ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字の大きさ
174 / 675
番外編【ネタバレ注意】

三巻販売御礼の番外編第二弾 ルンバとリリアン

しおりを挟む
この話は三巻発売のお礼として書きました。

三巻のネタバレもあるので読んでない人、これから読む予定の人は気をつけて下さい。

ミヅキと会ったリリアンとルンバのお話です。











「はぁ…」

朝起きてお腹を撫でるとため息をひとつ…隣を見ると旦那のルンバが朝の仕事の支度のためにもうベッドを抜け出ていた。

私、リリアンは冒険者仲間だったルンバと結婚して念願だった冒険者達の為のお店も持った。

夫婦仲も良好、口数の少ない男だけどとても優しく、怖い顔でオドオドする姿がまた可愛らしい。

そんなところに惚れて私からアプローチして告白したが蓋を開ければ向こうもずっと私を好きだったと言うパターン。

店もそこそこお客が入り生活するには十分な安定がもてた。そんな順風満帆な出だしだったが…唯一の気がかりは「子供が出来ないこと」だった。

ルンバは授かり物だからといつも優しく声をかけてくれる…私もあの人も子供が好きだからとすぐに子作りに励んだが私達の元に子供が授かることはなかった…

そんな憂鬱な気持ちもお店に出ればおくびにも出さない、明るい声と笑顔で冒険者達を迎え入れてお腹いっぱいにさせて送り出す。

まぁでっかい子供が沢山いると思えばいいかと子供の事は諦めかけた頃にあの子はやってきた。

手のかかる冒険者の一人のベイカーさんが連れてきた幼い女の子で名は「ミヅキ」と言った。

可愛いらしい容姿には似つかわしくない真っ暗で大きな従魔を従え、自分の事に無頓着ながら料理の知識は抜群というチグハグな幼女は何となくほっとけない子だった。

しかし愛嬌もあり、時折大人っぽい言動や仕草から何やら訳ありな過去が垣間見れた…まだ幼い子供に何があったのと心配になるが本人は話す気が無いようで周りもそれを温かく見守る事にした。





「リリアンさん!」

ミヅキは明るい性格からすぐにここに慣れたようで私達にもすごく懐いてくれた、それが可愛くてミヅキを自分子供のように可愛がりいつしか子供が出来ないことなど気にならなくなっていた。

「ふふ…」

夜にふっと昼間のミヅキの事を思い出し笑っていると

「なんだ?」

まだ起きていたルンバから声がかかった。

「あら、ごめんなさい。まだ起きてたのね」

「いや、大丈夫だ。それより何に笑ったんだ?」

「ふふ、今日ねミヅキちゃんが間違えて私の事をお母さんって呼んだのよ。その後間違えちゃったって恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてて…ふふ、本当に可愛い子ね」

「そうか…」

ルンバからは少しだけ不満そうな声が返ってきた。

「あら?何拗ねてるの?」

「なんでもない」

くるっと背中を向けてしまったルンバに声をかける。

「あっ!わかったあなたもお父さんって呼ばれたかったのね」

「うっ…」

図星らしい、本当に可愛い人だ。耳まで赤くしている。

「本当に子供が出来なくてもいつかミヅキちゃんがそう呼んでくれるかもよ」

私は大きなルンバの背中にそっと寄り添った…

「リリアン…」

心配そうに振り返ったルンバに私は笑顔で微笑んだ、決して強がりではなくそれでいいと思えたからだ。

「ああ、あの子は俺たちの本当の子供だな」

「ええ…」

その日深く愛し合い、お互いの気持ちを確かめ合った私達は次の朝、盛大に寝坊する事になったのだが……

「おはよう!ミヅキちゃん」

朝慌てた様子でミヅキちゃんに会うと顔をじっと見られた。

やだ、なんかわかるのかしら…

キョロキョロと自分の身だしなみを確認するが一応大丈夫そうだ。

「なに?ミヅキちゃん」

私は膝を曲げてミヅキに目線を合わせると…

「なんか…今日のリリアンさんすごく綺麗!それに…ここが暖かい!」

ミヅキはお腹にギュッと抱きついてきた。

時折甘える仕草が愛しく思わず抱き返す……やっぱりこの子は私達の天使だ。

その数ヶ月後…

「オェ…」

突然の嘔吐に私はトイレへと駆け込んだ!

数日前からなんだかモヤモヤして胸の辺りがスッキリしなかった。

変な物でも食べたかしら…

お店を開く者としてさすがに食べ物に当たったなどきまり悪いので、こっそりと医者にかかると思わぬ事を言われる。

「おめでただね」

「おめでた?食中毒が?」

「何言ってるんだい、赤ちゃんだよ!リリアンおめでとう」

「うそ…」

「そんな事で嘘なんかつかん!どうする?ルンバには言うかい?」

顔なじみのおばあちゃんの医者は私達が子供が来ない事に悩んでいたことを知っているだけ嬉しそうにしくれた。

「よかったね、わたしゃ悪いがあんた達に子供は無理だと思ってたよ…ここまで出来ないと何らかの原因がある可能性が高いからね」

「そ、そうなんですか!?」

「ああ、どうにもできる事じゃないから言わないがね…しかしよかった。なんか周りに変化でもあったのかな?」

そう言われてミヅキの笑顔が浮かんできた。

あの子が来てからお店は繁盛するし、夫婦仲はさらに良くなるし、いいこと尽くしだった。

「そういえば…」

ミヅキにお腹をギュッと抱きしめられた事があったことを思い出す。
そういえばあの日から月ものが来ていない。

「まさか…」

私は少しだけ迷ってルンバにはまだ赤ちゃんの事は内緒にする事にした。

安定期に入れば問題ないと言われたのでそれまでは…もしダメだった時にあの人に悲しい思いはさせたくなかった。

しかし不安も他所に何事もなく順調に過ごしている時王都に行く話が飛び込んできた。

ルンバは悩んでいたが私が後押しして王都へと行くことになった。

「なら、ミヅキも連れていかないか?」

王都へはミヅキに教えてもらったハンバーグの店を出して欲しいとのお願いだった。

ルンバとしては発案者のミヅキがいなくては話にならないらしくミヅキが行くならと首を縦に振る。

そこでミヅキにお願いしてみると行ってみたいと答えが返ってきた。

王都へは娘として付いてきて欲しいと説明すると恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに頷いてくれた。

そしてあれからお母さんとなかなか呼んでくれないミヅキに「お母さんって呼んでいいのよ」と言うと思わぬ返事が返ってきた。

「それはリリアンさん達の子供に取っておいてあげたいので…」

そう言って私のお腹を優しく見つめるミヅキはまるでその日が確実に来ることを知っているかのようだった…

この子は…

ふっと力が抜けると思わずまだルンバにも言ってないことをミヅキに話してしまった。

「この子ならきっとそれを許してくれるわ」

その言葉だけでミヅキは察してくれた、驚き自分の事の様に喜んでくれる。

この子のお姉ちゃんになってね…

私は大事な大事な娘に感謝を込めて強く抱きしめた。
しおりを挟む
感想 6,829

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友
ファンタジー
 サクヤは目が覚めると森の中にいた。  しかも隣にはもふもふで真っ白な小さい虎。  虎……? と思ってなでていると、懐かれて一緒に行動をすることに。  歩いていると、新しいもふもふのフェンリルが現れ、フェンリルも助けることになった。  それからは困っている人を助けたり、もふもふしたりのんびりと生きる。 9/28~10/6 までHOTランキング1位! 5/22に2巻が発売します! それに伴い、24章まで取り下げになるので、よろしく願いします。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。