663 / 687
13章
758.
しおりを挟む
「ローラさん、私ヴォイド...様と話がしたいんだけど...」
食事を終えたローラさんに私はおずおずと声をかける。
「ヴォ、ヴォイド様に!?」
ローラさんは驚いて目を見開くと持っていた物を落とした。
かなり動揺しているようだ。
「ど、どうでしょう...私はメイドなので...ですが、ちょっとお待ちください!」
ローラさんは覚悟を決めたように部屋を出ていった。
そしてしばらくして戻って来ると兵士を連れてきた。
「ヴォイド様に会いたいそうだな」
兵士達は部屋に入るなり私を睨みつけてうかがうようにジロジロと見ている。
「こんな子供に何か出来るわけありませんよ」
「しかし…あのアナテマ様の妹なんだろ」
兵士達も私の扱いに迷っているようだった。
「私、お父様にあって無礼を謝りたいんです!それでこの国事も勉強したいと思って…よかったらそれだけでも伝えて貰えませんか?」
私は精一杯媚びを売るように目をうるませて兵士達を見つめた。
「うっ…」
兵士達は私の言葉に迷っていた。
もうちょいか!
私はダメ押して兵士達に一歩近づく。
「兵士さん達はすごいですね、いつもお父様や国を守っていて…私尊敬します」
ニコッと微笑んで見れば兵士達も気が張っていたのが緩むのを感じた。
「ま、まぁ話すだけなら聞いてみよう。だがヴォイド様の命令には逆らえないからな」
「はい!兵士さん、ありがとうございます」
キラキラに輝いた顔を見せれば満足そうに兵士達は部屋を出ていった。
「ミ、ミヅキ様…本当にヴォイド様の事を?」
ローラさんは不安と言うより心配そうに私に声をかけてきた。
「いやいや、ああでも言わないと会えないと思って…それにここにいるなら少しでも信用されて自由に動けるようになりたいし」
【ミヅキ、悪い顔になってる】
シンクが呆れた様子で肩に乗ってきた。
【えーそうかな?】
私はほっぺをマッサージして顔を直す。
【大丈夫、ミヅキはどんな顔をしてても可愛いからな】
真面目に答えるシルバにクスッと笑みがこぼれた。
【ありがとう、シルバもどんな顔でもかっこいいよ】
私はもふもふの体に抱きついた。
またしばらく待っていると先程の兵士達が戻ってきた、その顔はニコニコと笑って誇らしげに見える。
その様子からヴォイドとの話が上手くいったように感じた。
しかし私は不安そうに兵士達に駆け寄りその顔を見上げた。
「どうでしたか?」
眉を下げて上目遣いに見上げると口角をこれでもかとあげて笑った。
「ヴォイド様がお会いしてくださるそうだ!ありがたく思うんだぞ」
「はい!でもその前に…」
「なんだ?何か不満でも?」
兵士達が眉を顰める。
「いえ、お話してくださった皆さんに感謝致します。本当にありがとうございました」
私は涙を拭った振りをしてしおらしく微笑んでお礼を言う。
後ろではシルバ達が身を寄せあって笑いを堪えていた。
【そこ! うるさいよ】
【だって…ぶっ!ミヅキが変なんだもん】
【確かにな、今度ベイカーにもやってみろ】
ベイカーさん…
なんかまだ離れてそんなに経ってないのに酷く懐かしく感じる。
【そうだね、ベイカーさんにあったら今度はなにしてやろうかな!】
私はその時を想像して笑ってしまった。
ベイカーさん…みんな、会いたいなぁ…
その為にも早くこの国の問題を解決して帰らなきゃ!
私はヴォイドに会う為に気合いを入れた。
「では早速連れていく」
兵士達が私を部屋から出そうとすると当然のようにシルバ達が着いてこようとした。
「まて!従魔は置いていけ、話だけなら必要ないだろ」
「え! で、でもみんなと離れるのは…」
不安になってシルバ達を見つめる。
ただでさえあの男と会うのに緊張するのにシルバ達もそばにいないなんて不安すぎる。
「何もさせませんから近くにいたらダメですか?」
うるうると涙目で訴えて見るが首を横に振られる。
ちっ!
心の中で舌打ちするとどうしようかとシルバをみた。
【無理にでも着いてってやる】
シルバは離れる気はないと私のそばに来てしまった。
「お、おい!すぐに部屋に戻すんだ!でないとヴォイド様にはお会いできないぞ」
「え、それは…」
困ったとシルバ達を何度もみて決心する。
【シルバ達は待ってて、大丈夫話をするだけだし友好的にするつもりだから…きっと何もないと思う】
【しかし!あの男ならミヅキを傷つけるのもなんとも思わんぞ】
「ほら行くぞ」
私達が揉めてるのもわからずに兵士達は私を引っ張って部屋を出ようとした。
「いい子に待ってて!」
私はシルバ達にそういうと大丈夫だと笑って見せた。
【ミヅキ!】
みんなの心配そうな声を聞きながら私は兵士に連れられてまたあの部屋へと連れていかれた。
食事を終えたローラさんに私はおずおずと声をかける。
「ヴォ、ヴォイド様に!?」
ローラさんは驚いて目を見開くと持っていた物を落とした。
かなり動揺しているようだ。
「ど、どうでしょう...私はメイドなので...ですが、ちょっとお待ちください!」
ローラさんは覚悟を決めたように部屋を出ていった。
そしてしばらくして戻って来ると兵士を連れてきた。
「ヴォイド様に会いたいそうだな」
兵士達は部屋に入るなり私を睨みつけてうかがうようにジロジロと見ている。
「こんな子供に何か出来るわけありませんよ」
「しかし…あのアナテマ様の妹なんだろ」
兵士達も私の扱いに迷っているようだった。
「私、お父様にあって無礼を謝りたいんです!それでこの国事も勉強したいと思って…よかったらそれだけでも伝えて貰えませんか?」
私は精一杯媚びを売るように目をうるませて兵士達を見つめた。
「うっ…」
兵士達は私の言葉に迷っていた。
もうちょいか!
私はダメ押して兵士達に一歩近づく。
「兵士さん達はすごいですね、いつもお父様や国を守っていて…私尊敬します」
ニコッと微笑んで見れば兵士達も気が張っていたのが緩むのを感じた。
「ま、まぁ話すだけなら聞いてみよう。だがヴォイド様の命令には逆らえないからな」
「はい!兵士さん、ありがとうございます」
キラキラに輝いた顔を見せれば満足そうに兵士達は部屋を出ていった。
「ミ、ミヅキ様…本当にヴォイド様の事を?」
ローラさんは不安と言うより心配そうに私に声をかけてきた。
「いやいや、ああでも言わないと会えないと思って…それにここにいるなら少しでも信用されて自由に動けるようになりたいし」
【ミヅキ、悪い顔になってる】
シンクが呆れた様子で肩に乗ってきた。
【えーそうかな?】
私はほっぺをマッサージして顔を直す。
【大丈夫、ミヅキはどんな顔をしてても可愛いからな】
真面目に答えるシルバにクスッと笑みがこぼれた。
【ありがとう、シルバもどんな顔でもかっこいいよ】
私はもふもふの体に抱きついた。
またしばらく待っていると先程の兵士達が戻ってきた、その顔はニコニコと笑って誇らしげに見える。
その様子からヴォイドとの話が上手くいったように感じた。
しかし私は不安そうに兵士達に駆け寄りその顔を見上げた。
「どうでしたか?」
眉を下げて上目遣いに見上げると口角をこれでもかとあげて笑った。
「ヴォイド様がお会いしてくださるそうだ!ありがたく思うんだぞ」
「はい!でもその前に…」
「なんだ?何か不満でも?」
兵士達が眉を顰める。
「いえ、お話してくださった皆さんに感謝致します。本当にありがとうございました」
私は涙を拭った振りをしてしおらしく微笑んでお礼を言う。
後ろではシルバ達が身を寄せあって笑いを堪えていた。
【そこ! うるさいよ】
【だって…ぶっ!ミヅキが変なんだもん】
【確かにな、今度ベイカーにもやってみろ】
ベイカーさん…
なんかまだ離れてそんなに経ってないのに酷く懐かしく感じる。
【そうだね、ベイカーさんにあったら今度はなにしてやろうかな!】
私はその時を想像して笑ってしまった。
ベイカーさん…みんな、会いたいなぁ…
その為にも早くこの国の問題を解決して帰らなきゃ!
私はヴォイドに会う為に気合いを入れた。
「では早速連れていく」
兵士達が私を部屋から出そうとすると当然のようにシルバ達が着いてこようとした。
「まて!従魔は置いていけ、話だけなら必要ないだろ」
「え! で、でもみんなと離れるのは…」
不安になってシルバ達を見つめる。
ただでさえあの男と会うのに緊張するのにシルバ達もそばにいないなんて不安すぎる。
「何もさせませんから近くにいたらダメですか?」
うるうると涙目で訴えて見るが首を横に振られる。
ちっ!
心の中で舌打ちするとどうしようかとシルバをみた。
【無理にでも着いてってやる】
シルバは離れる気はないと私のそばに来てしまった。
「お、おい!すぐに部屋に戻すんだ!でないとヴォイド様にはお会いできないぞ」
「え、それは…」
困ったとシルバ達を何度もみて決心する。
【シルバ達は待ってて、大丈夫話をするだけだし友好的にするつもりだから…きっと何もないと思う】
【しかし!あの男ならミヅキを傷つけるのもなんとも思わんぞ】
「ほら行くぞ」
私達が揉めてるのもわからずに兵士達は私を引っ張って部屋を出ようとした。
「いい子に待ってて!」
私はシルバ達にそういうと大丈夫だと笑って見せた。
【ミヅキ!】
みんなの心配そうな声を聞きながら私は兵士に連れられてまたあの部屋へと連れていかれた。
219
お気に入りに追加
23,235
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。