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12章

715.

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ルンバさんとポルクスさんはその後アクアお手製のチョコバナナも食べて早速どんなメニューにしようかと話し合っていた。

バナナとチョコが安くなるなら是非ともチョコバナナは出したいようだった。

確かにあれは簡単だもんね。

ポルクスさん達の話し合いはなかなか終わりそうも無かったので一旦中断して厨房に戻ると他の従業員と交代してきた。

ゴウ達従業員にもバナナジュースとパフェを作ってあげて試食させる。

やはり女の子達は甘い物に目を輝かせていた。

「美味しい~こんな美味しいものがあったなんて…プリンが一番だと思ってた」

「私はプリンの方が好きかな、これも美味しいけど」

「このバナナジュース美味しい~朝ならこれでお腹いっぱいになりそうだね」

若い女の子達がキャッキャ言いながら甘い物を食べる姿は可愛い。

ここだけ別の空間に見えた。

「さてと、そろそろアクア様は帰らないとかしら」

ミシェルさんが席を立ち眉を下げて私達を見つめる。

そういえば結構な時間がたっていた。
そろそろ帰らないと王宮のみんなが心配するだろう。

「私達はこのまま帰るわ、ミヅキちゃんはどうする?」

んー昨日はお城にお泊まりしたから帰りたくないけど・・・・・・

「また、他の国の人達も来るんですよね。その度に王宮に行かないとなのかな?」

「多分、そうなるわね。ごめんねミヅキちゃん」

ミシェルさんがすまなそうに謝る。

「ミシェルさんが謝る事なんてないですよ!  じゃあ面倒だけど、他の国の人達来たら知らせて貰えますか?今日はお家に帰ります」

「わかった、国王にそう伝えておくわ。何処に連絡に行けばいいかしら?」

「そういえばベイカーさん達何処にいるんだろ?」

神木の里に行ったがみんなの姿は無かった。

「ベイカーさん達ならギルドのお仕事で警備の手伝いに言ってるわよ。だから王都のギルドじゃないかしら?」

「ギルドか・・・・・・じゃあ私もギルドに行ってみます!  移動するならまた連絡しますね」

ミシェルさんは了解とウインクする。

「じゃあアクアまたね!  他の国の人達来たら紹介するから!」

「うん!  楽しみにしてるね」

アクアとミシェルさんが帰っていくのを見送る。

「あれ?ガッツ隊長達はいいんですか?」

「俺達はミヅキの護衛だからな、ベイカーさん達に引き渡したら帰るよ」

「はい!  じゃあそれまでよろしくお願いします」

「えーミヅキ様もう帰ってしまうんですか」

帰ろうとすると寂しそうな顔でイチカが見つめる。

「ごめんね、でもまた来るから!  それに夜にでもみんなでご飯食べようよ」

「はい!」

「でもイチカはあんまり興奮しないでね。ポルクスさんが心配するよ」

「はい」

イチカは笑ってお腹をさすっていた。

私達はドラゴン亭のみんなに見送られて、ガッツ隊長達とギルドに向かった。

「こんにちはー」

ギルドの扉を元気よく開く。

「ようこそギルドへ、ってミヅキちゃんじゃないおかえりなさい」

ギルドの受付のお姉さんが笑顔で迎えてくれる。

「あれ?なんかギルドに人が少ないですね」

ギルド内をうかがうがいつもなら冒険者がわいわいとおしゃべりしながら依頼書などを眺めているのにギルドにはほんの数人の冒険者がいるだけだった。

「今王都はお祭り騒ぎでしょ?だからほとんどの冒険者達が護衛や警備に駆り出されてるの」

ああ、なんかセバスさん達がそんな様な事を言っていた。

「ベイカーさん達がここに来たって聞いたんですが、みんなも警護に?」

「ベイカーさんなら護衛の説明に行ったわ、セバスさんとディムロスさんはギルマス達と会議中よ」

みんな忙しそうだ。

「そうですか・・・・・・じゃあみんなが戻ったらこれを渡しておいて下さい」

私は先程作ったチョコバナナとジュースを受付のお姉さんに渡した。

パフェは溶けてしまうかもしれないからまた今度作ってあげよう。

「わかったわ、帰ってきたら渡しておくわね。他に何か伝言はあるかしら?」

「じゃあ、里で待ってるって伝えて下さい」

「了解よ」

お姉さんは笑顔で了承してくれた。

ベイカーさん達に会えず少し寂しくなりながらギルドを出た。

そんな寂しそうな私にガッツ隊長が声をかけた。

「ミヅキ、良かったらベイカーさん達が来るまで部隊兵達の住まいに来るか?」

「え?いいの?」

「それはいいね!みんな会いたがってたし遊びにおいでよ」

パックさんも賛成してくれる。

「えっ・・・・・・じゃあ行っちゃおうかな!?」

私は受付のお姉さんに行き先を変更したことを伝えに戻った。

ガッツ隊長に案内されながら部隊兵達の住まいへと向かう。

「おー!  訓練場の近くなんですね」

みんなで訓練した事を思い出しながら横を通り過ぎ住まいへと向かった。

大きな建物が見えると外ではたくさんの服が干されていた。

「あっ、ガッツ隊長おかえりなさい」

洗濯物の間から兵士の一人が声をかける。

「ただいま、ミヅキが遊びに来たぞ。みんないるか?」

「え!?ミヅキちゃん」

「こんにちはー」

ガッツ隊長の後ろからヒョイっと顔を見せた。

「ま、待ってください!ミヅキちゃん建物に入らないで!」

兵士さんは慌てて扉を開けて中へとかけていく。

「みんなー!ミヅキちゃんが遊びに来たぞー」

すると中から先程の兵士さんの大声が聞こえた。

「な、なに!?」

「急いで部屋を片付けろ!ミヅキちゃんに見せたら不味いものは今すぐしまえ!」

「や、やばい!何処に隠そう!」

「ゴ、ゴミ箱!いや、消去!全部棚に押し込め!」

兵士さん達の声が窓の外まで漏れてくる。

「あはは・・・・・・なんかいきなり来ちゃって不味かったかな」

私は苦笑いしてガッツ隊長を見上げる。

「あいつらは、日頃から部屋は綺麗にしておけと常に言っていたのに」

ガッツ隊長の顔は眉間にシワを寄せて怒っていた。

「いきなり来ちゃったからみんなの事は怒らないであげてね」

「それよりもガッツは大丈夫なのか?」

パックさんが何となく聞く。

「当たり前だ!  大丈夫・・・・・・だと思う」

大丈夫だと言いながら徐々に顔が曇ってきた。

「いや、ちょっと確認してくるからここで待っててくれ。パックミヅキを見ててくれ」

「はいはい」

パックさんは大丈夫だからさっさと行けと手を振った。

「大丈夫なんだが一応確認するだけだ」

ガッツ隊長は先程の兵士さん達と同じように屋敷に飛び込んで行った。




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