636 / 687
12章(続き)
731
しおりを挟む
私達はご飯を食べるために王都の外に出て屋台のお店に向かう事にした。
レオンハルト王子もついてきたいと言ったがカイルとシリウスさん達に止められて渋々王宮へと戻って行った。
「そんなに行きたいなら後でみんなで行けばいいのにね」
レオンハルトの食いしん坊ぶりに笑っているとセバスさんが苦笑する。
「あれはミヅキさんと行きたかったのでしょう」
「え?私と行ったって味は同じなのに」
「それはどうでしょうかね、私もベイカーさんと食べるよりミヅキさんと食べた方が美味しく感じますから」
「ひでぇなセバスさん、でも…まぁ気持ちは分かる」
ベイカーさんも納得したように頷いている。
「野郎の顔を見て食べるより、可愛いミヅキと食った方が何倍も美味しく感じるからな!」
じいちゃんまでそう言われてギュッと抱きしめられる。
「私は誰と食べても嬉しいよ」
「そんなミヅキさんとだから食べたくなるのでしょう」
そんなものかな?
でも確かに一人で寂しく食べるよりみんなで食べた方が美味しく感じる。
そんな話をしながら向かっているとあっという間に城外へとやってきた。
門の外に出るとさらに人が多く、まるで市場のような賑わいだった。
「わー!すごい!」
私は外にズラっと並ぶお店を見て口をポカンと開ける。
そこにはウエスト国の人達に海の国の人達、サウス国や獣人達と色んな国の人達がごっちゃになっていた。
しかし揉めてる様子はなく、忙しそうに自分達の屋台や商品を興味深く見て回っていた。
「色んな店があるな!」
【なんか美味そうな匂いがするぞ!】
【あっ!ミヅキあそこに海の国のお店があるよ!】
シルクの声に視線を送るとお店の中にチョコバナナが置いてある店が見えた。
「本当だ!でも…」
見ると前には長い行列ができている。
みんなまだかと先を覗き込んで順番を待っていた。
「すごい人気だね!」
「くそ!食べたかったが時間がかかりそうだ」
ベイカーさんが悔しそうにしていると何かを見つけて視線を変えた。
「あっ、向こうにいるのはコジローの兄貴じゃないか?」
「え?どこどこ?」
私も一緒になって背伸びをして見るが人が多くて見えない。
するとセバスさんがヒョイっと肩に抱き上げてくれた。
「ありがとうございます。あっ本当だ!里のみんなだ!」
大きなセバスさんに抱き上げられるとムサシさんの顔が目に入った。
ムサシさんは顔を隠すことなく堂々と店に出ていた。
「ムサシさーん!」
私達は声をかけてムサシさんに近づくとムサシさん達も私達に気がついた。
「ああ、ミヅキ。よく来たな!隣に長老達のうどんの店が出てるぞ」
ムサシさんが指さすと隣の店もチョコバナナの店に負けじと行列が出来ていて、中では忙しそうにおばちゃん達がうどんを提供していた。
「はい、いらっしゃい!うどんの中、三つね!」
「次は大を二つだよ!」
早くて安くて味よしのうどんは飛ぶように売れていた。
最初は王都の人の数に戸惑っていた里のみんなも今では忙しさにそれどころでは無いようだ。
「出汁の匂いにつられてお客さんが凄いんだよ」
「ムサシさんは何売ってるの?」
うどん屋の隣で店を開いているムサシさんを見た。
「うどんの出汁と醤油だよ。うどんを食べた人が結構買ってくんだ」
そう言ってる間にも何人も醤油などを買っていた。
「この出汁があれば隣のうどんと同じもの食べれるのよね?」
「はいそうですよ」
ムサシさんがお客さんのおばちゃんの質問に答えてるとおばちゃんはそれなら四つちょうだいとお金を出した。
「ありがとうございます」
ムサシさんがお金を受け取って商品を渡す。
「ありがとね犬のお兄さん!」
おばちゃんは嬉しそうに出汁を受け取っていた。
ムサシさんも顔を隠すことなく笑顔で接客している。
そんな様子が嬉しくて私はニコニコとその様子を眺めていた。
「ミヅキー、見てないで俺達もなんか食おうぜ」
するとベイカーさんがお腹が空いたとお腹を押さえて嘆いている。
「はーい!」
私はムサシさんに手を振るとベイカーさん達の方へかけて行った。
レオンハルト王子もついてきたいと言ったがカイルとシリウスさん達に止められて渋々王宮へと戻って行った。
「そんなに行きたいなら後でみんなで行けばいいのにね」
レオンハルトの食いしん坊ぶりに笑っているとセバスさんが苦笑する。
「あれはミヅキさんと行きたかったのでしょう」
「え?私と行ったって味は同じなのに」
「それはどうでしょうかね、私もベイカーさんと食べるよりミヅキさんと食べた方が美味しく感じますから」
「ひでぇなセバスさん、でも…まぁ気持ちは分かる」
ベイカーさんも納得したように頷いている。
「野郎の顔を見て食べるより、可愛いミヅキと食った方が何倍も美味しく感じるからな!」
じいちゃんまでそう言われてギュッと抱きしめられる。
「私は誰と食べても嬉しいよ」
「そんなミヅキさんとだから食べたくなるのでしょう」
そんなものかな?
でも確かに一人で寂しく食べるよりみんなで食べた方が美味しく感じる。
そんな話をしながら向かっているとあっという間に城外へとやってきた。
門の外に出るとさらに人が多く、まるで市場のような賑わいだった。
「わー!すごい!」
私は外にズラっと並ぶお店を見て口をポカンと開ける。
そこにはウエスト国の人達に海の国の人達、サウス国や獣人達と色んな国の人達がごっちゃになっていた。
しかし揉めてる様子はなく、忙しそうに自分達の屋台や商品を興味深く見て回っていた。
「色んな店があるな!」
【なんか美味そうな匂いがするぞ!】
【あっ!ミヅキあそこに海の国のお店があるよ!】
シルクの声に視線を送るとお店の中にチョコバナナが置いてある店が見えた。
「本当だ!でも…」
見ると前には長い行列ができている。
みんなまだかと先を覗き込んで順番を待っていた。
「すごい人気だね!」
「くそ!食べたかったが時間がかかりそうだ」
ベイカーさんが悔しそうにしていると何かを見つけて視線を変えた。
「あっ、向こうにいるのはコジローの兄貴じゃないか?」
「え?どこどこ?」
私も一緒になって背伸びをして見るが人が多くて見えない。
するとセバスさんがヒョイっと肩に抱き上げてくれた。
「ありがとうございます。あっ本当だ!里のみんなだ!」
大きなセバスさんに抱き上げられるとムサシさんの顔が目に入った。
ムサシさんは顔を隠すことなく堂々と店に出ていた。
「ムサシさーん!」
私達は声をかけてムサシさんに近づくとムサシさん達も私達に気がついた。
「ああ、ミヅキ。よく来たな!隣に長老達のうどんの店が出てるぞ」
ムサシさんが指さすと隣の店もチョコバナナの店に負けじと行列が出来ていて、中では忙しそうにおばちゃん達がうどんを提供していた。
「はい、いらっしゃい!うどんの中、三つね!」
「次は大を二つだよ!」
早くて安くて味よしのうどんは飛ぶように売れていた。
最初は王都の人の数に戸惑っていた里のみんなも今では忙しさにそれどころでは無いようだ。
「出汁の匂いにつられてお客さんが凄いんだよ」
「ムサシさんは何売ってるの?」
うどん屋の隣で店を開いているムサシさんを見た。
「うどんの出汁と醤油だよ。うどんを食べた人が結構買ってくんだ」
そう言ってる間にも何人も醤油などを買っていた。
「この出汁があれば隣のうどんと同じもの食べれるのよね?」
「はいそうですよ」
ムサシさんがお客さんのおばちゃんの質問に答えてるとおばちゃんはそれなら四つちょうだいとお金を出した。
「ありがとうございます」
ムサシさんがお金を受け取って商品を渡す。
「ありがとね犬のお兄さん!」
おばちゃんは嬉しそうに出汁を受け取っていた。
ムサシさんも顔を隠すことなく笑顔で接客している。
そんな様子が嬉しくて私はニコニコとその様子を眺めていた。
「ミヅキー、見てないで俺達もなんか食おうぜ」
するとベイカーさんがお腹が空いたとお腹を押さえて嘆いている。
「はーい!」
私はムサシさんに手を振るとベイカーさん達の方へかけて行った。
208
お気に入りに追加
22,989
あなたにおすすめの小説
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ほっといて下さい(番外編)
三園 七詩
ファンタジー
「ほっといて下さい」のもうひとつのお話です。
本編とは関係ありません。時系列も適当で色々と矛盾がありますが、軽い気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
✱【注意】話によってはネタバレになりますので【ほっといて下さい】をお読みになってからの方がいいかと思います。
転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました
ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー!
初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。
※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。
※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。
※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。