなのか、いや俺は生まれてからこの国を出たことなくてね。外の事は知らなくて」
「そっか」
この国も色んな国と交流ができるようになればいいのに…そうすればこんな酷い生活は送らないですむのに。
しかしそれもこれもあのバカ親父のせいだろう。
「町の人達やみんなを不幸にして何が王様だ」
私は思わず城の方角を睨みつけた。
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