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13章
758.
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「ローラさん、私ヴォイド...様と話がしたいんだけど...」
食事を終えたローラさんに私はおずおずと声をかける。
「ヴォ、ヴォイド様に!?」
ローラさんは驚いて目を見開くと持っていた物を落とした。
かなり動揺しているようだ。
「ど、どうでしょう...私はメイドなので...ですが、ちょっとお待ちください!」
ローラさんは覚悟を決めたように部屋を出ていった。
そしてしばらくして戻って来ると兵士を連れてきた。
「ヴォイド様に会いたいそうだな」
兵士達は部屋に入るなり私を睨みつけてうかがうようにジロジロと見ている。
「こんな子供に何か出来るわけありませんよ」
「しかし…あのアナテマ様の妹なんだろ」
兵士達も私の扱いに迷っているようだった。
「私、お父様にあって無礼を謝りたいんです!それでこの国事も勉強したいと思って…よかったらそれだけでも伝えて貰えませんか?」
私は精一杯媚びを売るように目をうるませて兵士達を見つめた。
「うっ…」
兵士達は私の言葉に迷っていた。
もうちょいか!
私はダメ押して兵士達に一歩近づく。
「兵士さん達はすごいですね、いつもお父様や国を守っていて…私尊敬します」
ニコッと微笑んで見れば兵士達も気が張っていたのが緩むのを感じた。
「ま、まぁ話すだけなら聞いてみよう。だがヴォイド様の命令には逆らえないからな」
「はい!兵士さん、ありがとうございます」
キラキラに輝いた顔を見せれば満足そうに兵士達は部屋を出ていった。
「ミ、ミヅキ様…本当にヴォイド様の事を?」
ローラさんは不安と言うより心配そうに私に声をかけてきた。
「いやいや、ああでも言わないと会えないと思って…それにここにいるなら少しでも信用されて自由に動けるようになりたいし」
【ミヅキ、悪い顔になってる】
シンクが呆れた様子で肩に乗ってきた。
【えーそうかな?】
私はほっぺをマッサージして顔を直す。
【大丈夫、ミヅキはどんな顔をしてても可愛いからな】
真面目に答えるシルバにクスッと笑みがこぼれた。
【ありがとう、シルバもどんな顔でもかっこいいよ】
私はもふもふの体に抱きついた。
またしばらく待っていると先程の兵士達が戻ってきた、その顔はニコニコと笑って誇らしげに見える。
その様子からヴォイドとの話が上手くいったように感じた。
しかし私は不安そうに兵士達に駆け寄りその顔を見上げた。
「どうでしたか?」
眉を下げて上目遣いに見上げると口角をこれでもかとあげて笑った。
「ヴォイド様がお会いしてくださるそうだ!ありがたく思うんだぞ」
「はい!でもその前に…」
「なんだ?何か不満でも?」
兵士達が眉を顰める。
「いえ、お話してくださった皆さんに感謝致します。本当にありがとうございました」
私は涙を拭った振りをしてしおらしく微笑んでお礼を言う。
後ろではシルバ達が身を寄せあって笑いを堪えていた。
【そこ! うるさいよ】
【だって…ぶっ!ミヅキが変なんだもん】
【確かにな、今度ベイカーにもやってみろ】
ベイカーさん…
なんかまだ離れてそんなに経ってないのに酷く懐かしく感じる。
【そうだね、ベイカーさんにあったら今度はなにしてやろうかな!】
私はその時を想像して笑ってしまった。
ベイカーさん…みんな、会いたいなぁ…
その為にも早くこの国の問題を解決して帰らなきゃ!
私はヴォイドに会う為に気合いを入れた。
「では早速連れていく」
兵士達が私を部屋から出そうとすると当然のようにシルバ達が着いてこようとした。
「まて!従魔は置いていけ、話だけなら必要ないだろ」
「え! で、でもみんなと離れるのは…」
不安になってシルバ達を見つめる。
ただでさえあの男と会うのに緊張するのにシルバ達もそばにいないなんて不安すぎる。
「何もさせませんから近くにいたらダメですか?」
うるうると涙目で訴えて見るが首を横に振られる。
ちっ!
心の中で舌打ちするとどうしようかとシルバをみた。
【無理にでも着いてってやる】
シルバは離れる気はないと私のそばに来てしまった。
「お、おい!すぐに部屋に戻すんだ!でないとヴォイド様にはお会いできないぞ」
「え、それは…」
困ったとシルバ達を何度もみて決心する。
【シルバ達は待ってて、大丈夫話をするだけだし友好的にするつもりだから…きっと何もないと思う】
【しかし!あの男ならミヅキを傷つけるのもなんとも思わんぞ】
「ほら行くぞ」
私達が揉めてるのもわからずに兵士達は私を引っ張って部屋を出ようとした。
「いい子に待ってて!」
私はシルバ達にそういうと大丈夫だと笑って見せた。
【ミヅキ!】
みんなの心配そうな声を聞きながら私は兵士に連れられてまたあの部屋へと連れていかれた。
食事を終えたローラさんに私はおずおずと声をかける。
「ヴォ、ヴォイド様に!?」
ローラさんは驚いて目を見開くと持っていた物を落とした。
かなり動揺しているようだ。
「ど、どうでしょう...私はメイドなので...ですが、ちょっとお待ちください!」
ローラさんは覚悟を決めたように部屋を出ていった。
そしてしばらくして戻って来ると兵士を連れてきた。
「ヴォイド様に会いたいそうだな」
兵士達は部屋に入るなり私を睨みつけてうかがうようにジロジロと見ている。
「こんな子供に何か出来るわけありませんよ」
「しかし…あのアナテマ様の妹なんだろ」
兵士達も私の扱いに迷っているようだった。
「私、お父様にあって無礼を謝りたいんです!それでこの国事も勉強したいと思って…よかったらそれだけでも伝えて貰えませんか?」
私は精一杯媚びを売るように目をうるませて兵士達を見つめた。
「うっ…」
兵士達は私の言葉に迷っていた。
もうちょいか!
私はダメ押して兵士達に一歩近づく。
「兵士さん達はすごいですね、いつもお父様や国を守っていて…私尊敬します」
ニコッと微笑んで見れば兵士達も気が張っていたのが緩むのを感じた。
「ま、まぁ話すだけなら聞いてみよう。だがヴォイド様の命令には逆らえないからな」
「はい!兵士さん、ありがとうございます」
キラキラに輝いた顔を見せれば満足そうに兵士達は部屋を出ていった。
「ミ、ミヅキ様…本当にヴォイド様の事を?」
ローラさんは不安と言うより心配そうに私に声をかけてきた。
「いやいや、ああでも言わないと会えないと思って…それにここにいるなら少しでも信用されて自由に動けるようになりたいし」
【ミヅキ、悪い顔になってる】
シンクが呆れた様子で肩に乗ってきた。
【えーそうかな?】
私はほっぺをマッサージして顔を直す。
【大丈夫、ミヅキはどんな顔をしてても可愛いからな】
真面目に答えるシルバにクスッと笑みがこぼれた。
【ありがとう、シルバもどんな顔でもかっこいいよ】
私はもふもふの体に抱きついた。
またしばらく待っていると先程の兵士達が戻ってきた、その顔はニコニコと笑って誇らしげに見える。
その様子からヴォイドとの話が上手くいったように感じた。
しかし私は不安そうに兵士達に駆け寄りその顔を見上げた。
「どうでしたか?」
眉を下げて上目遣いに見上げると口角をこれでもかとあげて笑った。
「ヴォイド様がお会いしてくださるそうだ!ありがたく思うんだぞ」
「はい!でもその前に…」
「なんだ?何か不満でも?」
兵士達が眉を顰める。
「いえ、お話してくださった皆さんに感謝致します。本当にありがとうございました」
私は涙を拭った振りをしてしおらしく微笑んでお礼を言う。
後ろではシルバ達が身を寄せあって笑いを堪えていた。
【そこ! うるさいよ】
【だって…ぶっ!ミヅキが変なんだもん】
【確かにな、今度ベイカーにもやってみろ】
ベイカーさん…
なんかまだ離れてそんなに経ってないのに酷く懐かしく感じる。
【そうだね、ベイカーさんにあったら今度はなにしてやろうかな!】
私はその時を想像して笑ってしまった。
ベイカーさん…みんな、会いたいなぁ…
その為にも早くこの国の問題を解決して帰らなきゃ!
私はヴォイドに会う為に気合いを入れた。
「では早速連れていく」
兵士達が私を部屋から出そうとすると当然のようにシルバ達が着いてこようとした。
「まて!従魔は置いていけ、話だけなら必要ないだろ」
「え! で、でもみんなと離れるのは…」
不安になってシルバ達を見つめる。
ただでさえあの男と会うのに緊張するのにシルバ達もそばにいないなんて不安すぎる。
「何もさせませんから近くにいたらダメですか?」
うるうると涙目で訴えて見るが首を横に振られる。
ちっ!
心の中で舌打ちするとどうしようかとシルバをみた。
【無理にでも着いてってやる】
シルバは離れる気はないと私のそばに来てしまった。
「お、おい!すぐに部屋に戻すんだ!でないとヴォイド様にはお会いできないぞ」
「え、それは…」
困ったとシルバ達を何度もみて決心する。
【シルバ達は待ってて、大丈夫話をするだけだし友好的にするつもりだから…きっと何もないと思う】
【しかし!あの男ならミヅキを傷つけるのもなんとも思わんぞ】
「ほら行くぞ」
私達が揉めてるのもわからずに兵士達は私を引っ張って部屋を出ようとした。
「いい子に待ってて!」
私はシルバ達にそういうと大丈夫だと笑って見せた。
【ミヅキ!】
みんなの心配そうな声を聞きながら私は兵士に連れられてまたあの部屋へと連れていかれた。
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