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13章

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ローラさんと兵士さんに案内してもらって城門までやってくると門の隣の小屋に連れていかれる。

そこには魔法陣が描かれており、その中に従魔を選んで置けと言われた。

【うぅ…】

選べと言われても選べない。
みんなの顔を見つめていると鼻がツーンと痛み涙が滲んできた。

【ミヅキ、僕がそこに乗るよ】

するとムーがピョンピョンと前に飛び出した。

【ムー…】

私が選べないでいるから優しいムーが名乗り出てしまった。

【ごめん…】

【なんで謝るの?別に平気だよ、それよりもミヅキの役に立てるなら嬉しい】

ムーは嬉しそうにピョンピョン跳ねながら迷うことなく魔法陣の中に入っていった。

【ムー偉いぞ、まぁみんな順番に入ればいいな】

シルバがそう言うとみんなはそうだねーっと気にした様子もなく頷き合う。

【ミヅキ、別に戻ってくればどうということはない。だから気にするな】

【そうだよ】

みんながウンウンと頷いて笑っている。

【ありがとう、ムー!絶対に戻ってくるからそこでゆっくり休んでてね!】

【うん!】

ムーはでろんっと体を崩してリラックスしているように見える。

【よし!じゃあササッと行ってササッと帰ってこよう!】

兵士達に門を開けてもらい外に出ようとすると…門の前にかかる橋の前にビャクさんが待っていた。

「あっそう言えば監視役がついてくるんだっけ」

私はビャクさんの前に行き頭を下げた。

「よ、よろしくお願いします」

一応あのヴォイドが遣わしてきた人だあまり隙を見せない方がいいかもしれない。

愛想良く笑って話しかける。

「町に行きたいんですが案内を頼んでもいいですか?」

ビャクさんはじっと見つめてくるとクルッと後ろを向いてしまった。

【なんだ、あの態度は!】

シルバがプンプンと怒っている。

【シルバいいんだよ。それよりも機嫌を損ねてあの男に何か告げ口されないようにしないと】

私は小走りにビャクさんの後を追った。



「うぅー寒い」

わかっていたが寒すぎる。
城の中はこれ程寒くは感じなかった。

雪の積もる中進む道は少し歩きやすく固まっているがとにかく寒い。

冬の仕様で来てない私には厳しかった。

【ミヅキ、俺の背中に乗っていろ】

シルバの言葉に甘えて背中に乗せてもらい毛皮に埋もれる。

【はぁ…生き返る】

【ミヅキ大丈夫?】

シンクやプルシア、コハクも私のそばで暖をとってくれた。

そんな私達の様子をビャクさんがチラチラっと様子を見ていた。

しばらく歩いていると建物がいくつか見えてきた。

「あー町かな、何か着るものあるといいなー」

するとビャクさんが1軒の家の店の前で立ち止まった。

「どうしたんですか?」

ビャクさんは何も言わずに入れとばかりに店を見つめている。

【入れって事かな?】

【なら何か喋れよな】

シルバが怒りながら店の扉を開いた。

「あっ、ここ服屋さんだ」

どうやらビャクさんは私達の話を聞いていて服屋へと案内してくれたようだ。

「いらっしゃいませ」

お店の人が声をかけてくるがビャクさんと私の顔を見るなり怯え出す。

「ひゃ!す、すみません!すみません!」

急に謝りだして床に頭をつけた。

「アナテマ様とは知らずに失礼致しました…」

ブルブルと震えている。

私はまたかとシルバ達と顔を見合わせて肩をあげる。
そして降りるとそのお店の人のそばに立った。

「私はアナテマじゃありません。妹…いや親戚のミヅキって言います」

「親せき?」

お店の人は顔をそっとあげるが目が合うなり真っ青になって目を逸らした。

「やはりアナテマ様だ、どうしよう…」

ブツブツとこの世の終わりのように取り乱している。

「だ・か・ら!私はアナテマじゃないの!ミヅキなの!どう見ても違うでしょ」

「同じです!」

「うそ!あんな意地悪じゃないよ」

心外だと頬を膨らませる。

「お詫びに好きなものをお持ちください!どうかそれで怒りを静めて下さい!」

【ミヅキ、何言っても無駄じゃないか?】

シルバは諦めたのか店の端でドンと寝転んだ。

【確かに…よし今は服を探すことにしよう!】

店員さんはほっといて私はとりあえず寒さをしのげそうな服を探すことにした。
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