645 / 687
12章(続き)
740.回転寿司
しおりを挟む
料理は他の国の料理人達に任せて私はシルバ達と水路にテーブルと椅子を作った。
料理を流す水路を挟んでテーブルをいくつも作っていく。
四人で座れるテーブルを中心に一人がけのものも作る、イメージはまさに回転寿司店。
「ミヅキさん!また問題です、桶がどうも不安定になるようです。バランスが悪いと傾いて料理が桶の中で倒れてしまいます」
「うーん、水が深いと余計傾くかもしれませんね…水の量を少し減らして水路の幅も少し縮めた方がいいかもしれない」
マルコさんと試行錯誤して倒れにくい水量と適度に流れる幅に調節する。
「料理を置く時はなるべく真ん中に、そして重心が低くなるように盛り付けてみて下さい」
料理を作ってくれる人達にその様に伝達する。
「ミヅキちゃんうどんはどうすればいいかね?安定が悪いんだよ」
隠れ里のおばちゃんがうどんの容器を持ってやってきた。
何度もやっても中でうどんがこぼれてしまうらしい。
「うどんは器を変えましょう。どんぶりじゃなくて桶みたいな底が平らな器にすれば安定すると思うんだ。今マルコさんに余ってる桶がないか聞いてみるね」
マルコさんに聞くと試作で作った桶が店にあると言うので持ってきてもらう事になった。
着々と料理も出来て水路に流れる桶が料理で埋まっていく。
この世界に来て回転寿司まで出来るとは思わなかった。
でも決して一人の力では出来なかったと思う。
どの国の人達もごっちゃになって楽しそうに料理をする姿に私は胸がいっぱいになった。
そこには国の垣根を越えて料理を作って食べる。
誤解や昔からの因縁でなかなか歩み寄れなかった人達が一つのことをする事で一体になる。
みんなの共通の食事を通してそれが出来た。
美味しいものをみんなで囲めば争い事も終わるのではないかと…この時は思っていた。
結果水上回転寿司は好評だった。
異国の料理が目の前を流れて自分の好きなだけ取って食べられる。
唐揚げにハンバーグ、カレーにうどん。肉串に焼きそばデザートまで流れた。
意外と人気だったのはお寿司、生は抵抗があるかと炙りにしたら美味しいと評判になる。
他の国の人達が早速海の国に交渉していた。
皆が気になる国の料理を食べてその国に交渉に行く。
料理を通じて更なる交流が生まれていた。
「なんだ、なんだ。なんかすごい事になってるな」
噂を聞いて国王達までその様子を見に来てしまった。
「こりゃまた凄いものを作ったな…」
何も言ってないのに私の事をじっと見つめる。
「こ、これはマルコさんが…」
私は隣のマルコさんに丸投げした。
だって作ってきたのはマルコさんだし…
「はい、私が海の国の方に話しを聞きまして作っていた物です、少しだけ…ミヅキさんに助言をいただきましたが…」
語尾を弱めて説明した。
最後の言葉は言わなくてもよかったんじゃ…そんな事を思ってマルコさんを見つめる。
「ゴホンッ!で、ですので何か質問があるなら私までお願いしますね」
マルコさんがそういうと早速各国の大臣達がマルコさんに詰め寄っていた。
自分達の国でも出来ないか相談、購入の交渉をしている。
マルコさんのおかげであの質問責めから逃れられてほっとする。
「本当はミヅキなんだろ?」
「だよな、あんな事を考えるのはミヅキだろう」
「確かうちの国でミヅキが話したのを聞いたと報告を受けたが?」
いつの間にか各国の国王達が後ろにいた。
「えーっと……」
私は横に視線を逸らす。
「まぁ良い。この事は皆さん内密にお願いしますよ」
ギルバート王が他の国の王達に頭を下げた。
「お止めください!皆わかっていますから」
「そうです」
ギルバート王の頭を上げさせて苦笑していた。
なんかいつもすみません…
私はそっとその場から逃げ出すとシルバの体に身を隠す事にした。
【はぁ好きな事をするのも大変だ!】
シルバはお腹いっぱい食べれたようで満足そうに横になっていた。
そのお腹に蹲ると丸まって私を隠してくれる。
その上からシンクやコハクが覆いかぶさっていた。
【なら俺がみんなを気散らしてやろうか?】
シルバが寝たフリをしながらそんな提案をする。
【ふふ、シルバが本当はそんな事しないってわかってるよ】
私はシルバのぽっこりお腹を優しく撫でた。
【そんな事…ないぞ】
【シルバ達がこの国やみんなを大切にしてくれてるのわかってるよ】
【それは、ミヅキが大切にしているからだ】
そうは言うが私がいなくてもきっとみんなを守ってくれると信じている。
【私に何があっても…私の好きなこの国やみんなを守ってね】
【ミヅキを優先するに決まってるだろ】
【私だって結構強いんだよ!まぁシルバ達には負けちゃうけどね】
【安心しろ…あいつに絶対ミヅキを傷つけさせないからな】
【僕だって!】
【私もだ、あれを野放しには出来ない】
【ぼくもがんばる!】
【私も出来ることをします】
【うん!頼りにしてる!】
私はみんなを抱きしめた。
そこにはいるはずのムーだけが居ないことが心残りだった。
料理を流す水路を挟んでテーブルをいくつも作っていく。
四人で座れるテーブルを中心に一人がけのものも作る、イメージはまさに回転寿司店。
「ミヅキさん!また問題です、桶がどうも不安定になるようです。バランスが悪いと傾いて料理が桶の中で倒れてしまいます」
「うーん、水が深いと余計傾くかもしれませんね…水の量を少し減らして水路の幅も少し縮めた方がいいかもしれない」
マルコさんと試行錯誤して倒れにくい水量と適度に流れる幅に調節する。
「料理を置く時はなるべく真ん中に、そして重心が低くなるように盛り付けてみて下さい」
料理を作ってくれる人達にその様に伝達する。
「ミヅキちゃんうどんはどうすればいいかね?安定が悪いんだよ」
隠れ里のおばちゃんがうどんの容器を持ってやってきた。
何度もやっても中でうどんがこぼれてしまうらしい。
「うどんは器を変えましょう。どんぶりじゃなくて桶みたいな底が平らな器にすれば安定すると思うんだ。今マルコさんに余ってる桶がないか聞いてみるね」
マルコさんに聞くと試作で作った桶が店にあると言うので持ってきてもらう事になった。
着々と料理も出来て水路に流れる桶が料理で埋まっていく。
この世界に来て回転寿司まで出来るとは思わなかった。
でも決して一人の力では出来なかったと思う。
どの国の人達もごっちゃになって楽しそうに料理をする姿に私は胸がいっぱいになった。
そこには国の垣根を越えて料理を作って食べる。
誤解や昔からの因縁でなかなか歩み寄れなかった人達が一つのことをする事で一体になる。
みんなの共通の食事を通してそれが出来た。
美味しいものをみんなで囲めば争い事も終わるのではないかと…この時は思っていた。
結果水上回転寿司は好評だった。
異国の料理が目の前を流れて自分の好きなだけ取って食べられる。
唐揚げにハンバーグ、カレーにうどん。肉串に焼きそばデザートまで流れた。
意外と人気だったのはお寿司、生は抵抗があるかと炙りにしたら美味しいと評判になる。
他の国の人達が早速海の国に交渉していた。
皆が気になる国の料理を食べてその国に交渉に行く。
料理を通じて更なる交流が生まれていた。
「なんだ、なんだ。なんかすごい事になってるな」
噂を聞いて国王達までその様子を見に来てしまった。
「こりゃまた凄いものを作ったな…」
何も言ってないのに私の事をじっと見つめる。
「こ、これはマルコさんが…」
私は隣のマルコさんに丸投げした。
だって作ってきたのはマルコさんだし…
「はい、私が海の国の方に話しを聞きまして作っていた物です、少しだけ…ミヅキさんに助言をいただきましたが…」
語尾を弱めて説明した。
最後の言葉は言わなくてもよかったんじゃ…そんな事を思ってマルコさんを見つめる。
「ゴホンッ!で、ですので何か質問があるなら私までお願いしますね」
マルコさんがそういうと早速各国の大臣達がマルコさんに詰め寄っていた。
自分達の国でも出来ないか相談、購入の交渉をしている。
マルコさんのおかげであの質問責めから逃れられてほっとする。
「本当はミヅキなんだろ?」
「だよな、あんな事を考えるのはミヅキだろう」
「確かうちの国でミヅキが話したのを聞いたと報告を受けたが?」
いつの間にか各国の国王達が後ろにいた。
「えーっと……」
私は横に視線を逸らす。
「まぁ良い。この事は皆さん内密にお願いしますよ」
ギルバート王が他の国の王達に頭を下げた。
「お止めください!皆わかっていますから」
「そうです」
ギルバート王の頭を上げさせて苦笑していた。
なんかいつもすみません…
私はそっとその場から逃げ出すとシルバの体に身を隠す事にした。
【はぁ好きな事をするのも大変だ!】
シルバはお腹いっぱい食べれたようで満足そうに横になっていた。
そのお腹に蹲ると丸まって私を隠してくれる。
その上からシンクやコハクが覆いかぶさっていた。
【なら俺がみんなを気散らしてやろうか?】
シルバが寝たフリをしながらそんな提案をする。
【ふふ、シルバが本当はそんな事しないってわかってるよ】
私はシルバのぽっこりお腹を優しく撫でた。
【そんな事…ないぞ】
【シルバ達がこの国やみんなを大切にしてくれてるのわかってるよ】
【それは、ミヅキが大切にしているからだ】
そうは言うが私がいなくてもきっとみんなを守ってくれると信じている。
【私に何があっても…私の好きなこの国やみんなを守ってね】
【ミヅキを優先するに決まってるだろ】
【私だって結構強いんだよ!まぁシルバ達には負けちゃうけどね】
【安心しろ…あいつに絶対ミヅキを傷つけさせないからな】
【僕だって!】
【私もだ、あれを野放しには出来ない】
【ぼくもがんばる!】
【私も出来ることをします】
【うん!頼りにしてる!】
私はみんなを抱きしめた。
そこにはいるはずのムーだけが居ないことが心残りだった。
188
お気に入りに追加
22,989
あなたにおすすめの小説
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ほっといて下さい(番外編)
三園 七詩
ファンタジー
「ほっといて下さい」のもうひとつのお話です。
本編とは関係ありません。時系列も適当で色々と矛盾がありますが、軽い気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
✱【注意】話によってはネタバレになりますので【ほっといて下さい】をお読みになってからの方がいいかと思います。
転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました
ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー!
初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。
※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。
※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。
※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m
女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました
初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。
ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。
冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。
のんびり書いていきたいと思います。
よければ感想等お願いします。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。